第11話 夢の中でも 前編 〜雨宮莉子〜


今回別視点です。かなり短めです。別視点は主人公と比べて短く分割して書こうと思うのでよろしくお願いします。


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____夢を見た。小さい頃の夢。


あたしとまことはまだ仲が良くて、親の中が良かった事もありいつも一緒にいて遊んでいた。




◇◆◇◆



「ねえねえ、リコちゃんってなんでだれともあそばないの?」


小学校の昼休み、中庭でアリさんを見ていたら、同じ一年生の同じクラスの男の子に話しかけられた。

その子は授業中いつも手を挙げて先生の質問に答えていた。

自己紹介で「友だちひゃく人つくります!!」と言っていてそのあとすぐに友だちを作っていた。


いきなりの質問と今までマコトや家族以外とまともに話していないのですぐに答えられず硬直してしまう。


答えを必死に考えている間もじっと見つめられているので余計頭がこんがらがり余計焦ってしまう。


「え………あ……あのね………あ……。」


答えることができなくて消え入りそうな必死に言葉を繋いでたら、いきなりそっぽ向いてどっか行っちゃった。


かんたんな質問に答えられない自分へのはずかしさと他の人に見放された悲しさで泣きそうになる。


「………おちゃ、」


その場をはなれたい一心でのどが渇いたのを言い訳に教室にもどる。教室には

人が数人がいるだけでがらんとしている。ほとんどはグラウンドであそんでいるのだろう。


ロッカーから水筒をとり出してお茶をのむ。水筒には絵本でよく見たかわいい

クマとうさぎがいる。

友だちに見せるためにおかあさんにねだったのに、結局だれにも見せられなかった。


水筒をのむのをやめ、ふたをしめる。その時後ろから物心ついた時から聞いていた聞きなれた声が聞こえた。うしろを振り向く。


「リコちゃん、そのすいとうかわいいね!おかあさんにかってもらったの?」


マコトはいつもあたしを見つける。あたしはなかなか見つけられないのに……。


あたしは声をかけてもらえてうれしいのとその気持ちがバレるのがはずかしくて、そっけなく答える。


「……うん、ママにかってもらったの……。」


「そうなんだ〜。リコちゃんっぽくてかわいいね!」


「……あ、ありがとぉ……」

マコトはあたしがどんなにおそく話しても最後までゆっくり聞いてくれて、はずかしがらずにほめてくれる。そんな自分が求めている答えをくれる真といると居心地がよかった。



◇◆◇◆



「ぁぅ……ごめんなさぃ……」


「あやまってほしいわけじゃないの!だけどマコトくんをひとりじめしないで!

みんないっしょにあそびたいんだよ!めいわくかけないで!!」


次の日の昼休みあたしより友だちが多くておしゃべりな子に話しかけられた。

苦手な子だったのとまた人に怒られてあせってしてしまう。

近くにはだれも頼れる人はいない。遠くから見ているだけだ。

あたしには謝ることで精一杯だった。おしゃべりな子に押されてなにを言えばいいのか混乱してしまう。


そんなあたしの態度が気に入らなかったのか目の前の女の子はさらに言葉を強くした。

だけどあたしは"さいごの言葉"に勇気を出して言い返す。このままだとマコトを取られてしまう。その想いがあたしを後押しする。


「で、でもみんなにイヤなことしてないよ?

あたしマコト以外しゃべれる人いないし、

一番仲が良いのマコトだか「だから!!」ぁぅ……。」


おしゃべりな女の子は声を大きくして強制的にあたしの話をおわらせる。




「リコちゃんがマコトくんにめいわくかけてるの!!」




その言葉に衝撃しょうげきを受ける。そして震える声で聞く。



「め…めいわくなの?あたし…マコトにめいわくかけてるの?」


(だとしたらもうマコトとあそべないのかな?)


そう思うと胸が痛くなって涙が出てくる。イヤだ、そんなのイヤだ。

マコトとはなれるなんて思っただけでこわい。


(言わなきゃ、そんなのイヤだって、はなれたくないって。)


だけど勢いに押されて言い返せせない。


目に涙を浮かべるあたしを見てその子はびっくりしたような顔をしたけど続けて言い始めようとしたがその子のうしろからの声が重なる。


「そう「「ちがうよ」」よ!!」


その声の主は当の本人、マコトだった。グラウンドから他の友だちと帰ってきたようだ。その顔は眉尻を下げ困ったような表情をしており、おしゃべりな女の子の前に近づく。

急な登場に女の子もたじろぐ。


「マコトくん……」


「ぼくはリコちゃんといっしょにいたいからいつもそばにいるんだよ。べつにめいわくしてないよ。だってリコちゃんといるといつもたのしいもん。」


女の子はさとされるようなマコトの言葉に動揺する。


「で、でもそれだとわたしたちあんまりマコトくんとあそべない……。」


「じゃあ。あそぶときはぼくにいって。そしたらみんなであそぼう?」


「うん……、わかった……。」


クラスで人気者の一言でその女の子は説得された。やっぱマコトはすごい。

あたしにはできないことを普通にやってのける。


そんなマコトがかっこよくて、


「リコちゃん。」


振り向いた顔がまぶしくて、


「もうだいじょぶだよ。」


いつもやさしくて、


「こんどはみんなであそぼうね!」


世界でいちばん大事だいすきな人だ。




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どうだったでしょうか?もう少しボリュームが欲しければコメントで教えてください。

莉子の視点はあと一話続きます。分割したのは投稿が遅れるのを防ぐためと作者の疲れ軽減です。申し訳ございません。


作中で小学校一年生に似つかわしくない語彙を使ってしまいました……。

できれば年齢に似合った言葉遣いにしようと思うのですが、どうしても限界を感じてしまい、作者自身のボキャブラリーの少なさを痛感しました。


それでもいいよという方はどうかこのままお読みいただけると幸いです。

そしてもしよろしければ評価の方もよろしくお願いしますm(_ _)m

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