45.ジュルアとのお買い物

「おっ! この帽子良いわね!」


 ジュルアはオレンジ色で可愛らしいリボンが飾られている麦わら帽子を指差す。

 

「すごく海に合いそうだわ」

「ジュルアは買うの?」

「うーん……」


 ジュルアは顎に手を当てて、悩むそぶりを見せる。


「すごく似合うと思うよ!」

「そうね……一度似合うか試してからでも、遅くないわ」

「お試しになさいますか?」


 ちょうど良いタイミングで店員さんに声をかけられると、ジュルアは麦わら帽子を頭に乗せた。

 今は太陽のように燃えるような美しさを放っている。


「すごく似合ってるよ!」


 ジュルアは鏡の前に立って、自分の様子をまじまじと見つめていた。


「こんな私もアリだわ」

「うん! とても素敵だよ!」

「それじゃあ、購入してみることにするわ」


 満足げに笑うジュルアを見て、私も何か良いものが無いか周りを見渡す。


「お客さまにはお友達と色違いのものは似合うと思いますよ」


 そう言って店員さんは棚の奥から青色のリボンが装飾されている麦わら帽子を取り出した。

 

「試しても良いですか?」

「ええ。もちろんです」


 私は手渡された麦わら帽子を丁寧に頭に乗せる。

 鏡の前に立つと、銀色の髪と青色のリボンがよく合っていた。


「すごい似合って良いるわよ」

「そう? ありがとう!」


 私は上機嫌のまま、麦わら帽子を手に持つ。


「これでお揃いだね!」

「ええ。そうね」


 そのまま、店の奥へ進んでいくと水着の売っている場所に辿り着く。


「いっぱいあって迷うわね」

「どれにしよう……」


 どれを着れば、ベン様は可愛いと言ってくれるか考える。

 きっと白い水着は可愛らしいと言われて、黒い水着は綺麗だと言われるだろう。

 どう褒められても嬉しいけど、やっぱりちゃんと選んだもので褒められたい。


「これでベンさんを悩殺できるわね」


 そう言ってジュルアは白くて扇状的なビキニを私に見せる。


「そ、そんな露出の多い水着なんて着たら、はしたないって言われちゃうよ!」

「でも、ベン様は照れると思うわよ」


 白いビキニを着ている様子を想像してしまうと、首を横に激しく振って頭の中から振り落として忘れようとした。


「ダメなものはダメなの!」


 私は顔を真っ赤にして叫ぶと、ジュルアは揶揄うように笑っている。

 そんな様子に私を頬を膨らませた。

 

「冗談よ」

「もう……」


 ジュルアはそのまま水着選びに戻ると、私も水着を探す。

 結局、白色でフリルの付いた可愛らしいワンピースの水着を選んだ。


「ジュルアもいい感じだね!」

「ええ!」

  

 ジュルアはオレンジの露出が少ないビキニを選んで、私に見せる。

 お互いに欲しいものは買えて満足すると、いつの間にか夕暮れになっていた。


「今日はありがとうね」

「ええ。こちらこそいい買い物ができたわ」


 そう言ってお互いに手を振って見送る。

 今日買った帽子と水着を思い出すと、遠征がとても楽しみになった。

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