Episode.11 Karaoke

「ふたつの胸の〜ふくらみは〜♪ 何でもできる〜証拠なの♪」


 ……この曲は、私が上機嫌の時にしか披露しないとっておきだ!


「魔女っ子は〜♪ 魔女っ子は〜♪」


「ばーか! ちげーよ! 『魔女っ子は〜♪』だよ!」


 ……『ばか』はあんただ瀬楠せぐす! 私はこの歌詞を『メグミ』に代えて歌いたいが為に、数多あまたある曲の中から、この歌を選んでいるんだ!


「シャランラ♪」……ウインクと共にキメッ!


「はい! 次はひろみの『おジャ魔女』!」


「は〜い! ひろみ、行っきま〜す!」


 良かったぁ! 宏美、元気が戻ったみたい!



 ……さてさて、前のEpisodeで、ひとり寂しく悲しみに暮れていた私が、なぜ今、こんな上機嫌で瀬楠たちとカラオケBOXにいるのか!?



 ……実はあのあと、さっきのファーストフード店で、宏美が瀬楠に全てを吐露し、私への誤解も払拭してくれたんだ。


 ……宏美から、その事を告げるLINEが入って、宏美からは感謝、瀬楠からも感謝と謝罪の言葉を貰った。


 私も余計な事をしちゃった事を謝り、これで『わだかまり』は一切無し!……宏美と瀬楠の絆もばっちり深まって、万事解決!


(正直……ちょっぴり寂しい気持ちはいなめないけど……)


 ……で、改めて再会を祝してカラオケパーティーをやることになった……ってわけだ。


『ブ〜〜ッ、ブ〜〜ッ』と、瀬楠のスマホが鳴った。


「やべ、また主任だ! ちょっとごめん」


 またぁ!? あいつ、大丈夫かね?


 低姿勢で電話に出ながら外に向かう瀬楠の背中を見送っている宏美に……


「ひろみ……あのさ……」と、今度は私が切り出した。


「……?」


「男って、どうやって作るの?」


『プーッ!』


 宏美が、口にした青りんごサワーを豪快に吹き出した(驚)

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