第2話 うちの主人も腎臓が悪い
猫と一緒にしたらあかんけど、うちの主人も少し前から腎臓を悪くしている。
義母が以前、「子どもの頃、味のないものばかり食べさせられたことがあった」と言っていたので、遺伝性のものではないかと言うと、「加齢によるものや」と自分で言っていた。そんなにおじいさんでもないやろに。
蛋白は肉、魚、卵、豆腐に多く含まれ、米、野菜にいたるまで含まれるのだから何をか況んやである。
蛋白を取り除いた食料品などが売られていて、一時期、低タンパクご飯を取り寄せていたのだが、食に拘りのない主人が言った。
「あれはまずい!」
スケールで食品の重さを量り、蛋白、カリウム、塩分などをチェックしていく。
機械設計の仕事をしているので、そういうことがあまり苦にならないみたいで、
「今日はあとちょっと蛋白が食べられる♪」
と嬉々として冷蔵庫をあさっているので、
「このカステラは?」
テーブルの上の袋を差し出すと、自室に持って行った。
甘いものは大好きで、粒餡のお饅頭なんかがあろうものなら、食事の何かと置き換えてまで食べる。
考えてみたら、辛子明太子、野沢菜漬け、塩鮭、イクラ、しょっぱい物が好きだった。
「ブロッコリー食べる?」
と訊くと、
「あれは蛋白の値が高いからいらん。自分でやるからええよ」
主人は計算をしながら、自分の食事は自分で用意するようになった。
以前、エッセーに『妻の定年』を書いたことがある。
思わぬ形で、妻の定年がやって来た。
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