🐱猫は生まれつき腎臓が悪い
オカン🐷
第1話 猫は生まれつき腎臓が悪い
猫がテレビ画面に映し出されると、吸い寄せられるように見てしまう。
毛づくろいをしたり、肉球を舐めたり猫の可愛らしい仕草の映像が流れる中、どこかの偉い先生が言った。
「猫は生まれつき腎臓が悪いのです」
猫は生まれ落ちたときから腎臓が悪く、それは全ての猫に言えることで、猫の生まれ持った宿命だと言う。
腎臓が悪いと蛋白(リン)が排出出来なくなり、躰の中に溜まっていく。
そこで蛋白を排出する餌を作ったという。
もともとは腎臓の悪い透析患者のために作り出されたものだったが、猫に効果があったため、急遽、猫用の餌に混ぜて売り出したらしい。
ほんまは猫で動物実験をしていて、驚くほどの効果を得られたからやないの。
だいたい、蛋白を排出する人間用の薬はだいぶ前から作られている。
4年前に18歳であの世へ旅立ったウチの猫も腎臓が悪かった。
犬猫病院へ連れて行くと、トイレの尿を集めて持って来てくれだの、トイレには何回くらい行ったかなど、無茶なことを訊いてくる。猫のトイレの砂からどうやって尿を集めろというのやろ。トイレへ行く回数など数えておられへん。四六時中猫に張り
付いているわけにもいかへん。だいたい猫が嫌がる
初めのうちは予防接種を受けに行っていたのだが、待合室で待っている間、ブルブルと震え、ウチの淑やかな猫が排尿、排便をするようになった。
家の中で飼っていて外へは出さないので、予防接種の必要もないかと、やがて病院に連れて行くのを止めた。
4年前の1月、宮崎で暮らす父が亡くなり、4月に母が脳梗塞で倒れ、宮崎と大阪を行ったり来たりする生活が始まり、1カ月ほど宮崎に滞在して、大阪に帰って来ると猫が食卓の私の椅子の上にジッと座っていた。
私の姿を見ると下りて来て、いつもは愛想の悪い猫なのに、やっと帰って来たというような顔をした。私の帰りを待っていてくれたのに、それからみるみる衰弱していき、餌も食べず、水も飲めない状態になった。
猫は私の手を煩わせる事なく、あの世に旅立った。
帰りを待っていてくれたのに、何もしてあげられなく可哀想なことをしたと今になって思う。涙に暮れる間もなく、それからすぐに、また宮崎に行かなければならなく、向こうの施設に手のかかる母親が待っていた。
ネット検索してみると、全ての猫の腎臓が悪いのではなく、1/5の確率くらいで悪いのだそうだ。
あなたのお家の猫ちゃんは大丈夫?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます