1-2
学校に着くと、最初に提出する書類を提出して席につく。
チャイムがなると先生が仕切って自己紹介を端からしていく。
「
相生さんから自己紹介が始まり、出席番号16番の俺の番が回ってくる。
「島田裕志と申します。趣味は読書です、一年間よろしくお願いいたします」
よし。完璧じゃないか?
上出来上出来。最初の人の緊張感は知らないが、ともかく教卓に立つと緊張する。
わかるよね!?
次にローテーションタイムが始まった。
とりあえず歩き回って先生がストップと言った瞬間に近くに居た人と
お互いに自己紹介と軽くミニゲームをするというものだ。
このクラスの人数は偶数なので一人ぼっちという事態は絶対に起こらない。
ある意味良かったのかもしれない。
最初にペアは安城閑華さん。
「えっと・・・・・・島田くんでしたっけ・・・・・・私は
「島田裕志だ」
こういう名前を知っている人に対して自己紹介する必要性が皆無で笑った。
というかこういうときの挨拶って超迷うんですけど。
ミニゲーム内容はこうだ。
先生がお題を出したときにお題に対して先に好きなものを言ったら1ポイント。
「それでは行きまーす。最初のお題は好きな本の作者」
「
「・・・・・・え」
思考回路のでき方が違うのだろうか。一切の思考タイムを許さない。
もちろん10-0の大敗、いや、惨敗になった。
俺が弱いのだろうか。
いや、違う。
この人の頭の回転の速さがこの結果を作ったのだ。
つまり、頭の出来が違うんだ。
そして次のペアに回ってきた。
「わたくしは
「俺は島田裕志、よろしく」
案外話しやすい感じの人に当たった。
先程とは程遠く5-5に終わる。
こっちのほうがいいよね。
平和って大事。
俺は軽く会釈して席に戻る。
その後すぐ下校となった。
◆
時間もあるし本を読もうと思って俺はそのまま、狩場中央図書館へ移動し、本を選ぶ。
最近よく読んでるのは・・・・・・摺川瑠南さんの・・・・・・この本にしよう。
俺が本に手をかけるともう一つの手がかかる。
俺は慌てて手を引っ込める。
「す、すいません」
「す、すいません」
お互いにシンクロさせる。
相手の顔を見ると安城さんだった。
安城さんは右側の髪が目にかかるかかからないくらい。
そして身長は俺より少し低いから165前後ってところか。
スタイルも悪いわけではない。
少し学校と雰囲気が違うが、印象的だから覚えている。
それに今日ペアになったし。
「えっと・・・・・・安城さんだよね?」
俺はそっと訊く。
安城さんは頷くと俺の袖を引っ張って端に連れて行く。
「ちょちょちょちょちょ安城さん!?」
「いいから来て」
俺の人生に終わりが告げるのか!?
俺、まだ生きたいよ!?
親孝行だってロクにしてないのに。
あ、言っちゃった。
親孝行は皆さんしましょうね。
って、これ言われる側だった。
ともかく、そんなはずもなく安城さんは手を合わせる。
「お願い、ここにいることを内緒にしてほしいの」
「またなんでそんなことを」
「昔から人に見られるのが嫌で・・・・・・そして知られるのも嫌なの」
「だからってここまでするの」
「だって・・・・・・島田くんが何もしない保証がないし」
否定できないところが悲しい。
俺は何も言わないしやらないけどね。
「黙秘してもらうために何か1つ私が出来る範囲のことなら何でもするから」
「じゃぁ毎日ここに通ってくれ。そうすればまた色々話せるだろ?」
「え・・・・・・それだけでいいんですか?」
「あぁ。えっと・・・・・・改めてだけど安城さんって呼べばいいよね」
「安城って呼んでくれればいいです」
「えっと俺は島田でいいから」
「わかりました」
お互いに読む本を決め、座って読書をする。
ある程度時間が立ち18時20分になった。
安城さんの提案で俺と安城さんは駅へ向かう。
「安城さんはどこに住んでるの?」
「
「
「そうなんですね。ここで出会ったのもきっと何かの縁ですし、一緒に食事しません?」
「もちろん」
こんな誘いを断るわけねぇだろ。
友達と食事をするなんて絶好のチャンスだろ。
これを逃したら一生涯ないかもしれない。
もらえるものはもらっとけってここで使うんだな。
違うって?
俺はスマホを出すと食事をしてから帰ると連絡を入れる。
安城さんもスマホで連絡をしている。
「折角だし連絡先交換しない?」
「いいですよ」
「ありがとう」
「これで一様連絡が取れますね。」
「そうだね」
連絡って言ってもそんな取るもんじゃねぇだろ。
いや、案外取るかもしれない。
「ちなみにどこのお店に行くとか希望はある?」
「いえ・・・・・・特には」
「うーんじゃぁここで」
俺が選んだのは一種の洋食店。
理由は特にない。
こんなのに選ぶ理由もねぇだろ。
メニューを見ながら俺は考える。
何故安城さんとこんな食事をする羽目になったのかと・・・・・・。
いや、もちろん経緯は分かってるんだけどね。
目の前で起こっていることが事実だと信じられないんだよね。
俺はパスタ、安城さんもパスタだ。
店員さんはメモをとると居なくなる。
「島田くんは兄弟居るの?」
「妹が1人居る。安城さんはどうなの?」
「姉が居ます。8つ上の姉が」
「いいなぁ〜姉」
「いやいやいや、いいことありませんよ。意地張るし、なにせずる賢いですからね」
「えぇ・・・・・・そんなボロボロに言わなくとも・・・・・・」
「絶対に妹のほうが可愛いですよ」
「いや、妹はこっちが言うこと言わないと聞かないし、あくどいしいいこと無いよ」
「じゃぁ交換します?」
「それは流石に無理じゃね」
「フフ・・・・・・」
安城さん、見た目は大人しそうだ。
しかし、見た目に反して性格はものすごく強気なんだな。
俺は苦笑いしながら話題を変えようとした瞬間、料理が届いた。
「島田くんは何の部活に入るか決めてますか?」
「俺は部活は入らないつもり・・・・・・。安城さんはどうするの?」
「もちろん入りません」
ですよね。聞いた俺が間違いでした。
安城さんの性格からしてそうなる予感はしてた。
なんだかんだ
「島田くん・・・・・・是非またご一緒してください」
「何故急に?しかもなんで俺?」
「居心地がとてもいいからです」
「まぁいいけど・・・・・・」
「本当ですか?」
「あぁ」
「前に何回か裏切られたことがあるので念には念を入れるようにしているんですよ」
「へ、へぇ」
意外だな・・・・・・。そんな一面があるとは。
俺と安城さんは食べ終わると駅に向かう。
電車に乗ると梅川中央まで安城さんと雑談しながら来た。
「それじゃぁまた明日」
「学校では内緒ですからね」
「分かってるよ」
安城さんは念を押しに押して俺を見届ける。
俺が家に帰ると、陽菜が玄関で待ち構えていた。
「どこに行ってたの?」
「図書館」
「なんで遅いの?」
「夢中になってたから」
「ならいいや」
陽菜はいつもとは変わってあっさりと自分の部屋に帰っていった。
シャワーを浴びて部屋に入ると日記をつける。
そしてその後寝た。
≪To The Next Story...≫
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