29.推しクライシス

 夢中は怠惰、やがて中毒。まともな脳を溶かしてゆく。引き込まれる、のめり込む、この沼に底はなさそうだ。小さな小さな心の癒しがいつしか日常を蝕んでゆく。生き抜く為の息抜きが日々を愉快に破壊してゆく。空虚な悦びに僕は今浸っているよ。何もかも忘れられる。ずっとここに漂っていたい。他のことはもうどうでもいいや。幸せなんだ。邪魔なものは全て捨てよう。あの子最近変だって気付けばみんなが噂してるのはわかってる。だけど有限の幸福に全てを捧げてしまいそう。推して推してクライシス。未来などもう何も見えないけど。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る