Episode.27 Pretender

 私は、父が一度許してくれたお嫁行き(あ! ちなみに、お相手はいまだに見付かっておりません! お婿さん、絶賛募集中で〜す)を、タコの仮面をかぶった謎の人物に反対され、撤回した事をご先祖さまに打ち明けた。


「……ふむ、確かに由緒正しき『蛸殴たこなぐり』の家名が途絶とだえてしまうのは惜しいが、れよりなにより『蛸殴』の血脈けつみゃくえてしまうほう大事おおごとじゃ! 其方そち如何いかなるてだてこうじてでも、男子おのこちぎりを結ばねばならぬ!」


 ……!


 ご先祖さま! 良〜いおかた〜(感涙)


 ……パパの前に現れたスダコ仮面はニセモノだったのね!


 でも……そもそも、そのニセモノは、何で私の結婚を阻止しようとしたのかな?


「……麻呂が考えるに、其奴そやつは我が『蛸殴家』に何らかの遺恨をおぼえ、其方そちに子を産ませまいとたばかったのではあるまいか!?」


 ……遺恨!?


 蛸殴家に……イコン!? 


 イコンって何っ!?


「遺恨とは、文字通りうらみをのこす事じゃ。 この此岸しがん(現世)にまで怨思えんしを及ぼすとは……怖気おぞけるうほどの執念よのう」


 ……要するに、私……ってか『蛸殴家』は、誰かに恨まれてるのね(泣)



 しばらく何かを考えていたご先祖さまが……


「おお! 思い出したぞ!」


 ……と大声をあげた。


 まじ!? 判ったの!?


かた(以前)、我が子孫……其方そちの先祖『蛸殴たこなぐり源五郎みなごろう』に招かれて此岸に来訪らいほうした際に『烏賊いか十兵衛じゅうべえ』なる者を『黄泉送り』した事がおじゃった!」


 ……?


 ……あ! 『烏賊いか十兵衛じゅうべえ』って……この前、冴子が言ってた記憶がある!

(本編 『Episode23 Traditional story』をご参照下さい)


『烏賊十兵衛』を『黄泉送り』しちゃった!?


 ……ヨミオクリって何っ!?


「……其方そちは、ほんに物事ものごとを知らぬのう……。 『黄泉送り』とは、平たく言えば『ちゅうした』のじゃ!」


「チューしたの!? やだぁ🤭 BL!?」


 びっくり!? まさか、ご先祖さまにそんな趣味があったとは! ダメよ〜、ダメダメ! 今更レイティングを変えられないよ〜🐙 


「たっ! たわけ者💦 接吻ではない! ちゅうしたのじゃ!

殺害じゃ! 殺 し た の じ ゃ !」


 え〜〜〜っ!?


 こ! 殺しちゃったの〜〜〜!?

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