1-9
朝起きると安城さんは既に起きていた。
俺が着替えてリビングに行くと、安城さんが本を読んでいた。
「あ、安城さんおはよう。早いね・・・・・・」
「いえ、いつもはもう少し早いですからね」
陽菜が起きてくると、軽くランニングに行き、学校に行く準備をした。
内条さんとWPTで待ち合わせを決める。
とは言っても安城さんと水無瀬と俺で新狩場に集合してから、
内条さんの家に直行することにした。
「おはよう」
「あ、おはよう島田くん」
「おはようございます水無瀬さん」
そんなわけで水無瀬と新狩場で合流し、内条さんの家に行く。
内条さんと合流し、新狩場中央で木村さんと合流する。
「キャァ」
学校に着き、内条さんがロッカーから物凄い勢いで離れる。
内条さんのロッカーを覗くと、上履きの中にてんとう虫が入っていた。
俺がつまんで外に逃がす.
「虫、触れるんですね」
「ん?あぁ」
「凄いですね。わたくしは無理です」
内条さんの机を見る。
外見はなにもないが、中には大量のゴミがあった。
俺はため息をつくと、机を担ぎ水無瀬とともに捨てに行く。
「わたくしが思っていたより悪質で驚いた」
「俺もだよ。学校に最初について鍵を開けたのは安城さん、
締めたのも安城さんということは誰かが鍵を持っているということだよね」
「そうね。問題は誰かなんだけど」
俺と水無瀬は教室に戻る。
そして職員室に俺と安城さんと水無瀬で行く。
水無瀬の正体に驚く職員達は素直に見せてくれる。
「えっと・・・・・・昨日の放課後から」
「早送りでいいだろ」
早送りで放課後から朝まで見たが、写っていなかった。
「これはおかしいですね。水無瀬探偵、どうですか?」
「う〜ん・・・・・・結果的には解決しそうなんだけど、証拠がないんよな」
「あ、解決したんですね」
教室に戻ると、内条さんと木村さんが話していた。
水無瀬は少し考えると、ここで待っているように指示すると1人で走って出ていく。
「水無瀬さん、証拠が見つかったんですかね」
「それなら話が早いね」
木村さんがトイレに走っていく。
スマホを出し、WPTを開く。
水無瀬が職員室で待っている、と打ってあった。
木村さんが帰ってくると俺は言う。
「水無瀬が職員室前にいるらしいから行こうか」
「分かった」
内条さんが頷くと、階段に向かう。
内条さんがスキップしながら向かう。
俺と安城さんは並んで降りていくと、先行していた内条さんが止まっていた。
「どうした?」
「あ・・・・・・あれ」
内条さんが指を指した先には階段の下で気絶している水無瀬が居た。
安城さんが駆け寄ると、スマホを出す。
10分もしない内に警察と救急車が到着し、水無瀬を搬送していった。
「水無瀬さん、大丈夫でしょうか・・・・・・?」
「安城さん、水無瀬のことだ。きっと大丈夫だよ」
俺と安城さんが話していると、警察の人が事情聴取をすると言い、
俺らは学校の教室に連れてこられた。
いや、事情聴取何回目だよ!?
