第018話 桃に顔を突っ込む

 学校が終わった後でジャージに着替えて旧校舎の前にやってきた。辺りには誰もおらず、來羽が見当たらないところを見ると來羽はまだ着替え中らしい。


「……まさかありえないよな」


 俺はふと着替えに時間が掛かっていることに不安がよぎる。


 でもここは学校だし、あいつもジャージは持ってるだろうから、俺の予想が当たることはないはずだ。


「待った?」

「いや、そうでも……!?」


 背後から声がして振り返ると、その恰好に目を見開く。


 なぜなら俺の予想は完全に裏切られ、限りなく黒よりのグレーのぴっちりスーツに身を包んだ來羽が立っていたからだ。


 そして俺の下半身もウォーミングアップを始めた。


「ちょっ!? バカなのか!? なんでその恰好で来たんだよ!?」


 俺は思わずツッコミを入れてしまう。


「むっ。バカじゃない。人除け結界張ってるから見えないから問題ない」

「見えなければ良いってもんでもないだろ!?」


 俺の必死の言葉に対して少しムッとした様子で答える來羽。


 いやいや、それって誰も見てなければどんな格好をしていてもいいってことになるぞ?

 それってつまり、見ている人間がいなければ全裸でも構わないと言っているのと同義だ。もう少し女の子として恥じらいを持ってくれ!!


「悪霊を倒せれば問題ない」

「はぁ……さいですか……」


 俺の気持ちが届くことなく、彼女が服装を変えてくれることはなかった。


「もしかしてこの辺りに人が居ないのは?」

「人除けの結界と、学校に今日は旧校舎は使用できないように通達を出して貰った」

「マジか。やっぱすげぇな国家権力……」


 話を変えて付近や内部から人の気配を感じない理由を尋ねると、どうやら国の力を使って人を追い出したらしい。


 しかし、改めて中を探ると、いくつか怪しい気配があるのが分かった。


「入る。私の後をついてくる」

「分かった」


 おそらく俺の方が悪霊を浄化する力にかけては上だろう。しかし、彼女の方が経験は長いはずだ。


 一緒に動くことになった以上、先輩に従うのが当然の判断だろう。


 俺は來羽の後に続いて中に入っていく。


 來羽は周囲を窺うように少しかがんで進む。俺も真似してかがむと目の前にプリップリの臀部が現れた。


 ぴっちりスーツは裸体にピッタリを張り付いているような状態。つまり彼女のお尻そのものが眼前にあるようなものだ。


 その桃尻がフリフリと左右に揺れて俺を誘う。


 そんなものをぶら下げられれば、俺のマグナムはセーフティロック解除状態。いつでも発砲可能になってしまう。


 ただ、幸いにして來羽が先導しているのと、前かがみで進んでいるためバレることはない。


―ムニュリッ


「うっぷ」


 考え事をしていたら凄い柔らかな弾力に顔面が包まれることになった。それと同時に柑橘系のフローラルな香りが俺の鼻腔をくすぐった。


「んっ……押さないで」


 それと同時に柔らかい感触の先の方から声が聞こえた。


 俺は先ほどまで目の前にあったピッチピチのお尻に顔から突っ込んでしまったようだ。俺の両頬は張りのある柔らかさに、鼻がプニプニとした弾力に包まれる。


 これはつまり俺は完全に彼女の大事な部分に顔を当てているということになる。


 その瞬間、俺のさらに血が集まり、第三の足はそれだけで体を支えられそうな硬さになった。


「ひぇ!? ご、ごめん……」


 俺はすぐにその場から飛びずさり、土下座して謝る。自分の体に当たる硬い感触が気になるが我慢だ。


「別に気にしてない。いいからついてくる」

「わ、分かった……」


 俺の方を向かずに前だけを見て言葉を発する來羽に、申し訳なさげに頭を下げたまま返事を返した。


 そっと視線を上げると、後ろから見えるほほがほんのり赤く染まっているような気がする。


 不謹慎だが、彼女でも恥ずかしいと思うことがあるのかと思わざるを得なかった。

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