第41話 一応華の女子高生
久しぶりの川内回
ーーー
今でこそ女子高生とVtuberの二足のわらじ状態の私だけど、学生の本分は勉強だ。
学生には何がある。
そう──テストがある!
「とは言え、人生2回目だからそんなに苦労はしないケド」
勿論高校生の時の記憶は曖昧だから、忘れてる部分も多い。というかほぼ忘れてる。
でも、私は養殖ハイスペック。当然、勉学に関しては身につけるべき教養として、粗方大抵のジャンルは修めた。
今から共通テスト受けても八割は取れるかな?
本気で一心で努力してる人には当然勝てないけど、日常の定期テストで困らないレベルでは予習復習は欠かしていない。
──まあ、それは私だけの話で。
「蓮華ぇぇ……助けてぇ……」
「さすがに数学の小テスト八点はヤバいと思うよ」
「そんなこと私が一番分かってるつーの!」
「まあまあ落ち着いて。教えてあげるから」
「神様仏様蓮華様!」
調子の良いことを言う、自称普通女子こと
私がVtuberをしていることを知らないリアルでの友達。
最近やけに私の悪戯心をくすぐるようなことばかり言うせいで、本気で堕とすか迷ってる。
「別に勉強を教えることが苦なわけじゃないケド。川内だって学校の図書室でするの嫌でしょ?」
「なんか勉強してる、って感じがして嫌だわ」
「勉強するんだよ。んー……ま、いいか。家来る?」
「──へ?」
川内がピタリと動きを止めた。
驚きと微かに喜色の混じった表情をする川内に首を傾げる私だったが、確かに家に誘ったのは初めてだったかもしれない。
特に面白いモノがあるわけでもないし外で遊べば良いじゃん、としか思っていなかったのが主な原因かな。
「どう? 嫌だ?」
「いやいやいや、まさか! 行く! 絶対行くから!!」
身を乗り出して興奮気味に参加を伝える川内。
思ったより激しい意思表明に「お、おう」とビビる私。別に来たところで何もないけどね……。勉強するだけだから良いんだケド。
「そっか。じゃあ、早速今日の放課後に来る?」
「おっけー。蓮華の家楽しみだなぁ」
「言っておくけど勉強のためだからね?」
「分かってるって」
絶対わかってないでしょ。
勉強よりも私の家に思考がシフトしてるのが明らかに分かる。
興味を示してくれるのは嬉しいけれど、ここまで大喜びさせてしまったらぬか喜びにならないか心配になる。
やったぜ、と喜ぶ川内を尻目に、ふと悪戯心が湧いた私は、ニヤリと口角を深めて後ろに座っていた佐々木に声をかけた。
「佐々木も来る?」
「行くわけないだろバカなのか? ……あ、ごめん。その、俺をダシに使うのは別に良い……というか最高……じゃなくて、じゃんじゃん使ってくれても良いんだけど、行ったら俺は確実に自分が許せなくなって詰むから行かない。女子会に男はいらないだろ?」
「うーん、これぞガチ勢クオリティ」
明らかに後者が後付けの理由だよね。
現実でカップリングを構築してそうな百合スキーが言うと説得力がすごいね。
……当初の思惑通りに川内が不機嫌にほっぺを膨らませてるから良しとしよう。
「かーわない。冗談だって。……ふふ、焦った?」
してやったり、と笑う私に、川内は微かに顔を赤くしてバシバシと背中を叩き始める。
「さ、最近の蓮華って、なんか攻めっ気強くない!? 私の心臓のこと考えてくれね?」
「むり。学校に来てる理由の6割が川内だから」
「そーゆこと平気で言わないでもらっても良いですかね! あと、6割って微妙!」
照れる川内からしか取れない栄養素がある。
私的には友達の範疇での言動と行動なんだけど、そろそろ堕としにシフトしたくなってきた。末期症状かもしれない。
何だろう……私ってSなのかな? 間違いなくそうかもしれないけど、改めて自分から自覚した方がやりやすいこともある。
友達として見れなくなってきた。
甘くててぇてぇ言葉かもしれないけど、実態は私の欲求が抑えられなくなってきただけの話。……自重したほうが良いのかな?
あと欲求が抑えられていない君。
おい、佐々木だよ。鼻血出すんじゃない。
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短め
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