同級生と後輩に振られた俺。でも、その後、疎遠になっていた幼馴染とラブラブになっていく。俺を振った同級生と後輩が付き合いたいと言ってきても、間に合わない。恋、甘々、デレデレでラブラブな青春。
第47話 どちらも譲らない、やいなさんとりなのさん
第47話 どちらも譲らない、やいなさんとりなのさん
「あなたって、自分のこと、魅力があるって言っているけど、このわたしのことを尊敬できないようじゃ、魅力なんかあるわけないじゃない」
「糸池さんこそ、後輩のことを立てることもできないのに、よく自分のこと、魅力があるって言えますよね」
「あなたが何を言おうとも、康夢くんの恋人になるのはこのわたし。クリスマスイブも一緒に過ごすつもりよ」
「クリスマスイブを一緒に過ごすのはこのわたしです!」
「いや、このわたし!」
言い争いが続いている。
聞いている俺の方が辟易してきた。
俺でさえこうなのだから、恋乃ちゃんはもっとだろう。
困惑した表情をしている。
とは言っても、二人でここを去るわけにもいかない。
どこかでこの言い争いを止めなければならないだろう。
それにしても、二人とも俺とクリスマスイブを一緒にすごしたいと言ってくるとは。
二人に振られた時には、想像もつかなかったことだ。
でも……。
しょせん、今相手がいないから俺に心が向いているだけの話なのだろう。
りなのさんは、俺の告白を断った時、
「わたし、イケメンが好きだから」
と言っていたし、やいなさんも、俺の告白を断った時
「わたし、イケメンな男の人が好きなんです」
と言っていた。
イケメンが好きだと言っている以上、もし二人のどちらかと付き合ったとしても、イケメンが現れれば、その人の方へ心が向いてしまい、いずれ別れてしまうと思う。
俺の伴侶となる人は、恋乃ちゃんだ。
そう思っていると、
「康夢くん、二人の内のどちらを選ぶの?」
「康夢先輩、わたしのことを選んでくれますよね?」
とこちらの方へ矛先を向けてきた。
「何をいっているのよ、あなたは」
「糸池さんこそ、何が『二人の内のどちらを選ぶの?』ですか。わたしを選ぶに決まっているのに」
「いい加減にしてほしいんだけど。わたしこそ康夢くんにふさわしいのに、なんであなたは康夢くんにこだわるの。付き合っていた人だっているだろうし、どうせ康夢くんのことだって、飽きたら捨てちゃううんでしょう?」
「よくいいますね。糸池さんだって、付き合っている人はいたんだと思いますし、飽きたら康夢先輩のこと、捨てちゃうんでしょう?」
「あなたになんでそんなことを言われなくっちゃいけないの」
「だって、糸池さん、恋多き女性というタイプな気がしますので」
「それは褒めているの?」
「褒めていますよ。次から次へと男性を乗り換えるタイプということで」
「褒めてないじゃないの」
「褒めていますよ。ただその一人一人になる男性はかわいそうな気がします。康夢先輩もしうなりそうな気がするので、それは阻止したいと思っています」
「よくそんなことが言えるわね。あなただって、男性を乗り換えるタイプじゃないの?」
「わたしは違います」
「いや、あなただって、そういうタイプだわ」
「違うって言っているじゃないですか。わたしは一途なタイプです」
「そうかしら。あなたこそ、すぐ飽きてしまうタイプのような気がするけれど。一途と言っているけど、そんなタイプとは思えないわね」
「どうして糸池さんは、一々わたしの言うことに反論するんですか。そんなにわたしのことを嫌いですか?」
「嫌いもなにも、会って間もないでしょう、わたしたち。そんなことは思ってはいないわ。ただ、あなたの印象を話しているだけ」
「わたしが康夢先輩と恋人どうしになりたいと言っているから、わたしのマイナス点を延々と言っているような気がしてならないですけど」
「それはあなたの方でしょう」
「違います。だって、糸池さん、男性を乗り換えるタイプじゃないですか。それを話しているだけです」
「それが間違いと言っているのに」
二人は少し疲れてきたようで、ほんの少しではあるが、沈黙の時間が訪れた。
やがて、
「康夢くん、わたしを恋人にしてくれるわよね」
と、りなのさんが言ってきた。
「康夢先輩、わたしこそ恋人になるのにふさわしいです」
やいなさんも言ってくる。
俺は、
二人は、どちらも恋人どうしにはなれない
と言おうとしたが、再び言い争いが始まった。
「なにが『わたしこそ恋人にふさわしい』ですか。魅力もないくせに」
「魅力は、わたしの方がはるかにあります。何度同じことを言わせるんですか。魅力のあるわたしこそが恋人になれるんです」
「わたしは今日、康夢くんと恋人どうしになります!」
「わたしこそ、康夢先輩の恋人になります!」
どんどん熱くなっていく二人。
このままでは、いつまで経っても戦いが終わらない。
二人の疲れがたまってきたところで、俺は、
「二人とも少し気を静めて。このままじゃ二人に俺の気持ちを伝えることはできない」
と言った。
なんとか二人の言い争いを止めなければならない。そして、俺の気持ちを伝えなければならない。
「康夢くんがそう言うなら、少し気を静めたいと思う。この人に言いたいことは、まだまだたくさんあるけど」
「わたしも言いたいことはたくさんありますが、康夢先輩が言うならそうします」
あれほど話をしていたのに、二人ともまだまだ言い足りないようだ。
「じゃあ、俺の気持ちを伝えたいと思う」
俺は力強く言った。
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