第9話
私はそろそろ薄暗くなり初めた「雑木林」の中へと、一人踏み込んで行った。
もし、あの場に誰か大人が居合わせでもしたら、絶対に私を止めようとしただろうけれど、
私としては、その大人を無理矢理に引っ張ってついて来てもらってでも、「雑木林」の中に入らずには居られないという気持ちだった。
恐らくこの近所の住人ではない彼等は、この「雑木林の切れっ端」に、多分、全員で打ち合わせて、わざわざ自転車に乗ってまで、どんな理由があって来たんだろう?
あんな、銃身の長い銃を各々抱えて、いったい何をしていたんだろうか…。
今、きちんと確かめなくては、今夜、布団に入った後も、それこそ気になって眠れない…とでもいうような、非常な焦りにも似た感覚だった。
「雑木林」の中には、奇妙なものが夥しい数散乱していた。
黒っぽい色をした、…ちょうど、当時の私の小指の先程の、丸くて固い粒々だった。
(私達の大事な遊び場所に、こんな変なものを、それも大量に散らかして…!)
と、憤慨はしたけれど、
拾い集めて取り捨てるには、あまりに数が多すぎるし、
これが一体何なのか調べるには、
私には、知識も経験も、調査するための機材も、
また、その機材を取り扱うためのノウハウも、
すべてが決定的に不足していた。
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