第510話 遡上
二十三人を、ミアを隊長に据えて小隊とする。
それを半分に分け分隊二つ。
先程会話をした黒髪のトリッシュと入れ墨の男ザムを分隊長とした。
その中で金髪のユベルが、伝令という役割をおう。
今回のニコル公主の墓参は教練名目である。
「元々、この小隊は団長の指揮下にあるんですよ。
だから、団長の下で動くのがお仕事ってやつなんです。
私らがヒヨッコどもに混じっていたのは穴埋めですからね。」
「穴埋めですか?」
「えぇ、古株連中がいませんからね」
「いない?指揮する人はいるようですが」
「今、城塞にいる第八は、本来の半分の人員です。
おまけに熟練者の兵卒も下士官も、そして将校もいない。」
「入れ替えたのですか?」
「取り替えた感じですかね?
名前だけ同じで、中身を取り替えた感じでしょうか。
それも部外者が手を入れたので、無意味な人員配置になっている。
兵卒と下士官、将校のあるべき割合が崩れた。
つまり人手不足ですね。
私らは、団長の指示で移動しています。
本来の任につくまでは、手伝いをしていたんですよ。
此奴らでも連隊ぐらいは指揮できますからね。
因みに、城塞にいる第八残留兵を指揮する者は、師団長、もしくは補佐ですね。
軍団長とはいいません。
それから私達が、閣下を団長と呼ぶのは、間違いじゃないんですよ。
第八軍団からは席を外されていますが、命令指揮権は上級軍団長権限を現在も保持が許されているバルドルバ閣下が上位となります。なので団長呼びは妥当となります。」
(この女性兵の話を要約しよう。
つまり、城塞にいる軍団長は自称って事さ。
だから遠慮もいらぬし、
中央軍の組織的には南部王家よりの派閥であり、
彼女の言を見てわかる事もある。
続ける?いいのかい。
つまり本来あるべき兵卒が半分にも満たないのは、カーザという将官に与えられないと本営が考えている。
もしくは、失った後という事だ。
第八師団。
つまり人員は最低でも二個旅団だ。
それが最低数ギリギリとなり、殆どが新兵。
では、古参兵は何処に行った?
補充されずに減ったとなれば、理由はだいたいわかる。)
戦死したのか?
(ここ数年、そのような
東南の僕が広げた腐土の騒ぎぐらいさ。
つまり腐土絡みだね。
このあたりは沈黙しよう。
楽しいお喋りじゃなくなって、対価が必要になるからね。
サーレルという男が、城塞から離れているべきだと言うのも、思惑は別として妥当な話かもしれない。
つまり、あの城塞にいる者達は、問題があるのだ。)
そうは見えなかった。
(そうだね。
頭がおかしいと目に見えてわかるならいいさ。
でも、本当に問題を起こし、他者の命を危険に晒すのは、普通の人間なんだよ。
普通の、臆病で、ある意味善良であり、自分を正しいと考えている者なのさ。救われないね)
***
注)通常の軍隊階級ではなく、混在した架空の序列を用いています。
また、考えられる人員などは、兵站などの後方支援を抜いた数字で考えています。
連隊=1200〜旅団=2400〜師団=6000〜兵団=12000〜軍団=25000〜
大体倍で考えていますが、上記数字は最低数となります。
歴史的に、奴隷民兵が出発点の南部獣人軍団ですので、その役職も普通の人族の陸軍のような分け方をしていません。
あれ?変じゃねと思われる部分もありますが、このあたりはフィクションとして流していただけると有り難いです。
また、詳細な設定などは、お話が進むと同時に差し込む予定です。
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