第14話

その「雑木林」の、出入りを遮るロープが渡されていた場所、

つまり、「雑木林」に出入りしやすい場所は、二箇所。



その内、私の住む家から近い入り口は、坂道の途中にあって、


そちらから入ると、「雑木林」の中を、斜面を下って、もう一方の出入り口から抜けることになる。



その、もう一方の出入口は、

大通りではないけれど、公道に面しており、


普通のバスよりも二回りくらい小さな車体の、

ラッシュ時でも、せいぜい三十分に一本というダイヤグラムではあるけれど、

一応は路線バスも通っているため、


夜でもそれなりに人通りがある。


(ちなみに、先に挙げたコンビニも、「雑木林」からその通りに出たすぐの、通りに面した場所にある)



一方、私の住む家に近い方の出入口は、

夜の九時を過ぎると、ほとんど人通りがないような場所だった。



その出入口の辺りは、

一応、住宅街の真ん中で、付近には街灯もあるのだけれど、


夜の闇の中、更に深く暗い闇の色の口をぽっかり開けた「雑木林」の近辺は、

確かに、お世辞にも気味の良い場所ではなかっただろう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る