Episode.28 Hug

「じゃあセンゴク時代に、ご先祖さまに殺された人が、私の結婚を阻止しようとしてるって事〜〜!?」


「……我が蛸殴たこなぐり家がうらまれるとしたらそのくらいしか思い浮かばぬ。 麻呂が退治した『鬼』も遺恨があるやも知れぬが、彼奴きゃつは人外じゃ。 其方そちげんによると麻呂が落したおもてかぶうておったのは、人の御霊みたまのようだからのぉ……」


 それにしても……


 地味っ!


 ……だ相手も見付かっていない私の結婚を阻止するのが恨みを晴らす方法だなんて、あまりにも地味じゃね!? 普通はもっとホラー映画みたいに派手な展開になるんじゃないの!?


「いや……どう攻め入るかは相手が決める事であって、こちらが思ったように動いてくれるものではない……と麻呂は思うのじゃがのう……」と、ご先祖さまが遠慮がちに小声で呟いた。


「何をぶつぶつ言ってるんですか! 同じお化けでしょ!? ……元はと言えばご先祖さまが撒いた種なんだから、何とかして下さいよ!」


 ……ご先祖さまは頭をきながら「いや、そう言われても……麻呂と烏賊いか十兵衛じゅうべえとは黄泉あちらうた事は無いし、どうやって渡りを付けるかも知らぬし……」


 もお! 頼り無い! 


 あんな恥ずかしい踊りまでして呼び出したのに、このスダコ、何の役にも立たないのね💢(←相変わらず失礼)


 今まで巻き込まれた事件の記憶がフラッシュバックして、こらえきれない感情があふれ出し……


「ご先祖さまのバカバカバカ〜〜〜! うわあぁ〜〜〜ん💦」


 ……と駄々っ子みたいに大声で泣いた。


「お〜〜……可哀想に……拙者の胸で泣くがい!」


 私はご先祖さまの胸に飛び込んだ!


 ご先祖さまは、そっと私を抱きしめてくれた……


 その胸は、とても暖かく……無い……むしろ……冷たい!?


 ……?


 あれれ!? 幽霊って触れるの? 


 ……そう言えば、ご先祖さま……声のトーンが急に変わった!?


 ……ふと顔を上げると……


 え〜〜〜〜〜〜〜〜!?


 真っ赤なタコの仮面が私を見つめていた!


 ス、スダコ仮面!?


 この世にイコンを遺し、私を結婚させまいと策謀しているかも知れないスダコ仮面が、なぜか眼の前に現れた! しかも抱かれてる!?


 ふと視線をずらすと、スダコ仮面のうしろから、ご先祖さまが私を助けようと、必死に文字通り『タコ殴り』しているようだが、その攻撃は毎々ことごとく、スカっスカっと空振りしている。


『タコ殴れず』じゃん💢


……蛸殴家の始祖、頼りなき事この上なし(ジト目)


「駄目じゃ💦 こ、此奴こやつは『生けるしかばね』じゃ! 麻呂にはどうする事も出来ぬ!」


 生けるシカバネ〜〜!?


 それって……


 ゾ ン ビ じ ゃ ん !


 きゃあああぁぁぁ〜〜〜!


 私、食べられちゃう〜〜〜(泣)


 嗚呼ああ! ついに訪れた、蛸殴家史上最大のピンチ!


 私、自称『めぐみ』こと蛸殴たこなぐり使手恵してえの運命や如何に!


 次回、Episode29 Demon をお楽しみに! 



 ……大丈夫かなあ


 ……読者の皆様、付いて来られてるかなあ(←リアルな不安)

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