第381話 幕間 牢屋にて ⑦

「ひとつ忠告しておくよ。

 コンスタンツェ様よ、お前の今の状態が何であれ、押しつけだけはよくないってのは頭にいれとけよ。

 お前が楽しくて相手が楽しくないんじゃ、それは単なるお前の我儘だ。

 それはお前の尽くす心、誠なのか?

 押し付けになってないか、相手の意見にちゃんと耳を傾けているか?

 お前の耳に囁いているナニカと、彼女の声は同じかどうか、それを考えるんだよ。

 彼女の声を聞くんだ。

 お前が言う、それが誠って奴だ。」


 ジェレマイアの言葉に、コンスタンツェは笑顔を収めた。

 そして何事か考え込み始める。

 突拍子もないことを考え始めていなければいいがと、ジェレマイアは思う。


「繰り返し念を押すが、お前達には沈黙を選んでもらう。

 これはどのような相手に対してもだ。

 俺は腐土攻略の指揮権を持つと同時に、元老院より上の采配を振るえる立場になった。

 意味はわかるな?

 お前達の危機感がどれほどのものか知らん。

 だが、俺は人が生き残れるかどうかの瀬戸際だと思っているんだよ。

 腐土が広がれば、人は死ぬんだ。

 それも人としての真っ当な終わりが望めない地獄だ。

 まぁ首都ぐらしのコンスタンツェやオロフにはわからんだろうが、カーン、お前は理解できるはずだ。

 少なくとも、ボルネフェルト関連でグリモアの存在が飛び出ていい時期ではないんだ。」

「あのぉ〜グリモアっていうかぁ神のうんちゃらとかぁ〜さっきから良くわからんのですがぁ」

「..すまねぇ、知ってるもんだって前提で話してたな。

 今回の事の始まりはわかるな?」

「えぇっと公爵様ご乱心事件ですよねぇ」

「まぁまとめりゃぁそうなるな。

 グリモアってのは、その公爵が持っていた神具だな。

 ちなみに、お前、色々知ってただで済むと思ってないよな?」

「聞かねぇっす、聞きたくねぇっす。それからカーンの旦那、もうちょっとで中身が出そうなんで、これ以上踏みにじるの止めてほしいっす。つーか、言った途端に二度踏み!?」

「頑丈だよなぁ、やっぱりゴート商会の息子だよなぁ」

「そんな感心いらんすっ」

「でだ、ヨーンオロフよ。

 大公家への報告は差し止めだ。

 コンスタンツェの病で最後まで押し通せ。

 これができないようなら、お前達商会を、カーン達に潰させる。

 潰した上で、モルデンに処理してもらう。

 現実味が出てきただろ?

 お前達商会が如何に巨大な組織でも、モルデンの下請けだ。上に言って別の奴らにするのはわけない。

 お前のオジサンとやらでも、大本のモルデンが出張れば抵抗しても死ぬだけだ。」

「おうっふ、大丈夫っす。家のカーチャン、その辺は丸っと商売優先ですので。了解っす」

「次にカーン、お前はどこまでなら沈黙できる?」

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