物語の始まり
24話 陰キャがすることなんて万物共通
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いつもの日常が待っていると思っていた。
そろそろ雨が多くなる季節だな。とか、くだらない事を考えながら過ぎゆく日を淡々とこなしてゆく、そう思っていた。
「雄大。おはよっ!!」
「樹ぃ!おはー!」
陽キャで多くの友人がいる雄大が教室へ入るなり、はけてゆく。俺は静かに、他人に目をくれる事なく、自分の席へ向かった。教室後ろ、窓際の席。
この陰キャにはもってこいの特等席を、俺は、先週の席替えで、手に入れることができた。
1限目まで時間が少しある。
最近の仕事のたまり具合的に、自前のノートパソコンを持ってきて学校でも執筆をしたい気分だが、小説家であるとバレるのは嫌なので、できない。
となると、陰キャのすることなんて万物共通。
そう。読書だ。
小説家になれば、自分の小説がぶれないように、変に刺激を受けないように、他人の作品を読まなくなると言う作家もいると聞いたが、俺の読書週間は何も変わらなかった。一度本屋へ赴けば、一万円札が優に消えるレベルで単行本や漫画を買うし、小説投稿サイトのWebやアプリで読宣アカウントから雑多に読み漁る。『ラノベ、まじで面白い。異世界、超能力、中二病、実力隠し系、やり直し、ラブコメ、ファンタジー、てか、ラノベ、マジ最強。』
日本人に生まれて良かった。
ありがとう。神様。
俺は、鞄からブックカバー付きの
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朝の日差しを浴びながら、静かに読書をたしなんでいると、横から俺の名前が呼ばれた。
「西野君。おはようございます。」
陰キャは皆、可憐な姫に声をかけられると、一瞬、声帯が機能しなくなる。
もちろん、俺も。
「....ぁ、」
突然で声が喉に突っかかった。
「ああ。えっと、、、櫻崎さん。おはよう」
ようやく出たその声で、俺は、社交辞令的な淡泊な返事を返した。
そして、視線をまた、本へと戻す。
隣の席の櫻崎さんは、教科書を机に仕舞い、カバンを横にかけ、椅子に座った。
マロン色の髪が窓から入ってくる風にふわりと舞った。俺のほうが窓際なのに、柔軟剤の香りが鼻をくすぐる。ただ、それと同時に教室中の視線が俺に刺さる。
「ちぇ、いいなー。
西野の奴、櫻崎さんに声かけてもらえて。」
「マジで、あの席ズルいよなー。」
クラスの男子が囁やき、愚痴り、チラチラとこちらを見ている。
「あんな美少女の隣とか。俺、絶対、勉強頑張れる!姫様の隣ってだけで、偏差値上がる!!!」
「馬鹿だなー。お前の場合、逆に、姫様が気になって授業に集中できなくなるから、さらに成績下がるだろ!」
「....確かに。ってか、それヒド‥!!」
「にしても、姫様、今日も可憐だな~。」
「ああ。可愛い姫様」
クラスがざわめく。
たったイチニコト言葉を交わすだけで、この有様。
隣人に気軽に話しかけると恨みを買う理不尽さ、面倒ごと以外の何ものでもない。
はぁ。
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