36.奇跡だった人

 彼女は神様と彼に愛された人。世界に祝福された特別な人。それでもやはりだんだんと使い古され、やがて小さく背中を丸めた彼女にあの頃のほうが素敵だったなんて言えるはずがない。奇跡だった人、これからどこへ向かうの?尋ねる間もなく真っ赤に消えた。仕方ないのかな。仕方ないよね。だって世界も宇宙も季節も神様も今は君にちっとも優しくないもの。

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