第7話 ギルド本部

お店はおかげさまで繁盛していた。

いまではコーヒーは眠気覚ましの妙薬として広まっている。

冒険者たちが冒険に行く前に、必ず飲んでいくようになった。

そのおかげで、お客とも仲良くなっていろんな話をきけるんだ。

この間なんて……。


「おれ、赤いスライムを倒す依頼を受けているんだけど探してもいないんだよな~こまっちゃうよ」


こんな声が聞こえてきたから、教えてあげた。


「西宮の森にいるみたいですよ」


そう聞いた話をそのまま教えてあげたんだ。

そしたら、そのお客がまたきてくれたんだ。


「この間はありがとう、赤いスライムは本当に西宮の森にいたんだよ」


そのお客はおれの手を握ってお礼をいっていた。


他にも、ゴブリン情報やドラゴン情報などお客から話を聞けるからそのまま教えてあげると、すごく感謝されるんだ。

そして、その話が口コミでギルド本部に行き今日は呼ばれているってわけです。


「ああ~緊張する~」

「大丈夫かぁ、ソウマ」

「ああ、大丈夫だよノア」

「大丈夫ですよ、落ち着いてくださいソウマさん」


ソフィアをみると、足と手が一緒に動いていた。


「ソフィアさんこそ、落ち着いてください」

「あ、はい。わ、わたしは……だ、大丈夫です」


これは全然大丈夫じゃないな。


――――


「ここが、ギルド本部の建物です」

「うわぁ! 思っていた感じと違うな」

「そうですか?」

「ああ、立派な建物だ」

「では、入りましょう」

「ああ」


扉をあけた。

中は、人が大勢いた。

冒険者がたくさんいた。

依頼を受けて、報酬をもらっているようだ。

カウンターには可愛い女の子たちが何人か相手していた。

ギルドってこんな感じなんだな~


「ソウマはああいう女が好きなのか?」

「えっ? 何をいっているんだよ、違うよ」

「なんだ、違うのか」


まあ、たしかに可愛いがおれのタイプは、ソ……。


「なにか御用ですか?」


ひとりの男性が話かけてきた。


「ああ、わたしたちは呼ばれてきました異世界珈琲店のソウマといいます」

「わたしはソフィア」

「ノアなのだ」

「あ、これはお待ちしておりました。ご案内いたします」


そういうと、2階へと案内された。


トントンッ!


「ああ、入れ」

「異世界珈琲店のソウマさまとソフィアさまとノアさまをお連れいたしました」

「あ~あ、よくきてくれました」


部屋の中に入った。


「どうぞお座りください」


おれたちはふかふかのソファーに座った。


「さっそくだが、きみたちは珈琲店とかいうお店を経営しているようだな」

「はい」

「その噂は聞いている」

「そうですか」

「しかも、冒険者たちに魔物の情報をあたえているようではないか?」

「あ、まあ。たまたま聞いた話を教えているだけです」

「そこでだ……。ギルドも一緒に経営してもらえないだろうか」

「ええ?」


ギルドを経営?

まさか、ギルドを復活させる前にそっちから話がくるとは……。

いや、落ち着け。

なにか、裏があるのではないか?

美味しい話には裏があるというではないか。


ソフィアはとてもキラキラした目でわたしを見ている。

どうみても引き受けろという目だ。

ノアはふかふかソファーに夢中だ。


「どうだろうか?」

「わたしたちは3人で経営しています」

「ああ」

「珈琲店をやっていて手いっぱいです」

「そうだろう」

「人手がたりません」

「なら、こちらからギルド受付をする子をひとり行かせよう」

「本当ですか?」

「ああ、それなら大丈夫か?」

「はい、ですがなぜわたしたちにギルドを?」

「最近、魔物が多くて依頼がさばききれない状態なんだ」

「そうなんですか?」

「冒険者が多く集まるところにギルドを増やしたいと思っていたんだ」

「そうなんですか」

「ちょうどいいタイミングできみのお店の話を聞いた」

「なるほど」

「受けてもらえてうれしいよ」

「はい、よろしくお願いします」

「ああ、こちらこそ」


わたしたちは手続きをすませて家にもどった。


「ソウマさん、ギルド復活です」

「そうですね、ソフィアさんよかったですね」

「はい、うれしいです。ありがとうございます」

「いえ、わたしはなにも」

「そんなことありません。ソウマさんが始めた珈琲店のおかげです」

「コーヒーうまいぞー」

「ノアはコーヒー好きだな」

「ああ、ノアはコーヒー好きだ」


はははっ……。


――――


家に戻ってきた。


「ソフィアさん、ギルドの受付はどこでやりましょうか」

「そうですね~このあたりがいいと思います」


ソフィアはお店のドアの奥突き当りを指さした。


「ここがいいなにか理由があるんですか?」

「ここは冒険者が多く来るので依頼を求めて並ぶ可能性があります」

「なるほど……」

「左右の壁に依頼書を貼っておけば、勝手に冒険者たちが見て依頼を受けにきますから」

「そうなんですね、ソフィアさんさすがですね」


ソフィアはうれしそうだ。

ノアならしっぽがビュンビュン動いている感じだろう。


「ギルド本部からこられる受付の方がいらしてから本格的にギルドを始めるようにいってましたね」

「ああ、そうだね」

「どんな方がいらっしゃるのでしょうか~」


ギルド本部で働いていた受付の女性たちはみんな可愛いかったな~

とくに、髪の毛の長い茶髪の子はめっちゃよかったな~

おれは思い出してにやけていた。


「ソウマ、なににやけているのだ」

「ああ、なんでもないよ」

「ひとりでおいしいものでも食べたのか~」

「食べてないよ~」


ノアにしつこく追いかけまわされた。

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