Episode.20『Help me beauty』

 あの『酢ダコ仮面』め💢 どうしてくれようか💢


 しかし相手はご先祖さま……当然故人なので連絡の取りようがない! 霊能力者に知り合いなんて居ないし……。


 よし! こうなったら最後の手段! インスタ投稿してご先祖さまを呼び出す方法を募集しよう!


 困り顔をデコって『HELP ME』とロゴを貼り『緊急! どなたかご先祖さまと連絡とる方法を教えて下さ〜い』とアップした。


 数分後……


 全世界のインターネット回線がダウンした……。


 各国の警察や情報機関が血眼ちまなこになって原因を追求するも、インターネット回線を始め殆どの通信手段が使えない状況に陥った為、捜査は難航した。


 警視庁警備部『サイバー攻撃特別捜査隊』隊長、大野弘行警視正は、この状況を打破すべく『モールス信号』と『無線電信』を利用した通信を提唱し、実行に移した。 原始的ながら確実に情報交換を行えるこの方法は図に当たり、関係機関が連携をとれるようになり、遅まきながら活動を再開した。


 必死の捜査の結果、原因は東アジア……しかも日本国内から投稿された『Instagram』のページに過剰な負荷がかかった為、インターネットがダウンしてしまった事が判明した。


 ……記事を投稿した人物に恋心を抱いた人々(殆どが男性)が、この人物と連絡を取る為、一気に求愛の言葉を送信したのが原因だった。 (因みに、ご先祖さまへの連絡方法を教えてくれた者は皆無だったと言う)


 互いに情報交換が可能となったサイバー攻撃特別捜査隊や各国の警察組織は、その権限により当該記事を消去し、スクリーンショットを保存した者を容赦なく摘発、そのデータを消去した。


 その後は、どの媒体にもこの人物の画像を掲載する事は重犯罪になる事が国連憲章に新たに加えられた。


 大野警視正とサイバー攻撃特別捜査隊、そして全世界のサイバー犯罪対策チームの活躍により、人類史上最大の危機は数日で収束した。


 これが後に『ヘルプ・ミー・ビューティー危機クライシス』と呼ばれる事件である。


 さらに……私にはなんの落度も罪も無いのは承知の上で『治安維持の為』との名目により、以前下された『外出禁止令』(本編『Episode.14 Chaos)が緩和された矢先、今回は『インスタ投稿禁止令』が下された。 ……しかも今度は国連命令だ。


 ……って……


 ……なんでこーなるの〜!?(泣)(泣)

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