第5話 コーヒーを作る

あ~

朝になってしまった~

結局、寝れなかった。

目は赤く充血しているだろう。


「おはようございます、ソウマさん」

「ああ、おはようソフィアさん」

「おはようなのだ」

「おはようノア」

「どうしたソウマ、寝れなかったのか?」


ああ、あなたたちのせいでね。


「まあ」

「今日も一緒に寝てあげるのだ」


えええええ~

おれは毎日寝不足になってしまうよー

助けてくれー


「朝食の準備しますね」

「お願いします」

「わたしも手伝うのだ」

「ノア、よろしくね」

「うん」


おれは着替えを済ませ、1階に降りていった。


テーブルに朝食が運ばれてきた。

ソフィアは手際がいいようだ。

準備が早い。

なによりも美味しい。


「いただきます」

「ノアも手伝ったんだぞ」

「そうか、えらかったな」

「うん」


ノアは褒められると嬉しいようだ。

嬉しいと、しっぽがビュンビュン動く。

だから、わかりやすい。


「ソウマさん、今日はどうしますか?」

「今日はコーヒーを作ります」

「ようやく作るのですね」

「うん、手伝ってもらえますか?」

「はい、もちろんです」

「ノアも手伝う~」

「ああ、お願い」


朝食を食べ終え、片づけが終わった。


いよいよ、コーヒー作りの始まりだ!


まずは、種子から中身をとりだす。


「ソフィアさんとノアもおれの真似をして」

「この赤い実から中身を取り出して、白い実にすればいいのですね」

「うん、そうだ」

「これならノアもできるぞ」


ノアが大きな袋でもってきてくれたから結構な量ができそうだ。


次にこの中の実を乾燥させる。

そして、ある程度乾燥させたら昨日買ってきた鍋で煎る。

木べらで回しながら煎った。

熱くて汗が止まらなかった。

ソフィアさんがときどき、汗を拭きとってくれた。


「ソウマ、色が茶色くなってきたぞ」

「ああ、それでいいんだ」

「もう少し黒くしたいんだ」


よし!


鍋を火からおろした。

豆を違う鍋に移して冷ます。


コーヒー豆の完成だ!

味はどうだろうか。


「やったーできたのか?」

「できたんですか?」

「まだです」

「なんだ」


この豆を今度は石臼で挽く。


「これを今度は挽くんですか?」

「はい、粉にします」


おれは必至に挽いた。


コーヒー粉の完成だ!


「こんどこそ完成か?」

「うん」


ノアは粉をペロンと舐めた。


「おいノア!」

「うえっ~ まずいぞ」

「あたりまえだよ」

「完成っていったじゃないか」

「飲み方があるんだ」


お湯を沸かした。


ポットに薄い布袋をたらす。

その布の中に出来上がった粉をいれる。

3分程たったら布袋を取り出す。

できた!


「これがコーヒーです」


おれはふたりに出来たてのコーヒーをだした。


「わ~い」


ノアがひとくち飲んだ。


「苦いぞ」

「では、わたしも」


ソフィアも飲んだ。


「ほんとですね、苦いです」


おれも飲んだ。


「これだ! これだよ!」


完成した。

できたてだから、もう少し日を置いたほうがおいしい。

だがまちがいなくコーヒーだ。


「これがコーヒーですか?」

「そうです」


「もし苦いようでしたら、お砂糖とミルクを入れると……」


ふたりのコーヒーにお砂糖とミルクをいれてみた。


「おいしいぞ」

「はい、とってもおいしいです」

「よかったー」


「このコーヒーには、カフェインという化合物が入っていて眠気覚ましにもなるんだ」

「では、ここにきた冒険者の人たちが眠くならずにダンジョンにもいけるってことですか?」

「まあ、少しは役にたてると思うよ」

「いいですね」


「だからあまり飲みすぎないように……しないと」


遅かったかぁ~

ノアはハイテンションになっていた。


「ノア、飲みすぎだよ」

「ノア、気にいったのだ」


「あ~あ、もう飲んだらだめだよ」


よし、もう少し改良の余地はあるな。

でも、できたことに安心した。

やっぱり、コーヒードリップの器具がほしいな。

今度、ブリキ職人にお願いして作ってもらおう。


コーヒーができたら、これにあう食事を考えないと。

コーヒーの実はむかし、実をつぶして脂をまぜ団子にして食用にしていたと聞いたことがある。

この実でなにかデザートがつくれないのかな~


「ソフィアさん、次はこのコーヒーにあう食事を考えたいんです」

「はい」

「一緒に考えてもらえますか?」

「もちろんです」


おれはこの異世界の食べ物をあまり知らないので、以前の酒屋で出していたメニューをきいた。


ビーフシチューとかオムライス、サンドウィッチにじゃがバター、スペアリブなど結構がっつりした食べ物をだしていたようだ。


今回は珈琲店だから、あまりがっつりでなくてもいいんだけどな~

3人でできる範囲で。

ん……。


「ソフィアさん、ケーキ作れますか?」

「なんのケーキですか?」

「チーズケーキとか、シフォンケーキとかパウンドケーキとか」

「……? 名前はわかりませんが、ケーキ作ってみましょうか」

「はい、お願いします」


異世界だとどういうケーキがあるんだろう。


ソフィアさんはさっそくケーキを作り出した。

出来上がった。


「わぁ! おいしそう!」

「食べてみてください」

「うん」


ノアが先に食べた。


「おいしいぞ、ソフィア」

「ほんと~」


おれも食べた。


「うん、おいしい。これはパウンドケーキだ」

「パウンドケーキというのですか?」

「ああ」


異世界では違う名前なのかな?

まあ、いっか。


「あとこれも作ってみました」


この短い時間で2品もつくったのか。


見るからにチーズケーキだ。

食べた。


「うまい。チーズケーキだね」

「はい」


あ~これはチーズケーキでいいんだな。


よし、行ける。


「ソフィアさん、あとはサンドウィッチにしよう」

「はい、サンドウィッチは人気がありました」

「そうなの?」

「はい、作りますね」


ささっとソフィアは作ってきた。


見た目が美しい。

パンにハムと入り卵、そしてチーズが挟んであった。

食べると、少し甘味が感じられた。


「少し甘いですね」

「はい、少し甘めにしています」


マヨネーズのような味がしているがマヨネーズなんてあるわけがない。


「味付けはなんですか?」

「卵とお塩と油に少し酸味をたして混ぜたものを塗っています」


なるほど……まさに、マヨネーズだね。


「ソフィアさん、このサンドウィッチでいきましょう」

「はい」


これで、メニューも決まった。


いよいよ、さきがけ珈琲店オープンだ!

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