第11話 猫の島
チュンチュン……。
朝かぁ~
おれは目が覚めた。
そして、右側にノア左側にソフィアさんが寝ている。
もうこの状況には慣れた。
でも、ソフィアさんの体は綺麗だな~
ノアも中身は子供っぽいのに体つきはしっかり大人なんだよな~
んん~
毎日見ても飽きない光景だ。
なんてそんなこといっている場合ではない。
昨日はリコさんとキコさんの歓迎会だった。
そして、飲みすぎた~
シルスタは途中で帰ったんだよな。
リコさんとキコさんはちゃんと案内した部屋に寝たんだな~
あたりまえだけど……。
じゃあ、おれはみんなが起きる前にお風呂でも入ってくるか。
そーっとベッドから起き上がった。
ふぅ。
よし、気づかれなかったぞ。
おれは、服を脱いで風呂場にいった。
ドアを開けた。
ガラガラガラ。
ん?
目の前にリコさんとキコさんが立っていた。
しかも全裸で……。
なんだこの状況は。
やばいっ!
きゃー!
きゃー!
わぁー!
おれは急いで風呂場をでた。
すると、その声で起きてきたノアとソフィアが立っていた。
そして、おれは全裸だ!
きゃー!
わぁー!
「ソウマ、ノアも入るのだ」
ノアは服を脱ぎ始めた。
「ノア、なんで入るんだよ」
「ノアもみんなで入りたいのだ」
ノアは風呂場のドアを開けた。
そこには、全裸のリコさんとキコさんがいた。
きゃー!
きゃー!
おれはまた、リコさんとキコさんの全裸を拝ませてもらった。
ふたりはなかなか素敵なお胸をしていらっしゃったな~
そんなのんきなことをいっている場合ではない。
服をもって、風呂場をでた。
――――
今日も朝からさんざんだったけど、まあおれはラッキーというべきだろうか……デレ~。
おっと、顔がニヤけた。
「リコさんキコさん、すみませんでした」
「いえ、わたしたちが先に入ってしまったせいです。ごめんなさい」
あ~よかった。
誤解がとけたようだ。
「そうだ、ノア」
「なんだ?」
「今日はノアの島にいってコーヒーの実をとりに行きたいんだが」
「いいのだ」
「じゃあ、ソフィアさんあとのことはお願いします」
「わかりました」
「わ~い、ソウマとデートなのだ」
ノアはしっぽをビュンビュンふって、喜んでいた。
「では、いってきます」
「いってくるのだ」
「いってらっしゃい」
――――
「ノア、遠いのか?」
「そんなに遠くはないのだ」
「そっか、よかった」
「でも、魔物は出るから気をつけるのだ」
「うん、わかった」
おれは、ノアから魔物がでると聞いていたので短剣をもってきた。
しばらく歩いていくと、草むらからスライムがでてきた。
でも、スライム退治は慣れたものだ。
ザクッ、ドスッ、ザー!
「やったな、ソウマ」
「ああ」
おれたちは進んだ。
すると、ゴブリンが飛びだしてきた。
うわ!
ゴブリンだ!
「ソウマ、大丈夫なのだ」
「うん、そうだな」
ザクッ、ドスッ!
ザクッ!
