第2章 飛行機雲に乗って
ショウタ、起きてよ。
朝になったよ。ねえ、起きてよ。
あれ?目の前にショウタがいるのに、ショウタがいる感じがしない。こんなに鼻をくっつけてるのに、ガウって言わない。いつものいびきも聞こえない、ショウタの匂いが、薄い。
ショウタ、どうしたの?
どこにいるの?
◇ ◇ ◇
最初にショウタに異変が起きたのは、ショウタが10歳8か月になった、1月のことだった。
お正月休みに、ぼくたちはみんなで、カオルさんの実家に帰っていた。いつもはいばりん坊のショウタも、ぼくの実家でもあるこの家では、ちょっと遠慮がちだ。
それでも、集まる親戚の人たちが、ぼくたちのことをかわいいかわいいとかまってくれるから、ショウタもすぐに調子に乗って一番フカフカのクッションを独占して、カオルさんのお母さんに、
「これはやめて」
と、どかされたりしていた。
そんなショウタが、ある夜、やけに大人しく廊下の隅にいて、なかなかリビングに入ってこようとしなかった。ぼくは、初めての人がいっぱいいたし、やっぱりちょっと居心地が悪いのかな、くらいに思っていた。
誰かが、ショウタの横を通った時だった。
「キャ、キャン!」
鳴き声の方を見ると、こっちに向かって歩き出したショウタが、びっこを引いていた。
「ショウタの足、どうしたんだろう?足、踏まれた?」
「ショウタにぶつかってないよ?」
「ドアにでも、足、挟んじゃったのかな」
カオルさんや親戚の人たちが、そんなことを話して、ヒロさんがショウタを抱きかかえて足の様子を見ていた。
「特に何もなってないけど…。大丈夫そうだよ」
みんなの心配をよそに、ショウタはヒロさんの腕からソファーにひょいと飛び降りた。そして、お騒がせしましたとでも言うように、ちょっと上目づかいでパチクリとまばたきをすると、いつものように丸くなって寝てしまった。
次の日の朝、ぼくたちは、おしっこをしに庭に出た。山に囲まれた庭には抜け道はないので、ぼくたちはリードは着けずに庭にポンッと出されて、草むらを自由に走り回って、おしっこをしたり、探検したりできた。
ぼくは一通り庭の隅々までかけ回ると、部屋に戻った。ショウタはまだ戻っていなかった。
しばらくして、カオルさんがショウタを呼んだ。でも、ショウタは戻って来なかった。
「ショウター。ショウタ~!」
みんながショウタを探していた。
「あ!いた!」
ヒロさんが指差した裏の竹やぶの所に、ショウタはいた。
「ショウタ!おいで!」
いくら呼んでも、ショウタは竹やぶの中にたたずんで、こっちをじっと見たまま動かない。
「ショウタ!どうしたの?おいで。ごはん!」
ごはん、と言われたのに、ショウタは来ない。そんなバカな!
