第13話 ドラゴン退治!?

突然、リコとキコがやってきた。


「どうしたんだ?」

「わたしたちの村にドラゴンが現れたようなんです」

「え? ドラゴン?」


さっき、お客が話していたドラゴンか。

リコとキコの村の話だったんだ。

これは大変だ。


「まだ、近くの山にドラゴンがいるらしくて退治できるまで村に戻れないんです」

「それは大変だ」

「わたしたちをしばらくここにおいてもらえませんか?」

「それはかまわないよ。でも君たちの家族はどうしているんだ?」

「家族は村が心配で遠く離れられないといって、近くの村に避難しています」

「避難できているならいいが……」

「「ありがとうございます」」


その話をきいていたノアが嬉しそうにしていた。


「ドラゴン、ドラゴン」

「ノア、嬉しい話ではないんだよ。村の人たちは困っているんだ」

「そうなのか? なんでだ?」

「いつ、ドラゴンが襲ってくるかわからなくて村にもどれないんだよ」

「ドラゴンは襲うのか?」

「ああ、大きくてしっぽを振り回したらひとっ飛びだ」

「そうなのか? ノアのお友達のドラゴンはおとなしいぞ」

「……」


今のは聞き間違えか?

お友達?


「ノア、ドラゴンのお友達がいるのか?」

「ああ、いるのだ」


ソフィアも驚いていた。


「え?」


「ノアは、ドラゴンと話ができるのか?」

「ん……たぶん」


もしかしたら、リコとキコの村を救えるかもしれない。


「ノア! 明日、リコさんとキコさんの村『フロイデン街』に行こう」

「わ~い、久しぶりにドラゴンに会えるのだ」


ノアのお友達のドラゴンなら話は早いが……。

そんなにうまくいくはずがないか。


――――


うまくいった……。


「わ~い! 久しぶりなのだリュート」


ノアがドラゴンの背中に乗ってふたりとも喜んでいる。

ふたりともしっぽがビュンビュンだ。

おいドラゴン、お前のしっぽは怖いよ。

ちょっと落ち着こうか。

どうやら、ノアのお友達のドラゴンのようだ。

よかった。


「ノア、なんでこの村に来たのか理由をきいてくれ」

「わかったのだ」


ノアは、ドラゴンに理由を聞いてみた。


「リュート! なんでこの村にきたのだ?」

「〇&%△#$!!」


ドラゴンはなにかいっているがおれにはわからなかった。

ノアはわかるのか?


「ソウマ、リュートの村にたまご泥棒が現れたみたいなのだ」

「たまご泥棒?」

「そのたまごを返してもらうために来たみたいだぞ」


この村のだれかがたまごをもって来ちゃったのか?


「わかった、この村の人たちに聞いてみよう」


おれは、その近くで見守っていた村人に聞いてみた。


「ドラゴンのたまごのこと、だれか知りませんか?」

「……、知らないね」


この村の人じゃないのか?


「あの~わたし知っています」

「え? 本当ですか?」

「はい、村長さんの小屋にあるのを見ました」


村人たちはざわついていた。


「村長さんのところに案内してください」

「わ、わかりました」


「ノア、ここで待っていてくれ」

「リュートと遊んでいるのだ」

「ああ」


おれは村長さんの家に案内してもらった。


「村長!」

「……」

「村長!」

「はいよ!」


こんな状況なのに、のんきな村長だな。

しかも、村長は避難しないで家にいたってことだよね。

いったいどんな人なんだ。


「はい、よんだかね」


かなり年のいったおじいさんだ。


「村長、お客さんです」

「どなたです?」

「隣の街からきました、異世界珈琲店のソウマといいます」

「ああ、噂はきいていますよ」


噂はこの村長さんのところにも入ってきてるんだね。

なんか有名になったみたいで気分がいいね。

こんなこといってる場合じゃないな。


「あの、ドラゴンのたまご持ってますよね」

「ん、なんで知っているんだ?」

「ドラゴンがそのたまごを取り返しに村に来たみたいなんです」

「え? そうなのか?」

「はい。いますぐに返してください」

「ああ、それはいいが……せっかくのイベントが……」

「イベント?」

「ああ、村のイベントでこの大きなたまごを焼いてみんなで食べようと思っていたんだよ」

「そんなイベントが」

「まあ、たまたま見つけたたまごなんだけどね」


そうか~なにかたまごのかわりになるものないかな~

おれは考えた。

すると、仕事を終えたリコとキコがやってきた。


「ソウマさん!」

「リコさんとキコさん、お仕事終わったんですか?」

「「はい」」


「今、ちょうど話が聞こえたんですけどコーヒーをだしたらどうでしょう」

「おれはいいが、かわりになるのか?」


「それはいいな、わたしも飲みたかったんだよ」


村長さんが声をあげた。

え?

そんなに喜んでもらえることなのか?


「コーヒーでいいんですか?」

「ああ、君さえよければお願いしたい」

「はい、わかりました」


おれたちはそのイベントに参加することになった。


そして、たまごは……。

倉庫から何人かで運び出し、ドラゴンリュートに無事に返すことができた。


「リュート! また遊ぶのだ!」


グォーー--------!


ドラゴンリュートは、たまごを大事にもって帰っていった。


リコとキコは安心したようだ。

村人たちにも感謝された。


「ありがとう、ありがとう……」

「いえいえ……」


ノアとおれは家にもどった。


――――


「ソフィアさん、ただいま」

「おかえりなさい」


おれはソフィアのおかえりなさいに毎回、癒されている。


ソフィアにドラゴンの話をした。

ノアのお友達だったことも話した。

そして、イベントに参加することになったことも話した。


ソフィアはお店とギルドであったことを話てくれた。

お店とギルドはなにごともなくやれたようだ。


イベントの準備もしないとな~

そんなことを思いながら眠りにつく。

右を向くとノア、左を向くとソフィアが寝ている。

慣れたとはいえ、いまだにドキドキするよ。

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