第11話

そこには、

…当然かも知れないけれど、宝の場所を示す絵図も、曰くありげな文言も、全く書かれてはいなかった。


それは、…まあ、美人の図と言えばそうなのだろうけれど、


その、写真に写った解き髪の、官能的な化粧を施された美女は、上半身に何も纏ってはいなかった。


元は、いわゆる「大人のグラビア雑誌」の一ページだったのだろう。


綴じられていたと推測される辺りに、ほぼ破り取られたのだろうと思しき跡があり、


その白々しい破れ目を目にして、


(変な期待させやがって!)


という、非常に場違いな怒りと同時に、

何だかひどく虚しい思いに駆られたのを覚えている。



そんなモノを、後生大事に家に持って帰る気には到底なれず、


少し遠回りをして、最寄りのコンビニに手洗いを借りる振りをして入り、


お店と、あと被写体の女性には悪いとは思ったけれど、


入ってすぐに、お店までの経路の途中で、すでにぐしゃぐしゃに丸めておいたそれを、

お店の、「燃えるゴミ」と書かれたごみ箱の口に叩き込み、


直後、コンビニの手洗いで、それはもう念入りに手を洗ったことであった。

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