ヒロさんがショウタの方に寄って行くと、ショウタは急にハッとして、いつものようにピョンピョンと走って戻って来た。
「なに?どうしたの?棘でも刺さった?」
ヒロさんがまた、ショウタの足を見てみたけど、やっぱり何でもなさそうだった。結局、その後はずっといつものショウタだった。
お正月も終わり家に戻ると、すぐにショウタはT先生の病院に行った。ぼくが何度か入院している、あの動物病院だ。
「脊椎のあたりが、ヘルニアみたいに骨が詰まった感じになってるせいかもしれないって」
カオルさんとヒロさんが、そんな話をしていた。
ショウタは、抗生物質と痛み止めの薬をもらい、おとなしく寝ていた。
らしくない・・・。
子どもの頃みたいに流血の争いをするのは嫌だけど、ショウタの元気がないと、つまらなかった。
あまり良くもならず悪くもならず、食欲だけはあったけど(盗み食いの主犯だからね!)だるそうに寝ていることが多くなった。
それから数カ月後、また、ショウタの歩き方がおかしい時があった。いつもじゃないけど、びっこを引くような歩き方をした。そして時々、ただ歩いているだけなのに何かにぶつかったみたいに、急に、キャン!と叫んで、後ろ足を気にしたりした。見た目は何もなかったし、ヒロさんが足を触ってみても変わった様子もなく、ショウタも触られて嫌がったり痛がったりすることもなかった。
だんだん暖かくなり、春の陽気で気持ち良く散歩に行かれるようになった頃、ショウタが歩きづらそうにし始め、ショウタの右後ろ足の関節がポッコリと腫れた。
カオルさんとヒロさんに連れられて、ショウタはまたT先生の病院に行った。
カオルさんたちが帰って来た時、ショウタはいなかった。
「レントゲン撮ったり検査したりするから、夕方までかかるんだって」
ぼくは、ショウタがいない時間を満喫しようと思ったけど、なんだか落ち着かなかった。意味なくウロウロしたりして、あまり昼寝もできなかった。退屈だった。
夕方、帰って来たショウタは、レントゲンを撮るために麻酔を打ったりしたせいで、全然元気がなかった。
そして、数日後、検査の結果が出た。
◇ ◇ ◇
ショウタの足の腫れは『肥満細胞腫』と診断された。
カオルさんは、最初に聞いた時、ショウタが太り過ぎてしまったせいで細胞まで太って脂肪の塊のこぶができる病気で、ダイエットすれば治る病気だと思ったらしい。ところが、この病気はそんな笑えるものじゃなく『がん』だった。
がんの腫瘍が、足の関節にできてしまったものだった。
この腫瘍は、だんだんと皮膚を圧迫して腐らせるかもしれず、転移しなければいいけど、心臓や脳に飛んだら怖い、とT先生もとても深刻そうに話していたらしい。
まずは、がんの進行を遅らせる治療から始まった。
パセトシン 50ミリグラム。
プレドニン 5ミリグラム。
食欲だけは全く心配のないショウタのごはんに、こんな名前の薬が混ぜられるようになった。食い意地の張っているいるショウタならガツガツ気付かないで薬も食べてしまうかと思ったら、そこは賢くて、ショウタは口に入ったまずい薬の周りのごはんだけをしっかり舐め取ると、薬だけをちゃんとお皿の外に出した。
ぼくは初め、薬だと分からずに、ショウタがいらないなら頂こうかとお皿の外に出された白い粒に顔を近付けたら、
「ダメダメ、ダメ~!」
カオルさんがすっ飛んできて、その白い粒を取り上げてしまった。
ちぇ。薬なのか。
残念ながら、ショウタの症状はあまり改善しなかった。薬の副作用なのか、ショウタはさらにまん丸く太ってきた。そしてT先生の言っていた通り、内側から圧迫されて皮膚が少しずつただれてきていた。
夏が近付いていて外は暖かく、逆にその暑さのせいで、ただれた足を包帯などで覆うことは蒸れてしまうのでかえってよくないらしく、痛々しい傷口をさらしていなくてはならないショウタが、とてもかわいそうだった。
やがて、カオルさんたちは、ある決断を迫られた。
このまま進行を少しだけ遅くする今の治療を続けるか、腫瘍のできた足を切断するか。
T先生の話では、今の治療を続けていてももう完治することはなく、転移している可能性もあるので、もし足を切断をしたとしても完全に取り除ける保証もなく、5月に11歳になっていたショウタにとっては、手術自体、体への負担が大きくて体力的に耐えられるかどうか、ということだった。
