第3話

とりあえず家に帰ってきてしまったのだが、相変わらず幽霊はそこにいた。

俺は今まであれと暮らしてたのか……。


ぼさぼさで傷んだ黒髪に裾がボロボロな薄汚れた白い服。目に一切の光がなく肌も血色が悪い。まるで見本のような幽霊である。血だらけじゃないのが唯一の救いだ。


しかし、見えるようになってから疑問だったことがある。こいつの口から出てるのはなんだ?


そう、目の前の幽霊の口から何か白い紐のようなものが出ている。スマホとかの充電コードのように。

が、問題なのはそれの先が俺に繋がっているということだ。俺の心臓辺りから出ているのか、そこを中心に他のものは通り抜ける。だから幽霊に無駄に動かれるとくるくると俺を中心に紐?が周るわけで。幽霊の背が俺より低いこともあり、非常に鬱陶しい。



何をするかわからないので帰ってきてから片時も幽霊から目が離せない。すると、幽霊が移動以外で動きを見せた。


「ズゾゾ」


頬をへこませ、その紐?を吸い込んだのだ。それに驚く暇もなく俺の背筋にぞっとする寒さが走った。

見ると幽霊は頬を膨らませており、味わうように口をもごもご動かしたかと思うとすぐおとなしくなった。


どうやらこいつのもっと的確な表現を見つけてしまったようだ。こいつは……『へその緒』というのが近い表現なんだろう。つまるところ、運命共同体、といったような。

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