第252話 挿話 エリの明日
同じことを繰り返す毎日。
それを嫌だと感じる人。
つまらないと嘆く人。
いろんな考えかたがある。
けど、退屈するほど幸せなんだと思うんだ。
同じことを繰り返せるのは、怖いことも心配もないって事。
それにね、毎日、同じことを繰り返すのに、毎日、同じじゃないんだよ。
毎日、同じことをするのに、毎日、新しいことがあるんだよ。
だから私は、嫌じゃないし楽しい。
生まれた時から同じ場所で同じ毎日。
毎日、ちょっとづつ違って、とっても不思議。
でも毎日、同じことってとっても大切、とってもいいことなんだよ。
私の毎日。
朝起きて、身支度。
お水を飲んで、皆のところへ行く。
ご挨拶をして、お祈りをする。
お祈りが終わったら、お薬をつくる。
私はお薬ができあがるまで、目を閉じてお喋り。
私だけの友達とお喋りするんだ。
何を話すかと言うと、お天気、咲いたお花の事、今朝のご飯は何かとか。
すると、お友達は真剣に相づちをうつ。
そして言うんだよ。
エリカは明日も来る?って。
私も真剣に頷く。
明日もまた来るよ!って。
私達は友達。
ずっとずっと友達。
毎日、同じだけど、同じじゃないのだ。
友達が私を呼ぶ。
『エリカ、はやくおきるんだ』
目をひらくと、友達がいた。
『あと、すこしだよ。もうちょっとで輪ができあがる』
村の皆もいた。
青い、青い髪のボジェク兄も一緒だ。
皆、仲良しだった頃と同じお顔をしている。
ボジェク兄が言った。
『エリカ、お前の明日は、ちゃんと来るよ』
お母さんとお父さんもいる。
お姉ちゃんも、お兄ちゃんもいる。
おばちゃんも、おじさんも、それから..
『エリ、ごめんね。
エリカ、ごめんよ。』
村の皆、お祭りの時みたいに、手を繋いで輪になっている。
私は、同じが良かった。
仲良く、皆、仲良く一緒に、同じ村で暮らして。
輪の外に、テレザがいた。
私に似た人間のお友達。
どうしたの?
テレザの、手を握る。
『ママがいないの』
すると、皆が嬉しそうに笑った。
『大丈夫、テレザのママも一緒だよ。
ずっとずっと一緒だよ。
皆で、迎えに行くからね、大丈夫だよ』
***
冷たい空気に目が覚めた。
見たことのある部屋だ。
テレザが泣いている。
ヴィなら、見えるかな?
私のお友達とも話せるかな?
ヴィは婆様と同じ匂いがする。
きっと善い精霊だ。
この人とは違う。
嫌な匂い。
テレザのことも見えない。
「まだ残ってる。それを使えば、今度こそ成功するわ。大丈夫、さぁこっちに来るのよ」
私は怖くない。
だって、皆、一緒だから。
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