第034話 巫女お姉さんの凶悪な感触

「それじゃあ、新しい仲間に!! かんぱーい!!」

『かんぱーい!!』


 全員が敷物の上に座り、飲み物が皆に回ったら、すみれさんが音頭をとって皆でコップを合わせた。すみれさんだけはチューハイの缶でそれ以外はジュースだ。


 俺の右隣には蛍、左隣には來羽、正面にはすみれさんが位置取っている。


「あぁー、お昼から飲むお酒は美味しいわね!!」


 すみれさんは思いきり傾けて何度も喉を鳴らして飲み込んだ後、お酒の美味さを噛みしめる。


 その笑みはなんというか解放感に溢れていた。


「だらけすぎ」

「固いこと言わないでよ。今日は上のクソダヌキ共もいないし、取引先のオッサンたちもいないんだから」


 その様子を見ていた來羽はコクコクとジュースを飲んだ後で一言呟いたら、すみれさんはうんざりしたような表情をしながらぶーたれる。


「すみれさんは美人だから大変そうですね」

「あら、泰山君は分かってくれるのね」

「まぁそれなりには……」


 すみれさんは退魔局の支部長として本部から色々言われたり、表と裏の仕事の関係で色んな人と会うことが多いのだろう。


 男同士ならまだしもすみれさんは年若い女性でしかも美人で、バルンバルンな巨乳の持ち主。


 それは不快な視線や言動を受けることもしばしばだろう。


 俺も異世界では英雄として色んな場所で接待を受けたり、パーティなどに参加させられたりすることがあった。


 そこでは理不尽な怒りをぶつけられることもあったし、俺が活躍するのを気に食わない奴らから謂れのない誹謗中傷を受けることも一度や二度では済まなかった。


 正直絶滅寸前まで追い詰められていたというのに人間同士でいがみ合ったり、だまし合ったりしているのを見て、こいつらを助けるのは正しいのか悩んだりもしたが、一秒でも早く蛍の許に帰りたかったので考えるのを止めてひたすらにアンデッドを浄化しまくったけどな。


「泰山君は優しいのねぇ!!」

「「あぁ~!!」」


 俺が考え込んでいると蛍と來羽の悲鳴のような声が聞こえるとともに、後頭部に幸せな感触が広がった。それは後ろから聞こえた声と俺の胸元に回されたほっそりとした手により、その正体が分かる。


 それはすみれさんのふっかふかのおっぱいだったのだ。


 それと同時にまるでミルクのような甘い香りが俺の鼻腔をくすぐり、また俺のタケノコが竹になるようにムクムクと急成長を遂げる。


 しかし、幸い座っているため、絶妙に見えにくい向きになっているため、事なきをえた。


「ちょっと!! お兄ちゃんに何をするんですか!!」

「近すぎ」


 しかし、俺の両隣に居たそうは問屋を卸さない。二人はすみれさんの二の腕をガッチリと掴んだ。


「えぇ~、別にいいじゃない。二人ばっかり仲良くしてるんだから私も親睦を深めないと」


 しかし、すみれさんが放すまいと俺を抱きしめる腕に力を籠めるので、俺の後頭部はさらに幸せになった。


 そのせいで竹が天を突くような成長を遂げる。


 ふぅ……ゾンビだ……ゾンビを思い浮かべるんだ……!!


 俺は必死に成長を抑制しようと、別の事を思考しようとするが、ダイレクトな感触は思考を遥かに凌駕する刺激を与えてくるため、中々成果を得られない。


 何て凶悪な武器を持っているんだ!?


 俺はその攻撃力の高さに驚愕せざるを得ない。


「そういう親睦は禁止です!!」

「私が仲良くなれば十分」

「えぇ~!!」


 ガッチリと掴まれたすみれさんは無理やり俺から引きはがされ、二人によって元の位置に戻されていった。


「ふぅ……」


 そのおかげで直接的な感触なくなったので、急成長を遂げた俺の竹がゆっくりタケノコへと逆成長していく。


 ただ、すみれさんは残念そうにしていたように、俺も頭の後ろから幸せと温かさが消えたので、安堵するとともに少々寂しさを感じるのであった。

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