人数合わせで合コンに参加した俺は、なぜか余り物になってた元人気アイドルで国宝級の美少女をお持ち帰りしました。【書籍化・コミカライズ化決定!!!】
1話 カップルになった2人の甘々な日常【新章スタート!】
付き合ってから編
1話 カップルになった2人の甘々な日常【新章スタート!】
注意:付き合ってから編は、作者本人による2次創作です。書籍版は展開が変わる可能性があります。
『阿崎が浮かせて——槇島ダァァァァッ! 同点! 同点! なんと高東大学の1年生コンビが、プロ相手に巧みなパスワークで同点ゴールを捥ぎ取りましたァッ!』
……激闘を繰り広げた天皇杯1回戦から1週間が経った。
俺、槇島祐太郎はいつも通り朝の5時に起き近くの公園で散歩してから徐々にランニングを始めて、決まったコースを走り切る。
涼しいくらいの朝の空気を吸いながらタオルで汗を拭い、マンションに帰ったらすぐにシャワーを浴びる。
いつも通りの日常——のはずなんだが。
シャワーから出て、部屋に戻ると……そこには背中を丸くしながらベッドの上で眠る小動物みたいな美少女が。
「すぅ……」
人気アイドルグループGenesistarsの元センター、綺羅星絢音。本名は佐々木絢音。
かつて国宝級とまで言われた美少女……もちろん寝顔も可愛らしい。
起こすのも勿体ないが、そろそろ時間だしな。
「絢音起きろ」
「……んー? まだ6時じゃん」
絢音は寝ぼけた声を出しながら、片目を開けて頭上にあったスマホで時間を確認する。
そして二度寝するために布団を被った。
「今日1限からだろ? さっさとしろ」
俺は布団を剥がして、絢音をベッドから起こす。
「ふぇー」
「甘えた声を出すな。朝メシは作っておくからさっさと風呂行ってこい」
「まだ眠い」
「ったく、ほんと朝弱いよな。昨日も俺が起こすまでずっと夢の中だったし」
「だって……ゆ、祐太郎が毎晩寝かせてくれないから」
「そっ! それはお互い様だろ!」
「…………」
「…………」
微妙な空気になりながらも、お互いに朝支度を進め、絢音が風呂に入っている間に俺は朝食を作り、部屋の中央にあるちゃぶ台に並べた。
今日の朝食はトーストとスクランブルエッグにコーンスープ。あとは野菜ジュースという一人暮らし感満載のメニューとなっている。
風呂場から絢音が髪を乾かすドライヤーの音を聞きながら、俺は絢音が戻ってくるまでテレビでサッカーを見ていた。
今、世界のサッカー界では
無名だった俺が天皇杯でプロ相手に同点ゴールを決めたことなんて、ネットニュースにもならなかったし、ちっぽけなことなんだと再確認させられた。
俺も早くプロになって……絢音を。
「祐太郎?」
絢音が髪を乾かし終わって部屋に戻ってきた。
「ご飯食べないの?」
「お前が来るの待ってたんだよ。1人で先に食うのも……何か嫌だろ」
「……えへへ。祐太郎のそういう所も好きー」
絢音は良く解釈してくれたが……本当は男子校時代に同室の先輩が朝支度を済ませて来るまで、後輩は箸にすら触れてはならないという経験が身体に染み付いているから……だなんて言えない。
最近の絢音は、何がある度に「好き好き」言ってくる。
悪い気は全くしないが、付き合い始めてからというもの、デレが多くなり、ツンが少なくなったのが若干残念なところもある。
前みたいにビンタとかグーパンを喰らいたい……なんてことを考えてしまう自分が一番気持ち悪い。
「ねーねー。この部屋さ、2人で暮らすには狭いと思わない?」
「お前の荷物が多いだけだろ。美顔器とか美容グッズとか部屋中に置いてるし……お前の場合これ以上どこを整える必要があるんだよ。嫌味か?」
「女の子は毎日美容に気を使うモノなんです! あと太らないように食事とかも我慢するし!」
毎日のようにパンケーキ食ってるくせに……。
「とにかく! 部屋も今のベッドも、2人で寝るには狭いの! もっと家具も置きたいから引っ越しします!」
「えぇ……。急に引っ越しとか、親になんて言えばいいんだよ」
「ふふふ」
絢音は自信満々な顔で笑うと、2枚の切符を机の上に置いた。
「そう言うと思ってー、バスのチケット取ってあるんだー」
「……は? バス?」
絢音のやつ急に何を言い出すんだ。
「あたしと祐太郎が付き合って、もう1週間も経つんだし、そろそろご両親に挨拶しに行かないとって思って」
「まだ1週間の間違いだろ。お前の感覚どうなってんだ……って、ご両親にって俺のか⁈」
「当たり前じゃん。あたしの親、海外で仕事してるから日本にいないし」
絢音の親の話とか初めて聞いたな。海外で仕事をされてるのか……。
「明日と明後日オフなんでしょ? なら明日予定していた2日間のパンケーキデートを中止にして、2日間山梨行こっか」
「う、うっそだろ……」
俺の家族田舎者だし、綺羅星絢音が来たら腰抜かすと思うんだが……まぁ、2日間のパンケーキデート(地獄)よりはマシか。
波乱の帰省が、始まろうとしていた。
【槇島祐太郎 帰省編スタート⁈】
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