第3話 自主練
土曜日の午前練習が終わり他の部員達が帰ってた後。俺は一人ボールを蹴っていた
普段はあまりこういうことはしない。だが、ちょうど一週間後にある試合には、木花と山下が来ることになってる。あの場では簡単に返事をしてしまったが実際に来ることが決まると緊張するもので、少しでも和らげるために今日は残って自主練をしていた
ゴールに向かってひたすらシュートをうっていると
「お!水瀬君じゃん!残って自主練してたんだー」
この人はサッカー部の女子マネージャーで一個上の先輩だ
「中沢先輩も残りですか?」
「そんなとこだねーところで水瀬君はシュート練習をしてるみたいだけど」
「そうですね」
「パスほしくない?」
そういって中沢先輩はニコッと笑う
それを見て、確かに中沢先輩がモテる理由が分かった気がする
見た目はもちろんかわいいけどそれだけじゃない。今の笑みもそうだし中沢先輩は親しみやすいオーラ―を放っている
「まあ、あった方がいいですね」
「なら、私がパスしてあげる!」
「先輩ボール蹴れるんですか?」
「水瀬君それはなめ過ぎ!私だってそれくらいできるもん。ちょっとボール貸して」
俺は足元にあったボールを先輩の足元に転がした
すると先輩はボールを蹴りやすい位置に置いて、思いっきり蹴った
そしてボールはゴールの片隅に吸い込まれていった
「どうだ!」
どや顔をする先輩
俺は正直驚いていた。威力は男子に劣るけどそれ以上にコントロールが完璧だったからだ
それにシュートの打ち方が素人のものでなかったから
「先輩サッカーやってたんですか?」
「やっぱり分かっちゃう?小学校の頃はサッカーしてたんだよね」
「中学になってやめちゃったんですか?」
「うん。中学生になったら女子でサッカーしてるの恥ずかしくなっちゃってさ。男子とかにからかわれるのとか嫌で」
「そう言うの思春期にありがちですよね」
「そうなんだよねー別に後悔してるわけじゃないけどあのままサッカー続けてたらどうなってたんだろうって思うときもあってさ……まあいいや!それでどうする?パスだそっか?」
「練習付き合ってもらっていいですか?」
「うん!」
先輩にパスをもらってそれを俺がシュートする。それを1時間ほど続けた後自主練は終わった
そして今は先輩と駅に向かって歩いている
「久しぶりにこんな体動かしたよー」
「練習付き合ってくれてありがとうございました」
そう言って俺は鞄からスポドリを一本取り出した
「これまだ口付けてないんであげます。お礼です」
「えっ!いいの!?ちょうど喉乾いてたから嬉しい!」
そう言って俺から受け取ったスポドリを美味しそうに飲む中沢先輩
「おいしそうに飲みますね」
すると先輩は顔を赤くして
「ちょっと!見ないでよ!」
そう言って怒り出した
「なんで怒るんですか」
「怒ってはないけど……飲んでるところ見られるのは恥ずかしいの!」
「えー可愛いのに!」
そう言うとさらに先輩は顔を赤くして
「もしかして水瀬君ってナチュナルにそういうこと言っちゃう人!?」
俺は思ったことを言っただけだ
でも照れてる先輩は可愛い
「そう言えば水瀬君ってなんで今日は自主練してたの?普段はしてないよね」
「実は来週の試合に友達が来ることになってて。それで少しでも練習しとこうかなと」
「へーでも水瀬君なら別に自主練してなくても活躍できると思うけどなーなんせうちのエースだし。あ、でも自主練するにこしたことはないけどね!」
「今日先輩と自主練してみたら結構楽しかったのでまた付き合ってもらえませか?」
「本当!?全然付き合う!私も楽しかったし!てかそれならLINE交換しとこうよ!」
「そうですね」
そうしてLINEを交換した後
「あ、これから水瀬君じゃなくて晴って呼んでもいいかな?」
「全然大丈夫です。俺もそっちの方が嬉しいですし」
「そっか!じゃあこれからよろしくね晴!」
「よろしくお願いします中沢先輩」
それから俺たちは駅に着いたあと解散した
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