第4話

 Kは、結局二浪した。生活ぶりは、相変わらず……であった。一浪目と違うところと言えば、彼女が違うということと同棲生活を辞めアパートで独り暮らしを始めたということだった。やはり、大手予備校の医学部コースに在籍して勉強していた。

 四月、五月は結構真面目に彼は勉強していた。しかし、だんだん気持ちが緩んでいって彼は予備校に来なくなっていた。何をしていたかというとセックスとギャンブルに時間を費やしていたのである。夏には、遊び仲間達と海に行ってナンパして色々な女とセックスをして遊んでいたということを僕は彼の口から直接聞いた。かなり舐めた浪人生活を送っていたようである。

 僕は、こういうKという人間の行動を理解し難かった。しかし、一方で人間の姿を見ているような気持ちにもなった。何物にも縛られていない解放された精神、つまり抑圧され鬱積し淀んだものが一切排除された浄化した精神というものを僕は彼から感じたのである。

 

 夏も終わり秋になると、彼は毎週日曜日にかなり真面目に色々な予備校の模擬試験を受けるようになった。自分の実力を試すのと同時に模擬試験の復習を入念にやっていたようである。

 彼が冬に入ってから受験期までどのように過ごしていたかは、僕は全く知らないのであるが、……。


 そして、春に彼はようやく、地方の私立某医科大学に合格することとなったのである。このような結果になったことは、彼の本望ではなかったのであるが、彼はこの合格した医科大学に進学した。

 僕は、彼みたいな人間が医大に進んでも多分、国家試験に合格できないだろうと思っていたのだが……。  

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