ようこそ、異能部へ!(3)
ギリギリ入学式に間に合ったせつなたち。
指定された席に着席し、せつなは視線をコロコロと動かす。
「ど、どうしたの? せつなさん」
くるるは小声で聞いた。せつなは、
「いや〜、新入生って、もしかして、これだけなのかな〜って……」
せつなの言うとおり、広い講堂の真ん中には、ポツン、と三人の少女の姿しかなかった。
せつなとくるる、そして、黒髪のツインテールが特徴の吊り目の少女。
「……ちょっと、キョロキョロされてウザいんだけど」
吊り目の少女は、右隣に座るせつなに向かって、そう吐き捨てた。
せつなはすぐに謝り、
「ね、あなたも新入生なんだよね? わたし、
と、名前を尋ねた。
せつなの辞書には、どうやら『人見知り』という言葉がないようだ。
吊り目の少女は答えず、フン、と鼻を鳴らし、目を逸らした。
そんな態度をとられ、少し顔を曇らせたせつなだったが、ちょうど講堂の電気が落ち、入学式の始まりを告げられると、その表情はまた晴れて壇上へ向き直った。
舞台袖からひとりの少女が現れ、その姿は照らされた。照明は少女の歩みに合わせて移動し、やがて演台の位置でピタリと止まる。
演台に両手を置き、新入生を見つめる少女。その瞳には力強さがあり、凛とした佇まいはある種の風格を感じられた。
「新入生のみなさん、はじめまして。わたくしは、この
せつなとくるるは、大人びた顔立ちと美しい声に、息を飲んでいた。一方、吊り目の少女は、まるで気に入らない者を見るかのような視線を向けている。
華乃は、そんな三人の新入生を見て微笑みを浮かべ、スピーチをはじめる。
「まずは、ご入学おめでとうございます。わたしたちは、あなたたちを学園の一員として――仲間として、暖かく迎え入れます。
すでにご存知のとおり、この学園は国家により選ばれた者のみが入学することのできる、特別な学園です。ここは、ただ勉学を学ぶだけの場だけではありません。選ばれし者がさらなる高みへ目指すための養成施設であり、国の平和を守るための、国家防衛機関でもあるのです。
わたしたちは、ひとりの学生であると同時に、我が国のために戦う、戦士なのです。
この才能は、技術は、頭脳は――そして、異能は、神に気に入られた少女にのみ与えられる、天から授けられし贈り物。
その希少な力を、国のために捧げるのです。これほど名誉で、誇り高きことはありません。
これからは、今までとは少し違う日常を送っていただくことになりますが、国の運命を背負うことになった同胞を、先輩であるわたくしたちがしっかりとサポートしていきます。 学園生徒が一丸となって、この国を明るい未来へと導いていきましょう。
今後、未来の英雄がこの学園でどう花開くか、楽しみです。
……以上で、生徒会長の言葉を終わります」
華乃は礼をし、三人の新入生の拍手に包まれながら、袖裏へと消えていった。
「……か、カッコイイ!」
「同じ中学生とは思えません……! あ、憧れちゃいますね……!」
「……ふん」
生徒会長の言葉のあとは、学園長、各教師らの祝辞など一連の行事を行い、無事入学式は幕を閉じた。
その後、三人の前に担任の教師が現れ、自分たちの
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