第32話 油断 ②
私も体感は、人族よりも優れている。
だが、この男は
自然を読むのに優れた私の種族特性よりも、五感は更に優れているはずだ。まぁ方向感覚は私が勝っているようだが。
この中央大陸には、数種の人間が暮らしている。
簡単な種類だけをあげると、
さらに細分化すると、
獣人は、その重量と種族特徴でわけるので大まかに、
亜人は、人族と獣人から外れた規格の全てである総称。個別に色々な種族があるので列挙できない。
私は、このどれに属するのか?
普通なら悩む話ではない。
捨て子だから、よくわからない。
だが、神殿へ詣でれば、わかるのだ。
何故なら国教の神聖教では、神官や巫女による名付けが行われるからだ。
名付けとは、お前は、何々種族の何の血の流れを持つ某である。
と、魂を見て名付けるからだ。
種族を見ることができるからこその、国が認めた宗教だ。
中央王国は、多民族国家である。
多様な人種種族と混血が溢れ、宗教宗派も統一前は混沌としていた。
長きに渡る宗教統一の争いに勝ち残ったのは、国が望む力を示したからだ。
国民の管理の手段であり、価値観の統一の為。
だが、この名付けの儀式は当初、詐欺の手口と思われた。
この力の保証をしたのが、王国初代の
そしてこの名付けを詐称、偽証、又は、見極めた名を偽るとその能力は消え失せた。
同じ神官や巫女であれば、能力を失った者は一目瞭然となるのだ。
故に子供の名付けと見極めは、国でも強く義務付けている。
種族と系譜、それに才能を拾い上げ、人別を与えて税を取る仕組みだ。
渡り神官と呼ばれる布教を目的とした方や巡礼神官様という神殿兵を伴った方は夏に来る。
子供の頃は、夏の礼拝などには出向かなかった。
言葉を覚え文字を覚えた頃に、領主に引き合わされた後は、解禁となった。
私は珍しい亜人との話だった。
たぶん、そういう事にしただけ、だと思う。
深堀してはいけいない。
と、領主が願い神殿も了承した。そんな具合ではないかと疑っている。
この時の領主は先代で老齢だった。
先代領主は、私を爺たちが育てるのを認め、この地に人別をつくった。
人別には亜人の子となったが、果たして神殿には何と届けられているのだろうか。
偽らぬ、そして偽れぬ彼らは真実を記しているだろう。
そう疑うようになったのは、先代が無くなり今代の領主に引き継がれてからだ。
別段、今代の領主に問題があるわけではない。
先代と同じく、領民として受け入れ、更には村人には相応しくない程の教育を施す。
ただ、隠すことができない事が証明するのだ。
寿命だ。
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