第18話 イベントに参加

おれたちは久しぶりの休みとなった。


「せっかくのお休みなのにすみません」


リコとキコが申し訳なさそうにしている。

そう、今日はみんなでリコとキコの村『フロイデン街』にいくことになった。

今日は村でイベントがあるのだ。

ドラゴン退治!?の時に約束したのだ。

おれたちはコーヒーの道具とサンドウィッチをもって村に向かっている。


村につくと、ドラゴン退治で人気がでたおれたちは村の人から大歓迎された。


「よくきてくれました」

「本当にきてくれたんだね」


そんな声があちこちから聞こえた。


村長がおれたちに気づき近づいてきた。


「おお、よくきてくれました」

「はい、よろしくお願いします」

「では、さっそくイベントの内容の説明をします」

「はい」

「………………」


村長の話は長く続いたが、どうやらお祭りのようだ。

おれたちはここでコーヒーとサンドウィッチを売ればいいようだ。

お祭りの屋台ってところだろうか。


「ソフィアさんノア、ここで支度をしましょう」

「はい」

「はいなのだ」


「リコとキコは違う用事があるんだろ?」

「「はい、申し訳ありません」」

「いいんだよ、おれたちのことは気にせずいっておいで」

「「はい」」


そういうと、リコとキコはいってしまった。


おれはコーヒーの準備をした。

ここで、ドリッパーが役に立つ。

サイフォンも用意した。

でもサイフォンは時間がかかるから使わないつもりだ。


ソフィアとノアはサンドウィッチを並べていた。


他のお店も並び始めた。

屋台が円状に並んでいる。

その真ん中にテーブルといすを置くようだ。


奥には舞台も設置されている。

なにか催し物でもあるのかな~

なんか楽しくなってきた。


すると、リコとキコが走ってやってきた。


ん?

リコとキコだよな?


「ソウマさん!」


わぁ!

やっぱり、リコとキコだ!

めっちゃ、可愛い~


「その格好、どうしたんだ?」

「いえ……、その……、これは……」


リコとキコは、恥ずかしそうにしていた。

ノアとソフィアが屋台から顔を出した。


「可愛いのだ」

「ほんと、可愛いですよ」

「「ありがとうございます」」


「それでどうしたんだ?」

「あ、お願いです。ノアさんとソフィアさんをお借りしたいんですが」

「え?」

「着物を着て4人で舞台にあがるんですけど、あとのふたりが隣街にいってまだ帰ってこないようなんです」

「それで、ノアとソフィアを?」

「はい、だめでしょうか?」

「お店はいいよ、おれ一人でできるから」

「「ありがとうございます」」

「ノアはいいけど……ソフィアはどうかな~」


「え~無理ですぅ~」


……やっぱり思っていたとおり、ノアは浴衣が着れて喜んでいる。

ソフィアは舞台に立つのが恥ずかしいようだ。

おれはみんなの可愛い浴衣姿が見れてうれしいけどね~

ソフィアが着たら、可愛いんだろうな~ニヤリ!


「ソフィアも浴衣着たらいいのに」

「え、でも恥ずかしくて」

「着物姿、似合うと思うけどな~」


「わたし、着ます」


え?

やる気になった?


「では、いってきます」

「うん、頑張って」


でも、浴衣着て何をするんだろう。

踊るのかな?


――――


「それでは、フロイデン街、大イベント始まりま~す!」


お祭りが始まった。

ちなみに言っておくと、フロイデン街のほとんどがウルフ族だ。

みんな耳としっぽがある。

感情がわかりやすくてありがたい。


「コーヒーとサンドウィッチください」

「はい、お待ちください」


おれは用意して手渡す。

席にもっていき、サンドウィッチを食べるとしっぽがフリフリと動いている。

これは美味しいってことだ。

でも、コーヒーを飲むとしっぽがぴたっと止まる。

そして、耳がピンとたつ。

これは苦いと感じてるにちがいない。

おれは急いでお砂糖とミルクを入れるように勧める。

言われたとおりにいれて飲むと、しっぽがフリフリし始める。

ああ、よかったー


こんな感じで感情がわかりやすくて助かる。

気に入ってもらえたようで嬉しい。


舞台でも、いろんな催し物が行われていた。

ソフィアたちはいつ出るんだろう。

そんなことを思いながら、ふとおいしそうに食べたり飲んだりしているお客が目に入った。

なんか、外で食べたり飲んだりすると解放感があっていいよな。

おしゃれカフェのようにテラス席でも用意するか。

そうすれば、もっともっと居心地のいい場所になるよ。

おれはそう考えた。

やあ~いいアイデア浮かんでよかった~


「それでは、みなさまお待ちかね『リコキコ・マコミコ』の予定でしたが……」

「え~~~ブーブー~~~」


なんだ?

ブーイングとは。

そんなに人気があるのか?


「はいはい、今日は特別に『リコキコ&ノアソフィア』でお送りいたします」

「ヒューヒュー、ピュ~ウイッ!」


お!

始まる!

おれも見ようっと。

おれは店の前にでた。


4人が舞台に現れた。


おお!

みんな浴衣可愛い~

あれ?

ソフィアに耳がついてる。

しっぽも。

可愛い~

おれは少しの間見とれてしまった。

そして、歌いだした。

え?

歌を歌うの?

もしかして、リコキコはアイドルなのか?


あ~でも可愛いなぁ~

会場は盛り上がっていた。

すると、突然4人が浴衣を脱いだ。

ばさっ!

うぉー!!

なにをー


会場はさらに盛り上がった。


浴衣の下にも服を着ていた。

焦った~

でも、その服はおへそがでていていわゆるセパレートトップスだ。

下はミニスカートで上下とも、赤と黒のチェックで可愛い。

でも、ちょっと肌の露出が多いのでは?


みんな楽しそうだな~

会場を一番盛り上げたのは間違いなく4人だ。

イベントは大盛り上がりで終わった。


ノアとソフィアは着替えて戻ってきた。


「ソウマ~見てたか」

「ああ、見てたよ」

「ノアもちゃんと踊ったのだ」

「ああ、踊ってたな。上手だったぞ」

「わ~いなのだ」

「ソフィアも可愛いかったよ」

「はっ、ありがとうございます」

「よし、帰ろうか」

「はい」

「帰るのだ」


リコとキコも着替えて送りにきた。


「ソウマさん、今日はすみませんでした」

「ううん、楽しかったよ。いいアイデアも浮かんだし」

「……?」

「じゃあ、また明日」

「「はい」」


おれとノアとソフィアは家に帰った。

帰り道ノアは、ずっとしっぽをビュンビュン動かして歌っていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る