第28話 二期生コラボinカラオケ #どんまいツナマヨ

「どうして私ハブられたんですかああぁぁ!!!」

「ごめんて」


コメント

・どんまい

・謝罪が軽いw

・いや、おめぇ楽器演奏できないじゃん……


 クラちゃんとの音楽対決コラボから一週間が経った。

 無事に公式チャンネルで放送されたコラボは大きな反響を呼び、急上昇1位にまで上り詰めた。

 私もクラちゃんもチャンネル登録者数を伸ばし、私は42万人。クラちゃんは26万人へ。

 なぜかツナちゃんも相互作用で20万人に。


 これで二期生全員登録者が20万を超えた。


 ほくほく顔の私は、現在カラオケで二期生コラボの真っ最中だ。

 涙目のツナちゃんには悪いけど、ハブるつもりでいたからね最初から。あの場にそぐわない人物だったから仕方ないんだって。

 君いたらシリアスぶっ壊れるじゃん。


「ごめんなさい、ツナマヨさん。仕方ないのよ。花依さんがあたしを離してくれなかったから……」

「語弊を招く発言はやめよ? クラちゃん。まあ、離す気はないけどね」

「花依さん……」


 キラキラした瞳で赤面しながら私を見つめるクラちゃん。お互いの距離は一センチとない。ピッタリと私に寄り添うクラちゃんは傍から見ても堕ちている。

 

「ちょっと、そこぉ……!!」

「「なに?」」


 怪しい雰囲気を醸し出す私たちに、堪らずといった様子で叫ぶツナちゃん。

 対面に座っているツナちゃんは、バンッと机を叩くと言った。


「なに? じゃないですよぉ! おかしいじゃないですか、距離感! 前までツンツンしてたのにちょっと絆されたらデレちゃうんですか! もうちょっと手強い感じじゃないんですか、クラシーさん!」

「珍しく語感が強いね」

「誰のせいだと思ってるんですかぁ! 目の前でイチャイチャされる私の身にもなってくださいよぅ! 脳が破壊される……っ!」

「……混ざる?」

「あたしは別に構わないわ」

「あなたたち揃って倫理観狂ってるんですか」



コメント

・いや、草

・魂の叫びすぎるwww

・寝取られてるじゃん

・なお、ハーレムは構わないようw

・全員好感度100%だからヘイト管理はバッチリとw

・真顔でツッコむの珍しいなwww


 いや、ごめんて。

 クラちゃんがここまでデレるとは正直思ってなかったしさ。とはいっても、これは演技だと思うけどね。

 元々クラちゃんはツンデレってわけでもないし、デレてはいるんだろうけど、これは些か過剰すぎる。

 

 うん、でもさっきから太ももさわさわするのやめて?


「ふぅ、まあ冗談よ」


 クラちゃんはそう言って、私から距離を取った。

 

「確かに花依さんには堕とされたわ。でも、すぐにベタベタする程軽い女じゃないわ」

「堕とされてはいるんですね……」

「二期生、ゲットだぜ!」

「洒落にならないボケ……っっ!」

「否定できないわね」

 

コメント

・3人目も堕ちたか……

・あと3人か

・これ後輩入ってきたらどうすんだろwww

・堕とすんだろwww

・そりゃそうだw

・本当にゲットしてるもんなぁw



 軽い女じゃない……?

 キャバ嬢的テクの太ももさわさわはいかに。気にしない方が良いような気がするから言わないでおこう。

 世の中知ったこと全てが良いことじゃないからね。


「後輩来たらどうする? ってコメント結構来てますね……。や、やっぱり堕とすんですか……?」

「もちろん。肥溜めに所属してるなら等しく私のターゲットだからね」


 私は自信満々にふふふ、と怪しく笑う。

 堕とせば堕とす程、私の経験値は上昇していく。そしてレベルアップに限界はない。

 全員完堕ちさせててぇてぇハーレム作ってやるぜ、という目論見も無くはない。欲望に比類はない。高みを目指す野心は良い方向に働けば便利だからねぇ。


「次は一期生に狙いを定めようかなぁ。一人は知り合いだし」

「あら、そうなの?」

「うん。多分あっちは気づいてないケドね。上手くそっちのアドバンテージを活用したいところ」

「花依さんって、しっかり策略練って動くから怖いんですよね……」

「ツナちゃんは策略も何もなく堕ちたけどね!」

「ひぅ、そんなにチョロくないって言ったのに哀れ秒速で堕ちた私の話はしないでくださいよぅ……!」

「そこまで卑屈になるようなことは言ってないと思うわ」


 策を練らずに動くなど馬鹿のすることだ。

 言うなれば勉強せずにテストに臨む……はよくやる人がいるよね。まあ、ノー勉で受験的なイメージかな。

 ツナちゃんも本人には言わないけど、一応研究はし尽くしたし、それなりに労力はかけてるケド。

 

コメント

・一期生の知り合い……誰だ?

・遂に一期生とのコラボが解禁されるのか……!

・最初の被害者は誰だw

・一人、鉄壁の女がいるからキツイだろ

・哀れ秒速で堕ちたは草

・自虐が悲しすぎるw


「ツナちゃんはオッチョコチョイな妹って感じで好きだよ?」

「い、妹……」

「あら、私は?」

「頼りにならない姉?」

「……頼りにならない」


コメント

・草

・草

・本人、否定できないの悲しいな

・解釈一致w

・オッチョコチョイは否定しないのかw



 実際そうだし……。

 となると私が次女になるかな。全智さんも妹枠だし。

 

「まあまあ。そろそろ歌わない? 折角カラオケ配信なんだし」

「そうね……」

「私、お二方に比べれば下手なんですけどぉ……!」

「大丈夫、大丈夫。笑ってあげるから」

「全然大丈夫じゃないんですけど!!」

「気にしないで楽しく歌いなさい。上手いとか下手とか些事よ」

「クラシーさん……!」

「まあ、配信者としてリスナーに歌の下手さが露呈するのは避けられないことだと思うけれども」 

「クラシーさん……?」

「ついでにそれが掲示板で馬鹿にされて音痴とかウンチって言われるんだよね」 

「花依さあああぁぁんん!!」

「なに、さっきから私たちのこと呼んで。そんなに好きなの?」

「ち、ちが……くはないんですけどぉ、その言い方はあんまりじゃないですかああぁぁ!!」


 叫ぶツナちゃん。笑う私。ジュースを飲むクラちゃん。

 どこまでも二期生らしい日常である。


 まだ見ぬ一期生も含めて、Vtuberという職業は楽しくて。苦労もあるけど、誰もが自分の個性を持っている。

 転生して苦労を重ねてきた。

 明るい未来を手に掴むために努力してきた。


 その結果、私はVtuberとして正しい道を歩むことができている確信がある。



「ふふっ、ツナちゃん、クラちゃん。好きだよ」

「「ぶふっ、え、ちょ」」


 二人は含んでいたジュースを思いっきり噴き出した。

 私の笑顔に見惚れたのか、目線はずっと私に固定されている。

 顔もそんなに赤くして……可愛いなぁ。


 堕としてよかった。




コメント

・てぇてぇ

・てぇてぇ

・てぇてぇ

・てぇてぇ




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


しゅーりょー。 

一期生堕とすまで終わりませんよ????


番外編は投稿しますが、2章は時間空きます。

書かなきゃいけないものが多いので……


というわけで、一章が終了しました。

面白いと少しでも思ってくださった方は、良ければ☆☆☆評価とフォローお願いします!

コメントも後でまとめて返すのでお待ちしています〜

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