確かに容疑者ではあるけれどもね。
人生でも2回目、そして今月2回目だよ。
「まず第1発見者の内条さん、あなたはどういう経緯であそこに居ましたか?」
相川と名乗る刑事が内条に訊く。
この人確か前にも・・・・・・。
内条さんは木村さんと歩いていたらしく、木村さんも内条さんの犯行は無理と言っていた。
俺と安城さんももちろん聞かれる。
安城さんは事情聴取が終わると、スマホを出す。
「安城さん、誰に連絡を・・・・・・?」
「石川さんです。知り合いなんです」
WPTを開くと、事件を細かく教えていた。
30秒もしない内に既読が入る。
「これで大丈夫ですね」
「安城さん、石川YUZUさんと知り合いなんだ」
「えぇ」
ちょうど前を通った相川さんを安城さんが呼び止めて事情を説明して、
スマホを渡す。
これで写真を取って石川さんに送るということだ。
数十分すると、相川さんが安城さんのスマホを返した。
「ありがとうな。そして病院から連絡が来たんだが、
水無瀬探偵は結構な重症と聞いている。見舞いに行ってやれ」
「いいんですか?ここから立ち去って」
「構わん。石川ならそれくらいしても構わんと言うはずだ」
ということで水無瀬がいるという学校から徒歩3分の総合病院に行く。
2501号室、水無瀬様と描かれた場所に入る。
ベッドに寄ると水無瀬が頭に包帯を巻いて手帳を開いて見ていた。
「水無瀬、大丈夫か?」
「ありがとう、大丈夫よ」
「それは良かった」
「水無瀬さん、今回は大人しくしてたほうがいいですよ。石川さんに頼みましたし」
「やっぱり知り合いなんだ。そんな気がしてた」
「ごめんね。私があんなこと頼むから」
「いいよ。気にしてない。そもそもあなたが悪いわけではない」
「水無瀬さん、階段から落ちた時の状況を詳しく教えてほしいと
石川さんから連絡が来ました」
「分かった」
稗田阿礼と太安万侶みたいになってんな・・・・・・。
あ、ちなみにこれは古事記を書いた人たち。
喋ったのが稗田阿礼。
書いたのが太安万侶。
こんな余談はどうでもいい。
「あれは事故ではないと思う。絶対に押された感覚があった」
「そうなんですか?」
「えぇ・・・・・・結構強く押されたから後頭部を強く打ったんだよね」
「そんなに強かったんですか?」
「普通に私の体が浮いてそのまま落ちたからね」
「そんな強かったんですね」
「足は引っ掛けられるし階段から落とされるし」
「足を引っ掛けられる・・・・・・?」
「足で引っ掛けられてその直後突き落とされたよ」
「足って横に出てましたよね?」
「小さいけど力が強かったです」
「分かりました。石川さんに連絡しときます」
「ちょっとまって安城さん、今回の事件は私が解決します。
だから石川さんには何も言わないで下さい」
水無瀬は冷静に手帳に書き込む。
「・・・・・・事件の情報は石川さんとのWPTの上の方に相川さんという方が記入してました。
そして石川さんには何も教えません」
「ありがとう」
水無瀬は情報を手帳に書き込む。
木村さんと内条さんは話しながら窓から景色を見ていた。
6日後
学校は緊急休暇となり、ゴールデンウィークが明日に迫った日。
水無瀬は退院して学校に向かう。
「今日こそ決着をつけなければ」
「石川さんはそんなことを考えてないと思いますけどね」
「今回の事件は私が先に解決します。被害者として黙っていられません」
水無瀬が学校の職員室に行くと、警察が水無瀬の到着を待っていた。
水無瀬が来ると、中学1年5組の教室に向かう。
臨時で今日はこのクラスだけ登校していた。
俺と安城さんと内条さん、木村さんが席につくと、水無瀬が教卓に立つ。
水無瀬は手帳を開く。
「では水無瀬探偵、よろしくお願いします」
「分かりました相川さん。ではまず、私が突き落とされたことの前に
内条さんをいじめていた人を先に推理させていただきます。
反論のある方は容赦なく手を上げてもらって構いません」
水無瀬がまずルールのように発表する。
「まず内条さんをいじめていた人ですが、
教室にいる人の殆どが関わっていますが、黒幕が居ます。
あなた達は脅されていますよね?」
「もちろん。やれって。そうじゃないと誰かが死ぬってね」
クラスに居た誰もが言う。
「そこから推理できるのは、誰かが裏切った、
もしくは見せしめに私をやったのでしょう」
なるほど。
安城さんは手帳に水無瀬が言ったことを書き留めている。
「教員も脅されているのでしょう。だから防犯カメラ、
何も写っていなかったんですよ」
「あの、防犯カメラ見せてもらっていいですか?」
「いいですよ」
クラスに居た
防犯カメラの映像を流すと、確かに何も写っていなかった。
データ削除なんてよく考えた手口だよな、俺感動したかも。
犯人に便乗するわけではなく、その頭脳。
「内条さんをいじめていた黒幕、そして私を突き落とした犯人は・・・・・・」
水無瀬はゆっくりと顔を上げた。
≪To The Next Story...≫
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます