副官の『灼炎のシュラ』原作解説.VOL.1

 どうも皆様、運命の女神ノルン様がしもべ、副官でございます。こうして挨拶をさせていただくのも初めてですね、ご機嫌よう。

 ヒイロ介入により現行ルートと原作との乖離が徐々に大きくなって参りましたので、こちらでは原作のルート解説と、乖離点を紹介させていただきたいと思います。


 本来ならばノルン様にこのコーナーを担当していただきたかったのですが、憧殿の影響力により『灼炎のシュラ』の世界の運命が大きく揺らいでしまって。

 その分の後始末として色々と雑務をこなさねばならないみたいで、今頃ひいひい言いながらお仕事をなさっているかと⋯⋯

 まあ、自業自得。身から出た錆というやつですがね。


 という訳で、わたくし副官の拙い解説ですが、どうぞ聞いていってくださいませ。

 それでは、よしなに。



◇◆◇◆◇



『灼炎のシュラ─灰、左様倣─』


【序章】


 まずは卒業間近に控えたシュラが、学園にて周りとの温度差を感じてる日々からスタート。騎士の腐敗やアスガルダムについての情報などなどを拾い、チュートリアルで同じ生徒との模擬戦があったりと、プレイヤーは徐々に世界観を把握していきます。

 その最中で幾人の教官からシュラは「アッシュ・ヴァルキュリア」という異名で呼ばれており、彼女の特別な存在感が示されますね。

 そして卒業と共に回想がはじまり、話は一年前の港町へ。

 シュラがアッシュ・ヴァルキュリアと呼ばれ始めたきっかけでもある事件にまつわるストーリーが展開されます。



 港町フィジカに不穏な噂話あり。なんでも海に漁に出た漁師たちがこぞって行方不明になり、更には真夜中に行方不明になっていた漁師達が家族の元を訪れるというとか。しかしその漁師達は誰が見ても分かるほどの亡者であったのです。


 噂話を聞きつけ、港町フィジカを訪れていたシュラ。フィジカの代表はシュラがアッシュ・ヴァルキュリアであることを知り、彼女にこの事件の解決を依頼しました。シュラも魔獣を狩れるならと応じ、調査がはじまります。

 そこで一人の少女と出逢います。名をアメラ。彼女は金髪の愛らしい顔立ちであり、赤い宝石のロザリオを身に付けた少女でした。

 彼女は港町のある小さな穴ぐらにて、行方不明になった漁師達を見かけたと言います。そこでシュラはアメラと一緒に穴ぐらへと訪れますが、なにもありません。するとけたたましい音が鳴り響き、落石によって穴ぐらの出口が塞がれてしまいました。

 落石を引き起こしたのは亡者と化した漁師達であり、亡者を操っていたのは⋯⋯アメラでした。

「お間抜けさんだねー!こーんなかわいい女の子相手じゃ、アッシュなんたらさんだってついつい油断しちゃうんだから怖いよねぇ?気をつけなよ?綺麗な花には棘があるもんだし、無害な相手は⋯⋯実は凶悪な魔獣だったりするかも知れないんだから。あはははは!」  

「でも君みたいなのが来るようになっちゃったのはボクとしても困るから⋯⋯いっそ、無くしちゃおうか。この町をさぁ!」


 閉じ込められたシュラを前に嬌笑を響かせながら、アメラは立ち去ります。アメラは亡者たちを操り、フィジカを滅ぼそうとしました。

 悲鳴と驚嘆に覆われる港町。しかしアメラ率いる亡者の前には、力づくで落石を排し、脱出したシュラが立ち塞がります。


 シュラはその異名に恥じぬ活躍を見せて、亡者達を一蹴。最終的にはアメラを港町の船上にて一騎打ちに持ち込み、彼女を斬り伏せます。

 倒れたアメラ。背を向けるシュラ。しかしアメラは倒れたふりをしていました。少女とは思えない力で船の鉄製の手すり(鉄パイプ)を引きちぎり、シュラに襲いかかります。ですが⋯⋯


「アンタ相手に二度も油断しないわよ」


 奇襲に備えていたシュラはルミナスの額でもってアメラの目をくらまし、アメラの手から鉄塊(鉄パイプ)を奪い、ロザリオごとアメラの胸に突き刺しました。


「なん、で⋯⋯」

「そのロザリオがアンタの正体でしょ、ヴァンパイア。人を亡者化して操るだけじゃなく、血を利用して亡者に乗り移る魔獣。アンタの噂を聞いたのはずっと前だけど、思い出せて良かったわ」

「く、そぉ⋯⋯」


 こうして魔獣ヴァンパイアは討たれ、フィジカに平穏が訪れました。しかしヴァンパイアを貫いた鉄パイプは、いつのまにかどこぞへと消えてしまったとか。


 ともあれ、長い回想を経て、時間軸は現在へ。

 学園を卒業し、入隊試験に挑むシュラ。そこでなにやら芋くさい貴族ルズレーにナンパされますが、一蹴。順調にヘイトを稼ぎつつ試験開始。彼女はシドウ教官を名指しし、見事勝利を収め、エインヘル騎士団の騎士候補訓練生となりました。


 ここで、序章は完結となります。



【第一章】



 シュラの騎士候補訓練生としての日々がはじまります。やはりシュラはずば抜けて成績がよく、周囲に一目を置かれておりました。また、シャム・ネシャーナという少女が同じ寮部屋のルームメイトとなり、彼女になぜかなつかれてしまったシュラ。色々と質問責めをしたり仲良くなりたいとアピールするシャムに辟易としますが、シュラも徐々に態度が軟化。やがて諦めたように抵抗しなくなりました。

 しかし戦闘時におけるシュラの剣呑さに、彼女のもっと強くならなくては、という意志を察したのか、シャムも訓練の際には寮の時のような気安さで接することはありませんでした。


 やがて選抜試験が訪れ、シュラの対戦相手が発表されました。第一次、第二次をなんなく突破し迎えた第三次の対戦相手は、訓練生時にも度々絡んできたルズレー。今までの鬱憤を晴らすかのように徹底的にルズレーをのしたシュラですが、それがルズレーの妄執に火をつけてしまいました。


 その後、コルギ村の事件についてはほぼ同じですね。

 しかし孤児院での闘いの際、シュラは魔獣バンシーに洗脳されてしまいます。ですが洗脳されながらもトラウマが刺激され、抵抗するシュラの意志が赤の魔術を使わせ、孤児院に火がつきます。燃え盛る孤児院という光景により、深くトラウマを刺激されたシュラの内なる力が暴発し、バンシーは斃れました。しかしシュラもまた意識を無くしてしまうのですが、倒壊する孤児院から彼女を救ったのはエイグンでした。

 エイグンはこの際におった火傷により死亡。孤児院が焼ける匂いと光景を目にした村人達によりシュラは救助されましたが、後に孤児院にまつわる後ろ暗い歴史がハウチさんから語られました。

 コルギ村の事件を解決は出来たものの、後味の悪い気持ちをひきずりながらシュラはアスガルダムへと帰還することとなります。


 また孤児院跡にて黒幕らしき仮面の男が登場し、意味深なことを喋ったあとに彼はある鉄パイプを拾い上げます。それはシュラがかつてヴァンパイアを斃した際にロザリオを貫いたものと、全く同じものでした。この出逢いが、後にさらなる悲劇を引き起こしてしまうのです。



 さて、アスガルダムに帰還したシュラ。しかし彼女はすぐさまに懲罰房に投獄されました。この時、本隊入りを控えていた騎士候補生たちの間にある噂が蔓延します。

 それは、シュラが騎士称を剥奪されるかもしれない、という噂です。これにショックを受けたのがシャムでした。そんな彼女の元に、ある手紙が届きます。シュラを救いたくば、旧校舎に来いという内容でした。これに光明を見出したシャムは旧校舎に向かいますが、待ち受けていたヒイロとショークの魔の手によりシャムは麻痺の状態異常にかけられ、拘束されてしまいます。


 一方、シュラは騎士称剥奪という処分に遇されることはなく、寮にて三日間の謹慎が言い渡されました。エイグンの一件で沈んだ気分のままに寮に戻るシュラは、シャムのテーブルにて手紙を発見します。そしてすぐさま旧校舎に向かいました。


 向かった先では拘束されたばかりのシャムを人質にとったルズレー達が、シュラを待ち受けていました。ルズレー達はシャムを危険な目に合わせたくなければ、自分たちの言いなりになれと命じます。シュラは激情に駆られますが、人質を無視は出来ませんでした。

 しかしそんな時、人質にとられていたはずのシャムがこつ然と姿を消し、シャムとよく似た声が響き渡ります。

「姉さんはもう大丈夫です!今のうちに応援を呼んできますので、エシュラリーゼさん!後を頼みます!」


 その言葉を聞き、シュラは剣を手にルズレー達に襲いかかり、一章のラスボス戦がスタートします。

 無事、勝利を収めたシュラ。全身傷だらけになり失神したルズレーたちは、謎の声が呼んだらしき応援であるシドウ教官達に引き渡されました。




 こうして、第一章は完結。物語は第二章へと続きます。




◇◆◇◆◇




 いかがでしたでしょうか。こうして見るとヒイロが通った道筋は原作と差異がないように思えますが、中身はかなり違っていると思います。


 特に大きな乖離点をあげるとするなら。


・クオリオと友情を築き、リャムという少女に好感を覚えられている。

・エイグンの生存によりコルギ村から英雄視

・パウエルが既に登場し、退場。

・凶悪が黒幕ではなくヒイロの手に渡っている

・シュラにとってかけがえのない存在が生まれた。



 こんなところでしょうか。

 原作の今後を知る私としては、このあとの展開が色々とかけ離れたことになりそうなのは目に見えていましてね⋯⋯いやほんと、クオリオとかどうなるんですかこれ。


 気になって仕方ないですが、ひとまずは現地に向かっているヴェルザンディ様より今後の報告を待つとしましょう。

 例の【摩天楼のロキ】でも読みながら、ね。




 それでは皆様、また次章にてお会いしましょう。


 はい、さようなら。



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