1-5
水無瀬香織、警察関係者の1人。女探偵。
え・・・・・・マジ・・・・・・?
そんな事ある?
あんな人と容易に話していいの・・・・・・?
もしかしてあの時図書館を去っていったのは事件が入ったから?
俺は食事を食べ終わると自分の部屋に戻り、先程交換したばっかの
水無瀬とのWPT【ワールド・プライベート・チャット】に打ち込む。
島田裕志:≪水無瀬、お前もしかして警察関係者?≫
打ち込んでしばらくすると既読が入り、返信が来る。
香織 :≪え、そうだよ≫
島田裕志:≪今捜査中だよな。わざわざごめん≫
香織 :≪別に構わないよ≫
まさか本当にそうだとは・・・・・・。
安城さんとのWPTにも打ち込むと、
しばらくして安城さんから思った通りの反応が帰ってくる。
安城さんも驚いているようだ。
知り合いがまさか探偵だとはね。
そんなこと誰も考えないよ。
「お兄ちゃん、暇?」
「え・・・・・・あ、あぁ。暇だよ」
「え・・・・・・なんか凄い怪しい」
「多分ニュースでやってるはず」
リビングに移動すると、陽菜がテレビを5チャンネルに合わせる。
《捜査を手伝っている水無瀬探偵によりますと、
今後も同じような殺人事件が起こる可能性は否定できないと言っております。なお・・・・・・》
「あ、水無瀬探偵ね。陽菜知ってるよ。よくテレビに出てたから」
「実は
俺は経緯を説明する。
「えぇぇ!?お兄ちゃんの知り合い!?」
「正確にはまだ話して3時間くらいしか経ってないけど」
陽菜は驚くと同時にのけぞる。
そりゃそうだよな。
兄の知り合いに有名人がいるなんてね。
これもそうだけど誰も考えないよな。
その後、安城さんとWPTで明日ここの下の図書館、つまり梅川中央図書館で会うことになった。
◆
次の日の朝はランニングに行こうとした所、母と陽菜に反対され行くことができなかった。
残念無念!
そして、安城さんと待ち合わせをした図書館に時間通り行くと、安城さんは先に待っていた。
「お待たせ、今日も早いね」
「いえ、少し前に着いたばっかです」
「いや、絶対にもっと早くから居たでしょ」
俺は安城さんの隣に座ると、本を読む。
「昨日も話しましたけど、水無瀬さんがまさか探偵だなんて思いませんでしたよ」
「俺も初めて知った。というか気づかなかった」
「ていうかこの町、有名な探偵多いですよね。水無瀬さんと
「そうだね。石川さんは顔を見たこと無いな」
「私もないですよ・・・・・・多分」
多分って何だ?
記憶にないけどあってるかもしれない、もしくはその可能性があるってことだよな。
しばらくすると、安城さんのスマホが鳴る。
「失礼しますね」
安城さんはスマホを手に取ると電話に出る。
安城さんの表情が変わる。
声色も少々変わった。
真面目になったんだろうな。
俺は構わず本を読む。
「はい・・・・・・えぇ・・・・・・そこに落ちてたのね・・・・・・分かった」
そう言うと、安城さんは手帳を出す。電話をしながらメモを取っている。
俺は本に目を移す。
「ごめんなさい島田くん。少々用事ができてしまって」
「いいよ。目処は立ってるの?」
「終わるくらいにまた電話します」
安城さんはそう言うと小走りに出ていく。
なにか事情があるんだなと思いながら家に帰る。
「おかえり。早かったね」
「友達が用事できたからまた会えるようになったら行くって話をしてきた」
リビングに行き、テレビを付ける。
一夜明けるだけでニュースの話題が明るい。
30分くらい経っただろうか。
速報が入る。
≪速報です。昨夜発生した殺人事件は無事、容疑者が逮捕されました。
解決したのは石川YUZUさんと捜査関係者への取材で分かりました≫
へー。捕まったんだ。
良かった。
俺がホッとしているとスマホが鳴る。
画面を見ると安城さんからの電話だ。
「もしもし」
『島田くん、用事が済んだので後10分くらいで図書館に付きます』
「分かった。待ってるね」
安城さんの用事が終わって何より。
そう言えば水無瀬はとりあえず事件解決したから一段落しているはず・・・・・・。
一様迷惑をかけないようにWPTで連絡する。
島田裕志:≪事件解決したようだけど、この後空いているようなら
梅川中央図書館で安城さんと俺がいる≫
と一言入れる。
俺は靴を履いて図書館に向かう。
「あ、安城さん。早いね」
「じけ・・・・・・いえ、用事が速く終わったもので」
「ん?何か言いかけた?」
「いえ、何も言ってません。そしてこれだけは口が滑っても教えられません」
口が滑ってる時点でもう教えているのと同じなんだよね。
うん。
俺は論破してしまったな。
「あ、いたいた。安城さん、島田くん。おまたせしました」
「今来たとこだよ」
「それなら良かったです」
「改めてだけど、水無瀬って探偵だよね」
「えぇ。最初に言っとけばよかったね」
「解決したのは石川さんって聞いたけど」
「いつも先を越されてしまうんですよ。こういう大きい事件の時は。
小さい事件ならわたくし1人ですからね」
「石川さんの顔、知ってる?」
「わたくしは見たことないです。でも、警察関係者の中には見たことのある人が居て、
オッドアイと言っていました」
「あ、失礼します」
安城さんは電話を取る。
「安城です。あ、
その話を聞いていた水無瀬が俺の方に寄って来て言う。
ん?どうしたんだ?
「裕志くん、安城さんもしかしたら探偵かも。その証拠に相川さんって警察関係者なの」
「まさか。俺は水無瀬が探偵なだけでも驚いてるのに安城さんも探偵なんてまさかね」
俺は半信半疑、といった所だろう。
だってそんな理由だけで決めるのもなんだしね。
ていうか何で水無瀬は俺に言ったんだ?
安城さんは電話が終わると、席について水無瀬を見る。
「私が何かしました?」
安城さんは穏やかにも鋭く訊く。
しかもすごいオーラを発している。
水無瀬は圧力に負けたように言う。
「安城さん、探偵?」
「いえ、違いますけど?流石に水無瀬さんのそばには居ないんじゃないですか?」
「あ、まぁ確かに」
水無瀬は納得したように言う。
そこで考えを曲げてしまう当たり本気にしてないんだろうな。
その時、地鳴りがしたと思うと地面が揺れる。
「じ、地震!?」
水無瀬が驚く。
揺れがしばらくすると治まる。
安城さんがスマホを開く。
「地震じゃないみたいですね。テロですね」
「テ、テロ!?」
「全員、動くな」
いわゆる銀行強盗犯みたいな人が銃を持って入ってくる。
あちらこちらで悲鳴が上がる。
男はスマホを出すように指示をする。
俺は素直に渡す。
安城さんも水無瀬も大人しく渡す。
俺はてっきり水無瀬は渡さないのかと思った。
しばらくすると、男は全員を図書館の奥に連れていき資料庫に入るように指示をする。
全員と言っても15人程度が入ると外から鍵を締めた音がした。
「水無瀬、これは完全に詰みだな」
「わたくしは諦めませんよ」
「では、どうするのですか?こんな状況で」
「待ちます」
「え・・・・・・」
「警察が来るのを」
水無瀬ははっきりと言い切った。
≪To The Next Story...≫
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