カオルさんとヒロさんとおばあちゃんは、ショウタの病気について、とても悲しそうな顔で話し合っていた。
結局、みんな、今のまま薬で進行を遅らせる治療を続けようという結論を出したようだった。
それから、傷口は徐々に大きくなり、皮膚の中が露出するほどになってしまった。
もう、ぼくが顔を近付けても、ウゥーと喉を鳴らすけど、昔みたいに教育的指導をしてくることはなかったので、ぼくは時々、ショウタの傷口をなめてあげた。
この味、知ってる。
前にキョセイ手術した後、自分の傷口をなめた時と同じ味がした。血の味だ。それに、他になにか・・・良くないものの味が混ざっている気がした。
夏になると、ショウタはもっと弱々しくなってしまった。
今までなら軽々と飛び越えていた、リビングからベランダに出るための10センチくらいの段差を飛び越えられなくなってしまった。前足をついて、ピョンと飛び上がろうとするのに、後ろの足に思うように力が入らないようだった。
だんだんとショウタは寝てばかりになり、トイレの時以外は、あまり動けなくなっていった。
「ショウタの元気がないと、つまんないね」
ぼくの頭をなでながら、カオルさんは一日に何度もため息をついていた。
毎週通っていたT先生の深刻な顔は変わることがなく、一瞬でも希望を持てるような言葉も聞けることはなかったようだった。
9月になったとたん、ショウタは苦しそうに喘ぐようになった。
ほとんど寝ているが、動きたい時にもうまく体を運べなくなっていった。トイレの時だけは動けていたのも、ままならなくなっていた。寝たままおしっこをしてしまうと、体も傷口も汚れてしまうので、カオルさんたちの赤ちゃんが使っていた紙おむつを、しっぽの部分を丸く切って、ショウタがはいた。
体も紙おむつも白いから、意外と見た目の違和感はなかったけど、ショウタが動くたびにカサコソと音がするのが、ちょっとおもしろかった。
おもしろいから後ろについてみたけど、ショウタはぼくをうざがることも、もうしてくれなかった。
ショウタは思うように動けないのに、食い意地だけは変わらなかった。今まで、さんざん食いしん坊だの意地汚いだの言われていたのに、今のショウタは、寝ている所にごはんやおやつを持ってきてもらい、伏せの恰好のまま、それをいつもの調子でがつがつ食べると、
「食欲があるのは生きる力があるってこと!」
なんて、褒められたりしていた。ぼくがそんな食べ方したら、行儀悪い!って絶対に怒られるのに。
でも、本当に、食べることは生きることなんだ。
ショウタ、いっぱい食べて、元気になれ!元気になったらまた、一緒にリンゴを盗み食いしよう。
今度はぼくが、主犯になるからさ。
それからしばらくして、寝てばかりいるショウタが起き上がろうとすると、頭がふらふらするようになった。首の骨がなくなっちゃったんじゃないかと思うくらい、ぐるんぐるんと頭がふらついて、目を回していた。半分、意識がなくなってしまっているようだった。
数日後の9月10日の夜、ショウタは突然、発作を起こした。キャンキャウン!と悲鳴のような鳴き声をあげると、苦しそうに右に左にと、ゴロゴロと体を転がした。
ヒロさんがショウタを抱き上げようとすると、ガルルル、と唸って触られるのを嫌がった。みんな、苦しそうなショウタの発作が治まるのを、見守ることしかできなかった。
ぼくも子どもたちも、そんな動きがいつものショウタらしくなくて、良くないことがショウタの中に起きてるみたいで、ただ怖かった。
◇ ◇ ◇
9月11日。
天気が良く、秋らしい、とても気持ちのよい日だった。
「散歩にも行かれないし、窓から見える同じ景色だけじゃかわいそうだよね」
と、カオルさんは、子どもたちが赤ちゃんの時に使っていたお昼寝かごにショウタを入れると、かごを抱えて階段を下りて行った。
ぼくも後からついて行き、玄関で待った。
「おいしい空気、いっぱい吸いなね」
玄関を開けて、一歩外に出た。久しぶりに直接お日様の光を浴びて、ショウタは、ガラス越しでない広い空を気持ち良さそうに見上げた。お日様の匂いを嗅ぐように、鼻をふんふんと上に向けた。
が、その瞬間、また、発作が起きた。
頭をぐるぐるとふらつかせて、少しだったが、口から泡を吐いた。
「ショウタ!ショウタ!」
カオルさんの叫ぶ声が響いた。
急いで部屋に戻って来たカオルさんは、そっとかごを置くと、
「どうしよう…」と泣きそうな顔で、ショウタの発作が治まるのを待っていた。
少しすると、ショウタは落ち着き、何事もなかったかのように眠ってしまった。でもショウタの顔は、一瞬で何歳も歳をとってしまったみたいにやつれて、弱々しく見えた。
その後すぐ、カオルさんは、T先生の所に電話をしていた。
「連れて行って診てもらいたいんですけど、今は動かすのもかわいそうなくらいで」
今の状態は、とても厳しいみたいだった。治療とかより、今は体の負担を増やさないことの方がショウタのため、というような話をしていた。
ショウタ、がんばれ。
ショウタ、がんばれ。
元気になって、また一緒に散歩、行こう。
ショウタの容体は、一向に良くならなかった。体を動かしたり興奮してしまうと、それが命取りになる可能性もあるということで、ショウタはゲージの中で大人しく寝かされていた。ぽつんとゲージの中にいるのが寂しそうで可哀そう、と気付くといつもカオルさんはショウタの所にいた。
そして、ついにあの食いしん坊のショウタから、食欲が消えた。
ごはんだから、とショウタはゲージから出してもらい、カオルさんが大好物のヨーグルトやソーセージを口まで持っていっても、力なくひとなめするだけだった。
そして、その夜。急に発作が起きたショウタは、けたたましい鳴き声をあげたかと思うと、悲痛な叫び声をあげながら、リビングをのたうち回った。
ショウタはもう長くないかも、と誰もが思わざるを得ないほどの、今までで一番苦しそうで痛々しい発作だった。
その日の夜は、ショウタはタオルケットを広げてスペースをいっぱいに取ったリビングで眠り、その横に、カオルさんが寝た。
◇ ◇ ◇
9月12日。
タオルケットの上でほぼ寝たきりだったショウタだったが、ショウタの目はずっと家族の誰かの動きを追っていた。ほんとはみんなの近くに行きたいのに、とでもいうように。
ぼくは、いつもみたいにショウタの横にお尻をくっつけて昼寝をしようとした。でも、ショウタがくつろげなくなるから、と離された。
ちぇ。つまんないの。ショウタのお尻、あったかいのに。
この日も、ショウタは何度か苦しそうにもがいては、ヒイヒイと弱々しく鳴いて、しばらくすると落ち着いた。
カオルさんは、その夜もショウタの横で寝ようとしていた。でも、まだ小さかった子どもたちが不安がって泣いたので、ヒロさんがショウタの横で寝ることになった。
「子どもたちが寝たら、私もこっちに来るから」
とカオルさんは言ったけど、ヒロさんに
「昨日もほとんど寝てないんでしょ。今晩は俺がこっちで寝るから」
と言われて、カオルさんは子どもたちを寝かしつけに、寝室に向かった。
「ショウタ、おやすみ」
そう言ってカオルさんが立ち上がると、ショウタはずっとカオルさんを見ていた。カオルさんが歩き出して、リビングを出るまでずっと・・・。
(行かないで)と言っているのか、(今までありがとう)と言っているのか、(ぼくは大丈夫だから)と言っているのか、ただ、とても名残惜しそうな目で、ショウタはずっとカオルさんを見ていた。
この日の夜は、いつもはベランダのベッドで寝ているぼくも、ショウタと同じリビングで、ショウタが見えるソファーの上で、ショウタのいびきを聞きながら眠った。でも、野生の勘とでも言うのか、なんだか嫌な予感がして、よく眠れなかった。
夜中に2回くらい、カオルさんもそっと様子を見に来ていた。ヒロさんとショウタのいびきが交互に響いているのを聞くと、ちょっとホッとしたように、また寝室に戻って行った。
◇ ◇ ◇
9月13日。
まだ5時になるかならないかくらいの明け方だった。カオルさんが様子を見に起きてきた。そして、ショウタを見るなり、
「ショウタ!ショウタ!」と叫び、その声でヒロさんが飛び起きた。ぼくも急いでソファーから飛び降りた。
「ショウタ・・・!」
ショウタは白いプードルだったけど、白い色が薄まったように見え、力の入っていない目は一点の空を見つめ、全身をだらりと伸ばして横たわっていた。
ぼくはショウタに近付いた。
目は開いてるのに、全然ぼくを見ていなかった。
ショウタ、どうしたの?
朝だよ、起きてよ。
ぼくがこんなに顔を近付けてるんだから、いつもみたいに、ガルルって怒ってよ。
ショウタ・・・?
どこに行くの?
どうして、そんな高い所に登ってくの?危ないよ。
雲に、ぶつかっちゃうよ?
ショウタ?
ショウタが息を引き取ったのは、ほんの数分前だったみたいだ。ショウタの体はまだ柔らかくて暖かかった。ショウタが寄りかかっていたクッションもまだ、ショウタのぬくもりを残していた。
みんなが起きて来て、みんなで泣いた。
◇ ◇ ◇
ショウタは、玄関先のコスモスの咲く横に眠った。最期に、カオルさんがぼくを抱いてぼくの手を持つと、一緒にショウタの頭を右手でチョンチョンと撫でた。大好きだったぬいぐるみと一緒に、白い体が茶色い土の中に消えて行った。ぼくはとそのまま、カオルさんに抱きかかえられながら、ショウタを見送った。
その夜、一人で出たベランダはやけに広かった。
いつもは入ると呻られる、空っぽのショウタのベッドに寝てみた。ショウタの匂いで一杯だ。
寝心地、悪いや。
ぼくは自分のベッドに戻って、なんとなく見上げた澄んだ夜空にはポッカリと月が浮かんでいて、優しく光を放っていた。
もう、苦しそうな息遣いは聞こえてこない。でも、いびきも聞こえてこない。
10年ぶりのつまんない静かな夜。ぼくは、オオカミみたいに、月に向かって何度も何度も遠吠えをした。
アオ~ン・・・アオ~ン・・・
アオォォ~ン
ショウタの音痴な輪唱が、もう追ってこない。
ショウタ、聞こえてる?
いつもなら、近所迷惑と叱られるのに、この夜だけは、ぼくが遠吠えするのを誰も止めに来なかった。
ショウタの音痴な歌が聞きたいよ。
◇ ◇ ◇
ショウタが旅立った次の朝、とても心地よい秋風が吹いていた。
「ショウタ、おはよう」
玄関先で、そう声をかけてから、ぼくはヒロさんとカオルさんと散歩に出た。小さい頃、いつもぼくとショウタが走り回った公園へ。
「ショウタの分も走っておいで」
リードを外してもらい、ぼくは思い切り公園の真ん中に走って行った。でも、誰も追いかけてくれないし、一人で走り回ってもなんだかつまらなくて、すぐにカオルさんたちの所に戻って行った。
「なんだ、もういいの?」
ぼくたちは短い散歩を終えて、すぐに家に帰った。
◇ ◇ ◇
ショウタが眠っている上には、ショウタが生まれた5月にきれいな花が咲くようにと、ハナミズキの木が植えられた。
白い花が咲く頃には、ショウタのいない寂しさは少し和らいでいるのかな。
ハナミズキの根元に、毎日、おしっこかけてやる。
ショウタが、ぼくの匂い、忘れないようにね。
ぼくも、ショウタのでっかいお尻がフカフカだったこと、ずっと、忘れないよ。
ハナミズキの枝の先の空を見上げたら、真っ青な秋空に、一本の飛行機雲がまっすぐに伸びていた。
ショウタは、あの飛行機雲に乗ったんだ。
一番小さいけど、一番輝く星になるために。
毎晩、探すからね。ショウタの星を。
バイバイ、ショウタ。
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