痛み

不良のケイジ

痛み

私が最後に見た景色とはきっと儚い人生の1部だったのだろう。周りの人間達の見る目はあまりに滑稽で常に私を嘲笑うような顔だった。それに釣られて私も嘲笑った。醜い人間共の真似をしてな。


突如人は笑いを止める。私も笑いを止める。


人間共が私に向けて放った悪習は私の逃げ場にも進む道にも壁を作る程、私の"生"を拒んだ。


私は自分の逃げ場さえ失い、私は永遠とばかり苦しんだ。私の苦しみ等、他の誰にも解るまい。

私は、自分の逃げ場を、自分の進む道を奪った人間共を、憎しみ恨んだ。

その翌年、入水をしてみた。しかし、入水は未遂に終わってしまった。


次に私が目を覚ました所と言えば、病院の103号室のベットであった。私の犯した入水は未遂のまま、2度も私は痛みと苦しみだけを味わい、生き延びてしまったのか。


いつまで"生"を与えるのだ。この世に神等存在しない。私はただ、走馬灯という記憶を、ストーリーを見たい。死後の世界がどんな極楽か見たい。この溢れん痛みから逃れたい。その一心で私は入水を決意したのに全ては水の泡に終わってしまった。


私は病院のベットの上で果てしなく絶望を感じた。また"苦しみから逃げられなかった"と。私が入院している病院には誰1人見舞いに来るものがいなかった。

来る日も来る日も待ち望んでいたのに遂には看護師でさえこなくなった。


また、私は孤独だ。


1番大好きで1番大嫌いな孤独。私にはわからない。心の奥底でズキズキと痛む。


これは何だ?


私は謎の痛みを抱えて病室を出た。長い廊下を歩いていると周りの人間は噂する。私はまたしても逃げられない壁を作った。私は抉り抉られた心の破片を持ってエレベーターの近くまで歩く。両方あるエレベーターでは片方が使用不可なので片方のエレベーターを使用するしか無かったのだ。

私はエレベーターに乗り、スイッチを押した。エレベーターは刻々と下に進んでいく。

この沈黙が私にとっての痛みだった。常に誰かと話していたい。常に怯えることの無く前を歩きたい。  私は臆病者なので勇気ある行動等星屑のように出来ない。私は弱い人間、弱者だ。痛みを恐れ、人間達から逃げ惑い、苦しみから逃れる為に私は今もこうして歩いている。

エレベーターから1歩出れば無人の廊下で孤独を味わいながら歩く。何時にも増して早歩きになる。目の前には人間達が入ればきっと溺れ死ぬであろう川があった。


私は真っ先に飛び込んだ。


後に気づいた人間共は私を発見して近づいてきたが助かる保障はひとつも残ってはいなかった。私が最後に見た景色はこんなにも儚い人生だったんだろう。私はその光景が滑稽で人を嘲笑って目を閉じた。


ーーー解説ーーー

主人公は精神患者で1度自殺未遂をしている。病院の103号室とは精神病院であって人々は主人公の精神について話していただけのことを主人公は自分の痛みと思い込んでいた。そしてこれはループしていることを主人公も人々も誰も知らない。


追記

病院自体はほんとにあったものと背景は実際見たことあるものを使用した。

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