第11話 やっぱりね
首が痛い。今度は首が痛い。
性懲りもなく透析をしている病院の整形を担当の看護師さんに予約してもらった。
整形外科の待合室は常に人で溢れていて、その患者さんたちを尻目に透析終わりに受診出来る。
「レントゲンを撮ってみましょう」整形の医師からの言葉で一歩リード。
ところが、「何ともないですね」レントゲンフィルムを見ながら医者は言った。
何もないはずがない。こんなに激痛を抱えているのに。
その後、透析の担当医師ににも訴え、細かい経緯は忘れたが何とかMRI検査にこぎつけた。
その結果を見た整形外科医、
「ああ、これは手術しなければいけないね」
やっぱり、そうでしょう。事の重大さより医者をヘコますことに快感を覚えていたオカンはチクリと言った。
「レントゲンを撮ったときは何もないとおっしゃったのに」
「レントゲンでは見えないこともあって」と苦笑いしながら言い訳する。
だったら最初からMRI撮りなさいよ。患者が痛がっているんだから。口にこそ出さなかったけれど憤怒やるかたない。背中の痛みだって首からきてたのだ。
ところで何やって。首の手術! ああ、恐ろしい。もし、するにしてもこの病院では絶対にやらへん。透析仲間は心臓の手術やら何もかも、ここの病院に身を委ねている。
整形の先生も名医と謳われている。名医? どこが名医? 世間の評判はようわからん。
痛みの原因がどこからきているのかわかると安堵感があった。痛みがなくなったわけでもないのに。
首の手術は簡単に踏み切れそうもなかった。
痛みが薄れるにつけ、首のことを忘れていった。
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