同級生と後輩に振られた俺。でも、その後、疎遠になっていた幼馴染とラブラブになっていく。俺を振った同級生と後輩が付き合いたいと言ってきても、間に合わない。恋、甘々、デレデレでラブラブな青春。
第12話 イケメンの彼に振られるわたし (りなのサイド)
第12話 イケメンの彼に振られるわたし (りなのサイド)
彼との待ち合わせ場所に行くと、知らない女の子がいた。
ラフな髪型をしていて、服装もラフだ。スカートも短い。
「こ、この女の人は誰なの?」
わたしの声は震えていた。
するとその女の人は、
「わたし、あなたの恋人よ。ねえ、わたしのこと、好きだよね」
と甘い声で言いながら、彼の手を握る。
わたしは、だんだん腹が立ってきた。
「恋人ですって、何を言っているの。ここにわたしという恋人がいるじゃない」
「あなたこそ。あなた、魅力がないから、彼に嫌われているんでしょう?」
「嫌われいるんですって?」
「だって、あなた、こうして手をつないだことないでしょう?」
「それは、まあそうだけど……」
「わたしなんて、彼ともうキスやそれ以上のことをしているのよ」
「そ、そんなことないでしょう? 何とかいってよ!」
わたしは、この女の人が嘘を言っているんじゃないかと思った。
しかし……。
「俺、彼女ともうそこまで進んでいるんだ」
彼は笑顔で言う。
「そ、そんなの嘘だよね。わたし、信じることができない。今まで十か月近く付き合ってきたじゃない。わたしのどこが、どこが、いけないっていうの……」
わたしは、その心の打撃で倒れてしまいそうになった。
手をつなぐことさえ、わたしに許すことはなかったのに、その女の人とはそこまで進んでしまうなんて……。
あまりにも酷い話だと思う。
それでも何とか耐え続ける。
「わたしたち、恋人どうしだったんじゃないの?」
わたしがそう言うと、
「何を言っているんだきみは。俺はきみのことを恋人だとは思っていない」
と彼は冷たい口調で言った。
「恋人だと思っていない?」
「そうだ」
「でもわたしには告白してくれたじゃない」
「それは、俺の失敗だと思っている」
「失敗だなんて」
「俺は最初のデートでもうきみとは付き合えないと思った」
「でも、その後のデートをしてくれたじゃない:
すると、彼は笑い始めた。
「デートだって? 俺は二回目からは、きみとは付き合っている気はなかった。ただの友達としてのお出かけだよ」
「ただの友達……」
もう一回目のデートの最後の時点で、わたしは彼の恋人じゃなかったってことなのか……。
「俺は、三月と七月に恋人を作ったが、いずれも別れたんだ。今の彼女とは十月からの付き合いだ」
「そんな……。わたしと付き合っていながら、他の女の子と付き合っていたなんて……」
「きみとは付き合っている気はなかったって言っただろう。だから別の女の子と付き合おうと俺の自由だ」
「わたしはあなたの恋人なのに……」
「俺は、少しだけきみに期待をしていた。それに応えてくれたら、恋人にしてあげてもいいなあ、と思ってね。だから今まで待ってあげたんだ。それなのに、きみは全くその期待に応えることができなかった。俺がどれだけ失望したのか、きみにはわからないだろうね」
「わたしだって、一生懸命努力してきたのに……」
「努力、笑わせるね」
「わたしの、わたしのどこがそこまで気に入らなかったの?」
「じゃあ、教えてやろう、一番大きいのは服装だ。きみは、ゴージャスな服装をしていない。それに対して、彼女はゴージャスだ。この差はとてつもなく大きい」
それはもちろん彼女に比べてわたしはゴージャスな服は着ていないけど、それでなんでここまで言われなきゃならないんだろう……。
「そして、きみの話はつまらない。これも大きい。彼女はその点、話をしていて楽しい。きみは何回も俺とデートしていたのに、俺を楽しませようとするところが全くなかった。何をやっていただろうね。全く。その点でもきみに失望したんだ」
わたしだって、一生懸命彼のことを楽しませようとした。
話題だって、面白いと思ったものをこっちから提供した。
そういう努力を全部認めないなんて……。
「まあ、今日はきみに俺の恋人を紹介する為に呼んだんだ。こういうきれいな人を紹介されてうれしいだろう」
彼と彼女は、わたしの方を向いて笑う。
「恋人だった人を別の女性にとられて、喜ぶ女の子はいません。何をいっているの……」
「いや、きみは、俺のただの友達。だから、喜んでくれると思ったんだ」
わたしは、だんだん、こんな酷いことを言う人をなんで好きになったんだだろうと思ってきた。
さっき、彼が、わたしと付き合ったことを失敗と思っている、と言っていたが、わたしの方こそ、失敗だったのではないか、と思い始めてきた。
でも、まだ彼のことはあきらめきれない。
「もう一度、もう一度、わたしとデートして。そうすればきっとわたしたち、恋人どうしになれる」
「まだそんなことを言っているの? もうあきらめな。俺には彼女がいるんだから。俺は彼女のことが大好きなんだ」
と言って、今度は彼の方から彼女に肩を寄せる。
「もう。恥ずかしい。わたし、あなたのことが大好き」
彼女は甘い声で言う。
わたしだって、彼に大好きって言ってほしかったのに。
どうして、この女性には言えるのに、わたしには言えないの……。
これで、わたしと彼の恋人としての関係は、すべて壊れてしまった気がした。
いや、彼の言う通り、恋人どうしではなかったのだ。壊れたというよりは、もともと存在していなかったのだと思う。
いずれにしてもわたしにとっては失恋だ。
「じゃあ、行きましょう」
「うん。今日も楽しもうな」
二人は、わたしが最初からそこにいなかったような様子で、わたしに声をかけることもなく、手をつなぎながら目的地に向かって歩いて行った。
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