「おお! やっつけた」
「上手なのだ」
初めてのゴブリンもすんなりと倒すことができた。
だいぶ山を登ってきた気がする。
「ここなのだ」
「ついたのか?」
「うん、ついたのだ」
「ここが、ノアの島か」
「ああ、そうなのだ」
ノアも久しぶりに帰ってきて嬉しそうだ。
「ソウマ、こっちなのだ」
「ん、わかった慌てるな」
その島は猫の島というだけあって、みんな猫耳がついている。
そして、揺れるしっぽ。
可愛い~
なんだここは。
みんな可愛い~
色気のある猫もいる。
わぁ~
こんなところで暮らしたいな~
「ソウマ、鼻の下伸びてるぞ」
「ん? え? そんなことないよ」
鼻の下を手でこすった。
「ここが、ノアの家なのだ」
「ここか」
ノアの家は小さなかわいらしい、かわぶき屋根だった。
「ただいまなのだ」
おんなの人が振り向いた。
「ノア!」
「ただいまなのだ」
「おかえり」
ノアは飛びついた。
「ソウマ、ハハなのだ」
お母さんか。
「はじめまして、ソウマといいます」
「あ、もしかしてノアの命の恩人」
「そうなのだ」
「それはそれは、ノアを助けていただきありがとうございます」
「いえ、当たり前のことをしただけです」
ノアのお母さんはとてもキレな人だった。
ナイスバディで顔も綺麗。
ノアの体はお母さん譲りなのか……。
「ハハ、赤い実をとりにきたのだ」
「最近、赤い実がなりにくくなっていてね」
「そうなのか?」
「あ、でもしばらくは大丈夫よ。でも、このままだといずれとれなくなっちゃうんじゃないかな」
え?
それは困るな。
コーヒーの実がとれなくなったらコーヒーが飲めなくなる。
なんとかしなくちゃ。
とりあえず、赤い実がなっているところに案内してもらった。
「ノア、とりあえず赤い実のところに案内してくれ」
「うん、わかったのだ」
ノアの家からまたさらに山に登った。
「ここなのだ」
そこにはたくさんの木があり、赤い実がたくさんなっていた。
これがコーヒーの実か~
おれは、土をさわってみた。
これは……、火山質土壌かぁ~
水はけがいいってことだな。
しかも、少し粘土っぽいところがある。
なるほどな~
コーヒーは寒さに弱いってきいたことがある。
でも適度な温度差は必要だろう。
ここはコーヒーの木を育てるのに適した地ということだな。
でも、なんで育たなくなっているんだろう。
こっちは土にひび割れ?
もしかして、雨が降っていないのか?
おれが、異世界にきてから一度も降っていない。
でも、山だからふっているのかもしれない。
「ノア、最近雨は降ったか?」
「ん? 振ってない」
やっぱりそうか。
水だな。
でもこの広い敷地に水をまく方法はあるのか?
「ノア、水が足りなくて赤い実がならなくなっているようだ」
「そうなのか?」
「どこかに水はないか?」
まあ、そんなこといってもあるわけないよな~
「あるのだ!」
「え?」
「山の上にあるのだ」
「山の上?」
「こっちなのだ」
ノアは走りだした。
おれはついていった。
すると、山の頂上付近に泉がわいていた。
湧き水?
どこから?
もしかして……。
「ノア、この山の反対はもしかして水があるのか?」
「うん、湖がある」
「そっか」
「でも冬になると、水はでてこないのだ」
なるほど……、ならいける。
「ノア、戻るぞ」
「もういいのか?」
「ああ」
おれたちはコーヒーの木に戻った。
そして、おれはノアにスコップをかりて土を掘りだした。
それをみていた人が怪しそうにみている。
すると、水がわきあがってきた。
「よし!」
「わ~い、水がでてきたのだ」
みていた人たちも喜んでいた。
だって、みんなしっぽがビュンビュン動いているからだ。
たぶん、夏の暑いあいだだけ水がわきあがるだろう。
これで、水不足は大丈夫だろう。
コーヒーの実も、たくさんできれば安心だ。
「ノア、実をとって帰ろう」
「帰ろうなのだ」
おれたちは実をたくさんとった。
ノアの家に帰り、おかあさんに水が足りなくて実が少なくなっていると説明した。
そして、湧き水で復活することも伝えた。
「よかった~ありがとう」
おれとノアが帰るころには島中の人が集まって見送ってくれた。
ノアはお母さんと離れることが寂しいようだ。
「ハハ~元気で頑張るのだー」
お母さんの優しい笑顔と、島の人たちに見送られ、おれたちは家に帰った。
――――
「ただいま」
「帰ったのだ」
「おかえりなさい」
ソフィアが夕食を作って待っていてくれた。
とても暖かい気持ちになった。
ありがとう、ソフィア!
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