第15話 本格的なコーヒー

Sランクとなったおれたちのギルドが始まった。


「なあ、あの看板はもしかして……Sランクに認定されたのか?」

「あ、はい」

「へぇ~これはすごい!」


冒険者たちやコーヒーを飲みにくるお客がざわついていた。

それもそのはずだ。

Sランクになったとたん、依頼の内容も増えた。

DランクからSランクまで数多くの依頼がくるようになった。

いままでは、Sランクなんてほとんどこなかったのに……。

そのギルドにあった依頼がくるってことなんだろうな。

いろいろなところで噂になり、冒険者がかなり増えた。

おかげで、珈琲店も大繁盛だ。


そろそろ、本格的なコーヒーをいれたいな~

ブリキ職人に器具を相談してみよう。


「ノア、コルマージュ街いってくる。お店、頼めるか?」

「いいのだ」

「すぐに戻るから」

「わかったのだ」


おれはすぐに、コルマージュ街に向かった。


――――


コルマージュ街は近いからすぐにつく。

この街は相変わらずメルヘンな街だな~

かわいらしい街だ。


えっと、ブリキの店は……。

あった、あった。


「こんにちは~」

「……」


店にはだれもいなかった。

工房の方から音が聞こえた。

おれは工房に顔をだした。


「こんにちは」


ブリキの亭主が振り返った。


「ああ、いらっしゃい」

「あの~」

「ああ、この間の……」

「はい、覚えてくれているんですね」

「ああ、覚えているよ。それよりもSランクギルド経営してるんだって」

「ああ、はい」

「いや~すごいね」

「ありがとうございます」


噂は広まっているんだな。


「それで今日は何を買いにきたんだい?」

「今日は相談がありまして……」

「相談!?」


おれは、コーヒーのドリッパーをつくってもらうために絵をかいたりして必死に説明した。

そして、サイフォンやエスプレッソを抽出する器具の構造を説明した。


「どうでしょうか?」

「ああ、なんとなくわかったけど作ってみないとできるかわからんな~」

「そうですよね」

「とりあえず、そのドリッパーとかいうやつは作れそうだ」

「ほんとですか?」

「ああ」

「お願いします」

「3日あれば作れるよ」

「では、そのころまた伺います。無理をいってすみません」

「いいよ、新しいものを作るのはおれも楽しいよ」


いい人でよかった~


ブリキの店をでた。

おれはもう一か所行きたいお店があった。

それは、瀬戸物屋だった。

本格的にコーヒーを淹れていくとなるとやっぱり、カップも選びたくなるんだよな~

お店を探してみた。


瀬戸物屋らしきお店があった。

おれは入ってみた。


「こんにちは」


初めて入るお店って緊張するんだよな~


「は~い!」


中から女の人の声が聞こえた。

あ~よかった。

怖そうな男の人より、女の人の方が緊張の度合いもかわる。


「いらっしゃい」


その女の人は見たことあるような気がした。


「あ~珈琲店のソウマさん」


おれを知ってるのか。

やっぱり、どこかで会っているってことだよな~


「えっと……ああ、お客さま」

「はい、ときどきコーヒーを飲みにいってます瀬戸物屋のエリーです」

「いつもありがとうございます。すぐに気づかないですみません」

「いえ、休憩がてらコーヒーを飲みにいってるだけだから15分くらいしか店にいないですからね」


そう、たしかにこのエリーさんコーヒーを1杯飲んですぐに店を出ていってしまうんです。

休憩にきてたんだな。

ありがたい。


「ところで今日は?」

「コーヒーのカップを見にきたんです」

「そうですか、どんなカップをお探しですか?」

「いまのコーヒーカップよりちいさめのカップはありますか?」

「そうですね……こんなのはいかがでしょう」


エスプレッソにあいそうなカップだった。


「いいですね」

「気に入ったものがあってよかったです」

「あとは、縁が広がっていて薄いカップもありますか?」

「それでしたら、これなんかはどうでしょう」


まさしく、縁が広がっていて薄いカップだった。


「あ~これいいですね」

「よかったです」

「では、試しに使ってみたいのでこの小さめのカップを10個とこの薄いカップを10個いただきます」

「ありがとうございます」

「これで様子をみて、よければもう少し購入させてもらいます」

「こんなに買っていただいて、ありがとうございます」

「いえ、こちらこそいい買い物ができてよかったです。また、コーヒー飲みに来てくださいね」

「はい、いきます」


おれは、カップを20個もって家に帰った。


「ノアただいま、大丈夫だったか?」

「ああ、大丈夫なのだ」

「おれもすぐに準備するから」


おれはさっそく新しいカップを使ってみた。

やっぱり、酸味のあるコーヒーを飲むときはこの縁の広がった薄いカップがあうんだよな~

お客さまはカップがかわったことに気づかないかもしれないがコーヒーがおいしければいい。

これは、自己満かもしれない。


今日の仕事も無事に終わった。


――――


「みんなお疲れさま~」

「疲れたのだ」


今日は冒険者が多くて大変だった。


「じゃあ、このあとみんなでお祝いをしよう!」

「わ~い! 食べるのだー」


ささっと、ソフィアが料理を作りみんなで支度をした。


「ギルドがSランクになってこれからもどんどん忙しくなると思いますが、みんなで力をあわせてがんばりましょう!」


「かんぱ~い」

「かんぱいなのだ」

「「「「かんぱ~い」」」」


その夜、飲んで食べて盛り上がった。


――――


朝、目が覚めるとおれはパンツ一丁でお店に寝ていた。

しかも……ソフィアもシルスタもノアも、そしてリコもキコもみんな下着姿で寝ていた。


なにがあったんだ~

なんでこんな格好で寝ているんだ。

やばい!

みんなが起きたらやばいよ!

だれか助けて~

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