第45話 迎えに来てくれた恋乃ちゃん
俺が朝食を終えた後、身だしなみを整え、少し時間が経った時。
ピンポーン!
恋乃ちゃんが来てくれた!
俺は喜びに包まれながら玄関に向かう。
「おはよう」
恋乃ちゃんのかわいい声。
扉を開けると、制服に包まれた美しい人がいた。
これから毎日、こういう素敵な姿の子と学校へ行けるんだ……。
俺は、
「おはよう」
と言うと、続けて、
「ちょっと家に入って、ソファに座わっていって」
と言う。
まだ時間に少し余裕がある。
制服姿の恋乃ちゃんもかわいい。
俺は二人だけの世界に入りたいという気持ちが急激に強くなってきた。
しかし、今は朝。時間が少なすぎる。
夕方まで我慢するしかない。
それならば、キスならいいのでは。
俺はソファに座った恋乃ちゃんの横に座る。
そして、
「俺、恋乃ちゃんが好き」
と言う。
「キスしたいの?」
「うん」
俺は恋乃ちゃんを抱きしめた。
「わたしもキスしたい」
恥ずかしそうに言う恋乃ちゃん。
俺は唇を恋乃ちゃんに近づける。
恋乃ちゃんも唇を近づけ、お互いの唇を重ね合った。
恋乃ちゃんは、俺の朝ご飯も昼のお弁当も作ってくれると言っていた。
作ってくれるのはありがたい。
朝ご飯を作るのは結構面倒だし、昼ご飯はいつもパンと牛乳だ。
栄養的にも助かる。
しかし、それは、恋乃ちゃんの負担につながる。
俺は断ることにした。
恋乃ちゃんは、
「わたしだったら大丈夫なのに」
と言ってくれた。
でもまだ俺達は恋人になり始めたばかりの状態。
その好意に甘えてはいけないと思う。
もう既に晩ご飯を作ってくれると言ってくれている。
今はそれで満足すべきだと思う。
したがって、昼休みは、パンと牛乳のまま。
昼休みについては、今までは祐七郎と一緒に過ごしていた。
昼休みも恋乃ちゃんと過ごしたいという気持ちは大きい。
クラスが違うので、学校にいる間は、昼休みぐらいしか話ができる時間はないからだ。
しかし、祐七郎は俺の貴重な親友で話すのは楽しいし、恋乃ちゃんは女の子の友達が多いのでおしゃべりをする時間が必要だろう。
その為、今日も俺は祐七郎と一緒に食べている。
「デート、うまくいったんだな」
祐七郎は我ことのように喜んでくれている。
「これで、俺達も幼馴染から恋人どうしへの第一歩を歩み出したと思っている。アドバイスしてくれてありがとう」
「なあに、俺のアドバイスは役に立っていたとしても、それはほんのちょっとだ。お前の熱意が通じたんだよ。とにかく二人の幼馴染として、うまくいくように願っていたから、俺としてもうれしいよ」
「でもまだ始まって少ししか経っていない。このまま仲良くしていけるといいんだけどね」
「その点、お前達は大丈夫だよ」
「ありがとう」
「お互い、今の恋人と結婚しような」
「お前、新月さんのことが大好きなんだな。あんなに毎日ケンカしているのに」
「そりゃ、他の人からすればそうかもしれない。でも俺には、くらなちゃんしかいないんだよ。くらなちゃんだってそれはわかっているはずだから、もう少し優しくしている時間が増えるといいと思っている。今はそういう時間が少ない気がするなあ……」
「それでも好きな気持ちは変わらないんだ」
「それはもちろんだよ。どんなに怒られても、俺の一番好きなのは、くらなちゃんだよ」
「ごちそうさま」
「ただくらなちゃん、他の人には怒ることないんだよね」
「それだけ祐七郎のこと好きだからだと思うけど」
「それは理解しているんだけどね。付き合い出した時は、もっと優しかった気がするから」
「そうは言っても、今もラブラブなんだろう」
「うん。二人きりになった時は、くらなちゃん、俺のことを好きだってきちんと言ってくれる。俺もくらなちゃんのことを好きってきちんと言っているよ」
「そういうところはすごいと思う」
「まあ俺のことはいいから、仲をもっとよくして、結婚してほしい」
「ありがとう」
「結婚式には、お互い招待し合おうぜ」
「うん。そうしたと思っている」
俺達はそう言って微笑みあった。
今日は、俺も恋乃ちゃんも部活がない。
校門の前で待ち合わせる。
「じゃあ、帰ろう」
「うん」
手をつないで歩いていく。
恋乃ちゃんと一緒に帰るのも、俺の夢だった。うれしい。
今日一日、彼女と話すことができなかったのはつらかった。
しかし、この後は恋乃ちゃんと一緒……。
と言いたいところだが、恋乃ちゃんは私服に着替える為、一旦自分の家に帰る。
家で待つ時間はそれほど長いわけではない。
しかし、なるべく長い時間恋乃ちゃんと一緒にいたい俺としては、つらい時間だ。
ピンポーン。
その我慢の時間が終わる。
俺は玄関を開け、恋乃ちゃんを中に入れる。
そして、恋乃ちゃんを抱きしめた。
「恋乃ちゃん、いい?」
「うん」
俺達は唇を重ね合う。
そのまま二人だけの世界に入りたくなる。
しかし、これから恋乃ちゃんと一緒に買い出しに行かなくてはいけない。
そして、恋乃ちゃんにおいしい料理を作ってもらう。
二人だけの世界に入るのは、そのおいしい料理を食べた後。
そこまで我慢をしなければいけない。
でも今は恋乃ちゃんとしばらくキスをしていたい。
俺達は、一旦唇を離し、ソファまで移動をする。
「恋乃ちゃん、もう一度」
「うん」
俺たちは再び唇を重ね合わせた。
幸せ。
俺はそう思うのだった。
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