同級生と後輩に振られた俺。でも、その後、疎遠になっていた幼馴染とラブラブになっていく。俺を振った同級生と後輩が付き合いたいと言ってきても、間に合わない。恋、甘々、デレデレでラブラブな青春。
第11話 わたしはイケメンの彼と幸せになるはずだったのに…… (りなのサイド)
第11話 わたしはイケメンの彼と幸せになるはずだったのに…… (りなのサイド)
わたしは糸池りなの。高校二年生の女の子。
高校一年生の一月下旬、同じ学年の三組のイケメンに告白された。
学校の中でも、一組のイケメンと人気を二分するほどの人。
今まで、わたしがあこがれていた人。
その人に告白されたのだ。
もう喜ぶどころではない。その日は、部屋の中を走りまわるほど大喜びした。
彼とのデートは、その週の週末に決まった。
わたしは、うれしくてたまらなかった。友達にも自慢した。
友達の一人には、
「あまり浮かれると、振られた時が大変よ」
と言われたが、耳には入らなかった。
彼にはファンが多いので、その人達からは嫌味の言葉を言われたが、全く気にならなかった。
そうして迎えたデートの日。
気合をいれておしゃれもした。
もしうまくいけば、キス、そしてそれ以上のところに進みたいと思った。
大きな期待を持って、彼とのデートに臨んだのだった。
場所は、映画館。
ラブストーリーもので、彼も興奮して、わたしの手を握ってくれるものだと思ったんだけど……。
手を握るどころか、興奮もしていない。冷静だ。
周囲のカップルたちは、睦まじそうに手を握ったり、肩を寄せ合ったりしているのに……。
あれ、どうしたんだろう?
映画館に行くまでは笑顔もあったのに。
それが、彼の様子の変化の始まりだったと思う。
それ以降も、喫茶店に行ったり、レストランに行ったのだけど。彼は楽しんでいる様子はなかった。
彼も緊張しているのかな、と思ったけど、そういう様子があるようにも思えるし、ないようにも思える。
わたしは、彼に、
「よかったら、手をつながない?」
と言った。
恥ずかしかった。
わたしにとっては、とても勇気のいる行動だった。
でも彼の心をわたしの方に動かす為だ。そんなことは言っていられない。
彼はすぐ、
「うん。じゃあ、つなごう」
と言ってくれるものと思った。
しかし、彼は、
「いや、今日はいい。そんな気持ちになれないから」
と言って断ってしまった。
今日はいい、ってどういうことなの。
こんなかわいくて魅力のある女の子の甘い誘いを、にべもなく断ってしまうなんて……、
ガックリしてしまうわたし。
そして、デートの終わりを迎えてしまった。
ここで、ラ……に誘われるのを期待した。
今まで楽しんでいる様子がなかったのは、ここに誘うのに緊張したからだったのでは。
そう思ったのだけど……。
彼はあっさり、
「じゃあ、また」
と言って帰ってしまった。
あまりにもあっさりしすぎだ。
彼のことだから、
「じゃあ、ラ……に行こう。俺がリードするから大丈夫だ」
ぐらいのことを言うんじゃないかと思っていた。
それまで、付き合っていた人も多くいて、中には二人だけの世界に入っていったという人もいるという噂を聞いていたからだ。
それが、あまりにも思っていた状況と違う。
どうしたのだろう。
彼って、意外と奥手なのでは……。
そうとしか思えない彼の行動だった。
わたしは、
次こそは手を握ってもらうんだ!
と思い帰路につくのだった。
それからデートをしたことはしたのだけれど……。
最初は、一週間に一回ほどだったが、次第に間隔があいていった。
今年に入ってからは、十回しかしていない。
いずれのデートも楽しくはなさそうだった。
それでもまだ最初の頃は、笑顔になる時もあったけど、それも回数を重ねるごとになくなっていった。
最後のデートは、八月。
この時は、夏の最高の思い出を絶対に作る! という意気込みでデートに向かった。
二人の世界に入ることを夢見ていた。
しかし、その夢は、無惨にも砕かれてしまった。
まだ夜になったばかりの内に、彼は帰ってしまったのだ。
今思い出しても、つらい。
十一月になった今では、ルインで送信しても返事がこないし、電話をしても話をロクにしないまま切られてしまう。
学校で会って、あいさつしても、ロクに返事をされない。
わたし、嫌われたのかな。
デートをしても楽しんでくれない。連絡をしても嫌々ながらの対応をされる。
その間に、彼は、他の女の子と付き合っているという噂が流れ始めた。
わたしは、嘘ではないか、と思った。
彼は、わたしと別れたいとは言っていない。
言っていない以上は、わたしが彼の恋人だ。
そう思ってはいるものの、現実的に、彼とはもうロクに話もできていない。
だんだんつらい気持ちになってくる。
わたしから別れようというべきなんだろうか。
しかし、わたしは彼のことが好きだ。
イケメン好きのわたしには一番合う人だと思っている。自分から別れたいとは思っていないし、思いたくもない。
とはいうものの、いつまでこんな中途半端な関係を続けていればいいんだろう。
いっそのこと、彼の方から別れてくれ、って言ってきた方が、わたしの方もあきらめがつくのかもしれない。
彼は一体どういうつもりなんだろう。
このままの関係でいいと思っているのだろうか?
それがわからない。
それでも彼から別れを切り出さない以上は、このままでいるしかないのかな……。
そんな十一月中旬のある日。
わたしは、彼にショピングモールに行くことを誘われた。
久しぶりの彼からのお誘いだ。
デートとは言っていなかったけど、二人で会うというということはデートに違いない。
そう思ったわたしは、
今度こそ、ラ……に彼を誘って、彼の心をつかんでみせる!
と強く思い、待ち合わせ場所に向かった。
おしゃれも今まで以上に気を使っている。
これならば、大丈夫と思っていたのだけど……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます