第10話 新しい仲間

アラン=ドゥーカスさまのお屋敷には何度か呼ばれた。

大事なお客さまを招待するときには、必ずよばれるようになった。

今では、お貴族さまの間でも評判になっているようだ。

おかげで珈琲店は繁盛している。

どちらがよくて繁盛したかわからないが、ギルドも大賑わいだ。

ソフィアとシルスタで受付をしているが手が足りなくなっている。

人が多すぎて、お店が狭く感じてきたのだ。

お店を少し増築しようか考えていた。

そんな矢先、ギルド本部からいい知らせがきた。

おれはみんなにその報告をした。


「みんなにいい知らせがある」

「なんですか?」

「なんなのだ」


ノアのしっぽが小刻みに動いている。

これは、興味深々のときだ。


「このお店を増築することになった」

「増築ってなんだ?」

「大きくするってことだよ」

「大きくするのか」

「ああ」


ノアは喜んでいた。


「でも、お金は大丈夫なのですか?」


ソフィアは心配していた。


「大丈夫だ。ギルド本部が増築代を出してくれるそうだ」

「本当ですか?」

「ああ、前からここに人がたくさん集まっていると聞いていたそうだ」

「そうなんですか」

「それでこの間、こっそり見にきたといっていた」

「え?」

「そして、店の狭さを感じたと」

「でも、お金を出してくれるなんて」

「ああ、この店に人が集まってるおかげでギルドの依頼数も上がっているらしい」

「そうなんですね」

「店を広げれば、もう少し依頼数が上がると見込んで出してくれるそうだ」

「それはよかったです」

「ああ」


ギルド本部が増築してくれるなんてほんとラッキーだよ。

でも、これからもっと忙しくなるぞ~

明日から増築することになった。



――――


珈琲店とギルドをやりながら、増築が始まりました。


「なあ、この店広げるのか?」

「そうなんです」

「最初のころより人が増えたもんな~」

「はい、みなさんのおかげです」


お客とそんな話をしていた。

すると、ふたりの可愛いお客がきた。


「いらっしゃいませ」

「あの~わたしたちギルド本部から参りました、リコとキコといいます」

「ギルド本部から?」

「はい、聞いてませんか?」

「ああ」

「今日からこちらで働くことになりました」

「え? そうなの?」

「「よろしくお願いします」」


ふたりは双子のようだ。

息もぴったりだった。


「ちょっとまってね」


おれは、ギルド本部に確認の連絡をとった。

その間、コーヒーを飲んで待っていてもらった。


「「う~ん、おいしい」」


ギルド本部に確認をとったところ、たしかにふたりを派遣したといっていた。

増築して大きくなると人手がいるだろうと派遣してくれたようだ。


ふたりをよくみると、耳がついていた。

これはノアといっしょか?


「ノア!」

「なんなのだ」

「ノア、こちらリコさんとキコさんだ。ギルド本部から派遣されてきたんだ」

「一緒に働くのか?」

「ああ、そうだ」

「よろしくなのだ」

「「よろしくお願します」」

「ウルフか!」


ん?

ノアは今なんていった?


「ノア、今なんていった?」

「ふたりはウルフだ」

「ウルフ? ノアとは違うのか?」

「ああ、ノアは猫だ」

「ウルフって狼か?」

「「そうです」」


犬っていうと可愛いけど、狼っていうとちょっと怖いな。


でも、可愛い普通の女の子だよな。

ソフィアとシルスタに紹介したいが忙しそうだから、あとにしよう。


「じゃあ、ふたりはあのカウンターにはいってもらうけど今は狭いんだ」

「はい、増築をするときいています」

「見ての通り、今日から増築がはじまった」

「はい、それまでカウンター内だけではなくて店の方も手伝ってくれるかな」

「「はい、かしこまりました」」


そういうと、ふたりは着替えてきた。

おそろいの緑の制服にベレー帽。

可愛い~


ソフィアとシルスタ、ノアにも制服があったら可愛いだろうな~

想像するだけで、にやける~


リコとキコは並んでいるお客にどんな用できたのか聞いていた。


「今日はどのような用でこられたんですか?」

「登録だ」

「かしこまりました」


そういうとカウンターの端につれていき登録手続きをしていた。

そのあとも、何人か登録だけの人を連れていき手続きをしていた。

依頼の内容を聞かれれば、スムーズに答えていた。


ん、これは仕事できるふたりだな。

安心だ。


なんとか仕事は終わった。

そして、ソフィアとシルスタにリコとキコを紹介した。


「リコさんとキコさんだ」

「ソフィアです」

「シルスタです」

「「よろしくお願いします」」


「おふたりはどこからきたんですか?」

「わたしたちは隣街からきました」

「シルスタも隣街っていってたよな」

「はい、わたしはトリーニ街ですが」

「「わたしたちはフロイデン街です」」

「少し遠いですね」

「「はい」」


「隣街っていっぱいあるんだな」

「はい、この街は囲まれています」

「でも、フロイデン街は遠いです」

「そっか、大変だな」

「「いえ、大丈夫です」」


あ、だからここは人が集まるいい場所なんだな。


「みなさんで夕食を一緒に食べましょう」

「そうだな、リコさんとキコさんの歓迎会をしなくちゃな」

「わ~い、歓迎会なのだ」


ノアのしっぽはビュンビュンだ。


「では急いで支度しますね」

「わたしも手伝います」


ソフィアとシルスタが食事の支度をしてくれている間におれたちはテーブルの準備をした。


あっという間に夕食ができあがった。


「ソフィアすごいな!」

「いえ、シルスタさんも手伝ってくれたからです」

「いえ、わたしなんかなにも」

「ふたりともありがとう」

「「ありがとうございます」」

「食べるのだ」

「よし! リコさんキコさん、ようこそ異世界珈琲店へ」

「「「かんぱ~い」」」

「かんぱいなのだ」

「「かんぱい」」


新しく仲間が増え、お店もギルドも大きくなってますます忙しくなるぞー

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