第10話

とりあえず、一旦家に帰ろうと立ち上がった私は、先程彼等が車座になっていた「広場」のぐるりを見渡して、

ふと妙なことに気が付いた。


(落ち葉の落ち方が可怪しい、…妙に偏っている…)


いつも、そこを「根城」にして遊んでいた人間だからこそ、気が付いたのかも知れないけれど…。


早くも点り始めた街灯の光を頼りに、良く良く見渡すと、


私達が「落とし穴」と呼んでいた、

赤土の地面が、洗濯に使う盥くらいの大きさに抉れたところを中心に、落ち葉が妙な具合に盛り上がり、


その周辺の落ち葉が不自然に少ない、ということが見て取れた。


(……あの人達、「落とし穴」に何か隠した…?)


さっそく腕まくりをして、ここ掘れわんわん…と、『花咲か爺さん』に出てくる白犬よろしく、地面の窪みから落ち葉を掻き出すと、


窪みの底からは、妙にてらりとした質感の、学校で配られるザラ紙くらいの大きさの、四つに折られた紙が見つかった。



釣瓶落としの秋の日が暮れた雑木林の中は、既にかなり暗くて肌寒く、

林の外に灯る街灯の灯りを頼りに、ようよう雑木林の外に出た私は、


もしや、これは宝の地図か…と、

周りに人の目がないのを確認してから、街灯の青白い灯りの下で、その四つ折りの紙を開いてみた。

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