Introduction END

 それから退職まではある程度の時間が必要ではあったが、手順そのものは手間ではなかった。私の地位を狙う若手はいくらでも居たであろうし、そういう意味では都合が良かったのかもしれない。何であれ事態がこのように進んだのであれば、私は前に向かって進む以外に道を持たない。

皮肉な話ではあるが、宮川春子の過去の関係者にアポイントメントを取るにあたり、夕日新聞の記者だったという経歴は有効に作用した。少なくともイタズラか、イタズラじみた取材ではないという印象を彼らに与えることができたようだ。

既に――木崎紅葉、白瀬美希、大泉五月、紫藤流星、芹沢嗣治からの応答を得ることができた。このうち木崎紅葉とは既に具体的な会談の日付まで決まっている。

逃げ道はない。自分にやれることを一つ一つこなしていくだけだ。

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