第13話 好きとは?
彼は、台風みたいな人だ。
勝手に勢いよくやってきて、自分が満足したら帰っていく。
つくづく、いなければ平和なのに。
振り回されている気持ちになってしまう。
好きとは。
「好き」って感情は普通、もっと相手のことを知りたいと思うのだと思う。
でも、あいつは向こうから勝手にやってくる。
聞いてもいないのに一方的に全部話してくる。
そこが安心感に繫る部分も大きいけれど、私のみならず、
周囲に対しても「俺こうなんだよね」と話すタイプの人間だ。
自分の話をされても大して興味がないのに、周りが彼に合わせて大人の対応をしている風に見える。
*
週2で通っているトレーニングジムがある。
教えて貰っているトレーナーがよく話す人で、たまに私の悩みも聞いて貰っていた。
「男も手放しなくないんだろうな」
そのトレーナーも私のことはよく知ってくれている存在で、分かってくれている感はある。
彼にも昔好きだった相手がいるけれど、今は恋愛感情とかは一切なくて、「本当に好きな相手には俺じゃなくても幸せになって欲しい」と言っていた。
それを聞いて無駄に歳を重ねていないな。と思った。
彼はこんな人だということを話した。
「しょーもな」
そう言ってくれたおかげで、吹っ切れた気がした。
*
タイミングを見計らって、別れ話を切り出した。
自暴自棄になって、なにもかもがどうでもいいとさえ感じた。
初めは理解して貰えなかった。
でも、度々話し合ったこと、旅行へ行った時に揉めた出来事、なにもかもお互いが無理で別れたいと思ってしまっていたこと。
別れはつらいけれど、2時間半の話し合いの末、双方納得して別れることになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます