第3話

 そんなKではあったが、勉強の方もそれなりにやっていたようだ。高三まで留年することなく進級していたようである。そして、地方の国立大学の医学部医学科を受験していたらしいのだ。彼の脳味噌は腐っていなかったのである。

 しかし、人生はそんなに甘くない。彼は、見事に大学受験に失敗することになったのである。そして、浪人生活に入るわけだが……。

 一浪目の彼の生活は、これまでとそれほど変化を見せるものではなかった。同棲生活は相変わらずするし、パチンコ、麻雀、ビリヤードが大好きなところは高校時代と全く変わっていなかった。彼は、セックスとギャンブルに溺れかけながらも受験勉強を続けていたようなのである。僕が知る限りでは、クラブでナンパしホテルに連れ込んで一発決めて捨てるということも何度もしていたようなのである。Kの未来はどうなるのであろうか?


 昼間の彼は、大手予備校の医学部コースで勉強していた。彼の凡人(僕もそうであるが)と違うところは、勉強する時は一生懸命、集中して勉強するということである。この集中力は凄まじいものがある。よって、遊ぶ時は、とことん一生懸命に遊ぶということが彼の特徴であった。このONとOFFの使い分けの上手さが彼の非凡なところなのである。

 なぜ、ここまで僕が浪人時代のKのことを知っているかというと、大手予備校時代同じ医学部コースで彼と行動を共にしていたことがあったからである。昼間だけ。

 Kは、たまに彼女を予備校に連れてくるし、女関連の実話は彼の口から耳に胼胝たこができるくらい聞かされたので。彼の話は何の根拠もないのであるが、信憑性はかなりあると僕は思っている。なぜかというと、夜の彼は同じような奴らとつるんでいたし……。

 彼は、僕とはかなり違う人間だった。                                                                                                                


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る