ちょこれいとアイスクリーム

文月 いろは

ただ欲しかったその言葉

『がんばったね』がしかった。

ただ、その一言ひとこと

なに成果せいかしたとき結果けっかとき、ただめてしかったとき

その言葉ことばしかった。

だから、宿題しゅくだいも、テストも、予習よしゅう復習ふくしゅうならごと日常生活にちじょうせいかつ

すべ模範的もはんてき人間にんげんになれるよう努力どりょくした。

最初さいしょ心地ここちよかった。その言葉ことばをもらうたびにこころ奥底おくそこがポカポカして、とてもしあわせな気分きぶんだった。

また頑張がんばろうとおもう。そんな気持きもちだった。

しかしどうだろう。

わたし十七年じゅうななねんきてづいた。

』ということに。

わたし努力どりょく周囲しゅうい日常にちじょうになった。

ひとより頑張がんばってもわたしだから当然とうぜんなん言葉ことばもかけなくなった。

そしておもった。

わたしわたしがしたことでいい方向ほうこう世界せかいうごいていると本気ほんきおもっている。

ひとからめてもらうことがいいことだとずっとおもっていたから。

だからこそおもった。

・・──?』

わたし行動こうどうはやかった。

あるあさ時計とけいのアラームがってもきなかった。

両親りょうしんいそいでわたし部屋へやたさ。

たりまえだ、食事しょくじがないのだから。

いえ掃除そうじもしないし、学校がっこうにもかない、食事しょくじつくらないし、弁当べんとうつくらない。

このいえあさわたし必須ひっすだ。

両親りょうしんわたし部屋へやとびらひらこうと必死ひっしだが、無駄むだなことだ。

前日ぜんじつよる電子錠でんしじょうけておいたうえに、とびら素材そざいえた。

常人じょうじんのタックルなんかじゃきずがつかないほどには頑丈がんじょうなやつにね。

なぜ一夜いちやでこんなことができるかって?

わたしだれよりも努力どりょくきだ。

いままでなんでもやってきた。とびらえる程度ていどのこと、造作ぞうさもない。

ドンドン・・──。

とびらたたおといてわたしづいたね。

わたしまわりの日常にちじょうわたしなしではたないくせにそれを当然とうぜんだとおもっている周囲しゅうい人間にんげんがものすごくあわれなことに。

このわたしわたしてた。

いや、もうひとつのわたしつくった。

まわりに感謝かんしゃづかせるわたし

そのはじめてわたし出来上できあがった。

周囲しゅういたすけになるわたしと、周囲しゅうい感謝かんしゃづかせるわたし

今度こんどこそもらおう。

』を。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ちょこれいとアイスクリーム 文月 いろは @Iroha_Fumituki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